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日本の近未来、既得権益の変化を予想する
公認会計士の三浦真です。
経営者は、経営戦略を立てるため、外部環境の変化に敏感になる必要があります。
以下、私が、遅かれ早かれ、そうなると予想する、日本の近未来です。
政界、財界、官界、学会の中に既得権益(先行者利益)を持つ方々が、存在します。
過去を振り返れば、既得権益を得るに相応しい必要性があり、意義があったと考えます。多くは1960年代、1970年代の高度成長期に、原型が確立されたのではないでしょうか。それが、引き継がれています。
しかし、当時から、昨今の日本を取り巻く環境は、大きく変わっています。
AI等テクノロジーの進化により組織に多くの人が必要なくなりつつあります。低成長の人口減少社会では、一部の方の既得権益を正当化することは、困難と考えます。不公平と言われてしまいます。
少子高齢化が進み労働人口が減少し、シニア世代の割合が増えています。成長社会では認められた既得権益の維持が困難な、新しい環境が出現しています。
現状認識としては、以上のような分析をしています。
では、既得権益について、どこから変わるか、予想します。
・フェーズ1: 財界の変化
まず、財界が、確実に変わりつつあります。新興国、新興企業が躍進しており、また財閥系の系列取引について株主から経済合理性を問われる時代となり、久しいですね。
護送船団で企業が守られる既得権益はありません。人材採用、育成についても、既存の方法から変わらなければ、人を充分に雇うことができず育成もできず、人材の問題がボトルネックとなり、財や、サービスを提供することが難しくなっています。
新卒から終身雇用で退職まで勤めあげる既得権益はほぼ無く、また、業績が長期安泰な企業もありません。変化の例としては、メガバンクの退職者(アラムナイ)採用や、大学生の起業、シニア、外国人の採用などが挙げられます。財界が変化している兆候です。極一部の例外を除き変わらなければ、企業は経営戦略を描けません。これは自然な流れ、と思います。
・フェーズ2: 学会の変化
次に、学会が変わりつつあります。日本の教育が変わらなければ、優秀な人材が海外の学校に流出してしまいます。学生が卒業後も幸せに生きられるように国内の大学での教育が重要という認識のもと、教育の現場も、徐々に変わりつつあると思います。
具体的な成果は、これからかもしれませんが、大学教授や、教育現場の先生方から、少なくとも、これまでの教育の踏襲ではまずい、という声を聞きます。これまで同様で問題ない、という既得権益はどこまで維持できるか、観察しようと思います。
同じカリキュラムで、平均的な人材を育てる教育システムの在り方について、課題意識を強く持った教育現場から、変わっていくと予想します。明治維新に際して教育システムは、寺子屋から、学校令で大転換したものですから、歴史を踏まえると、令和の時代に教育改革は、一気に進む可能性もあります。
・フェーズ3: 政界の変化
経済人が変わり、教育が変われば、次に、政界が変わると予測します。資本主義・自由経済を前提とした民主主義では、健全な政権交代は、必須と考えます。平等か、自由かの選択です。
イギリスの政治が参考になりますね。経営者仲間と会食で話すと、前回の例があるから、怖くて政権交代は望まない、他に選択肢がないから現状維持、という意見を聞くのですが、逆に言うと、新しい政治勢力が、真っ当に人材を育成して(やはり、教育の変化が先ですね)、政権交代の受け皿があれば、選挙で政権交代(イギリスの例だと、平等重視大きな政府の労働党、自由重視小さな政府の保守党)が、可能になるのではないでしょうか。
冷戦が終わって30年以上経ちます。自由民主党は、1955年以前の自由党と、日本民主党に分離すると良いのでは、と思いますが、フォロワーは変わるが、リーダーは変わらずの原則に照らして、与党、自由民主党は、当分これまで同様に運営されると予想します。危機の中で、まもなく変わるかもしれませんが、本格的に政界が変わるのは、教育が変わってからではないでしょうか。当分、世襲議員、既成政党の既得権益は維持される、と考えます。
・フェーズ4: 官界の変化
官界は安定的で、既得権益は引き継がれていると感じます。変化は、かなり先になると思いますが、最終的には、公務員も変わると予測します。
議員内閣制が前提ですので、政界が変われば、変化は不可避。政権交代があり得る前提であれば、幹部は入れ替えた方がよく、年功序列はナンセンスではないでしょうか。優秀な国家公務員が、起業や社外役員や、大学教授、シンクタンク等、民間と霞ヶ関を行ったり来たりするのが普通の未来が来るのではないか、と思います。
今も、一部こういった現象はあるかもしれないのですが、公務員の皆さんの働き方、在り方は、原則、変わらないですね。行ったり来たりの状況とはほど遠く、フェーズ4は、10年以上、先となると思います(政界が変われば、変化せざるを得ない)。
以上のように、遅かれ早かれ、既得権益は変化するでしょう。
現状、2024年時点では、フェーズ2に差し掛かっているように思います。
徐々に変わりつつあるのかもしれませんが、直近の東京都知事選挙を見ても、まだフェーズ3には、至っていないですね。意味はあると思いますが、やはり、補助金、助成金を得ているような、既得権益は強い。来年以降の国政選挙でも、変化の兆しは、無いように思います。
財界は確実に変わり、既得権益があって安泰な企業は多数ではなくなっています。また、学会も変わりつつあり、先日、会食したVCキャピタリストによれば、大学教授が起業して稼いだお金が、次の研究に使われるような資金の循環が、今は少数ですが、できつつあります。新しい環境にあった、真っ当な公正さを体現していますよね。今、教育システムは、アップデート中、かもしれません。
私たちは、現在そして将来の日本人が長く幸せに生きるために、外部環境の変化に適応して、社会システムを変えていく時代を今、生きています。
国内で仕事にありつけず、海外に日本人移民を送った、明治、大正時代の同じ轍を踏まないよう、
長期の経営戦略を持ち、考えて、行動しましょう!
次の世代が、移民となって、海外に出ていく国には、逆戻りしたくないですね、
ぜひ、個別でのご連絡でも構いません。ご意見、ご感想を教えてください。