一流、二流、三流の違い-課題解決できる人材の条件
公認会計士の三浦真です。
写真は、先日のNHK、坂の上の雲から、秋山真之海軍中将(最終階級)役の俳優本木雅弘さん。秋山真之中将は日露戦争を勝利に導きました。海軍兵学校で、命を預かる将校は自分の頭で考えろ、とのお言葉。ごもっとも。
さて、経営者や管理職の方々とお話をしていると、よく「優秀な人材が欲しい」という言葉を耳にします。
では、優秀な人材とは何か?
どうすれば、社員が一流の人材に成長するのでしょうか?
今回は、先日の経営会議で、ご助言をさせて頂いた、「言われてやるようでは三流」「何も言わなくても勝手に動くのは二流」「勝手に動いて成果を出すのが一流」という考えをベースに、
一流と二流、三流の違いをお伝えします。
経営者のみなさん、一流の従業員を増やしてください。そして、その方の給料を、必ず、上げてください。理想は、全ての従業員を一流にすることです。
経営者は顧客・お客様を幸せにする前提として、従業員を幸せにする責任があると、私は考えます。
1. 三流:言われてやるだけの人材
三流の人材とは、言われたことしかやらない人材です。
1-1. 三流の特徴
指示がないと動かない
自ら課題を見つけない
「やった感」だけが強い
経営者が何かを指示するたびに、「やります」と言うだけで、自分からは動かない社員がいます。
こうした人材は、会社の中では“コスト”になりがちです。なぜなら、上司の管理コストが高いからです。
このタイプの人材は、ルーチンワークには向いていますが、「変化の時代」では生き残れません。なぜなら、環境が変わったときに指示を待つ時間がロスになるからです。
1-2. なぜ三流が生まれるのか
三流の人材が生まれる理由は、「教育」が原因と考えます。
具体的な指示を出しすぎ
「これをやって、次はこれをやって、その次はこれをやれ」と細かく指示を出しすぎると、社員は「考えなくてもいい」と思ってしまいます。これでは、言われたことだけをやる三流の人材になってしまいます。挑戦の機会が少ない
失敗を恐れる職場では、社員は挑戦しなくなります。挑戦しなければ、課題を見つける力も、解決する力も身につきません。
日本の学校教育に問題があると考えますが、テストの点数が高くても指示待ち人間であれば、社会では、評価されません。
大学以降は、自分で考える練習を取り入れた方が良いと考えます。
まず、大学教育、変えていきましょう。
2025年も様々な大学で、受講生の方々に、考えてもらう講義を展開しようと思います。
2. 二流:何も言わなくても勝手に動く人材
二流の人材とは、自ら考えて動くが、成果が出せない人材です。
2-1. 二流の特徴
やる気はあるが、方向性がずれる
動きが早いが、成果に結びつかない
「やってみましたが、ダメでした」と報告する
二流の人材は、行動力がありますが、成果が伴わないのが特徴です。言い換えると、頑張り屋だが空回りするタイプです。
評価してあげたいですか、プロとしては、ダメです。指示を待たずに行動するのは良いことですが、「行動の方向性がズレている」ケースが多いのが問題です。やった気にはなりますが、売上や利益には結びつきません。
2-2. なぜ二流が生まれるのか?
ゴールが明確でない
ゴールが曖昧なまま行動すると、努力のベクトルがズレます。「とにかく頑張れ!」と言うだけでは、社員はとにかく頑張るだけで終わります。どの方向に進むべきか、ゴールを明示することが重要です。振り返りができていない
二流は、行動量が多いものの、振り返りをしません。どこがダメだったのか、どこを改善すればいいのかを考えないまま、次の行動に移ります。その結果、同じ失敗を何度も繰り返すことになります。PDCAが回っていない
行動力はあるのに、Check(評価)とAdjust(改善)が弱いのが二流の特徴。行動だけでは成果は出ません。行動の結果を振り返り、何を変えるべきかを考えるプロセスが欠けているのです。
二流はおしい。自発的ですから正しい方向性で、やり方さえ間違わなければ、一流になれる素養はあります。
3. 一流:勝手に動いて、成果を出す人材
一流の人材とは、自ら考えて動き、成果を出す人材と考えます。
こういう従業員を増やしましょう。若い時から、経営会議に陪席させましょう。
3-1. 一流の特徴
行動の方向性が正しい
目標達成に執着する
指示を受けずとも、課題を見つけ、解決する
一流の人材は、ゴールから逆算して行動できるのが特徴です。
言い換えると、行動のベクトルが正しい方向に向いているのです。
さらに、PDCAサイクルを回す力が強いので、行動の結果を振り返り、改善を繰り返すことができます。そのため、二流のように同じ失敗を繰り返すことがありません。
3-2. 一流になるために必要な要素
ゴール思考
ゴール(目的)を明確にする習慣をつけましょう。「何のために行動するのか?」を考える力が、一流になるための第一歩です。PDCAの強化
数値目標を計画した上で、Check(振り返り)を強化すると、行動の質が一気に上がります。「なぜ売上が上がらなかったのか」「なぜ競合に負けたのか」と振り返ることで、次の行動に活かせます。KGI・KPI・KDIの活用
目標(KGI)、進捗管理(KPI)、行動管理(KDI)を明確にし、何をやれば成果が出るかを考える癖をつけましょう。
4. 会社を変えるために必要な考え方
会社を成長させるためには、以下が必要です。
4-1. 三流を二流にする方法
指示を減らす(考える機会を増やす)
「何のためにやるのか?」を考えさせる
チャレンジの機会を与える
ダメな人はずっとダメ、人は変わらない、という意見もあると、思います。
実際には、そういう事例も多数、知っており、であれば、転職先を見つけてあげて、幸せな転職を促す、転職先を顧客にする等が、次善策です。
辞めさせる場合も、解雇無効にならないように細心の注意が必要です。
4-2. 二流を一流にする方法
目標の明確化(ゴールをはっきり示す)
PDCAの徹底(行動を振り返る場を作る)
成功体験を積ませる(小さな成功を積み上げる)
二流が一流になる事例を増やして行きたいと考えます。
顧問先様の経営会議で、先月の課題を自発的に解決できた従業員様の報告を聞けた時、私は、とても嬉しい。一流の従業員をもっともっと、増やして行きたいと思います。
5. おわりに
経営者が従業員を成長させたいと考えるなら、まずは「三流 → 二流 → 一流」の成長ステップを理解する必要があります。
三流:言われたことをやるだけの人材
二流:勝手に動くが、成果を出せない人材
一流:勝手に動き、成果を出す人材
一流の人材を増やす会社は必ず成長します。
最後に、あなたの会社の社員は、今どの位置にいるでしょうか?
もし、二流が多いなら、ゴールの明確化とPDCAの徹底がカギになります。
三流はコスト、二流はチャレンジャー、一流は資産。
会社の未来を変えるために、一流の従業員を育てる経営を実践していきましょう。