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答えの無い問い:独居高齢者の急増について考える
公認会計士の三浦真です。
私は現在、80代の両親、妻、そして中学生と小学生の二人の息子と暮らしています。
高齢者の介護は大変なこともありますが、理学療法士さんやヘルパーさん、ショートステイといった支援に助けられながら、日々を過ごしています。
今日は外出予定がありましたが、親の介護が優先となり、外出を取りやめました。それでも、家族全員のことを思うと、息子たちに加えて、両親を守れることは、幸せなことだと感じています。
しかし、日本全体を見ると、今後、独居高齢者の急増が予測され、社会全体での対応が急務となっています。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、75歳以上の独居高齢者の割合は2020年の22.4%から2040年には27.4%に上昇し、2050年にはほぼすべての都道府県で2割を超える見込み、とのことです。
独居高齢者の急増という、一見、答えの無い問いに対する答えの作り方
この背景には、世帯の単身化や高齢化の進行、未婚率の上昇などがあり、複雑な課題への対策が求められています。独居高齢者の急増という一見、答えの無い問いに対して、大きな方向性を示したいと思います。
こうした状況に対して、私たちはどう対応していくべきでしょうか。
この「答えのない問い」に向き合うために、私が提唱するフレームワークを活用することができます。
まずは、ビジョンを描く
最初に、「どのような社会を目指すのか」というビジョンを明確にしましょう。ビジョンがないと大きな方向性(戦略)を作ることができません。
高齢者が独居でも福祉が手厚く、安心して暮らせる社会を目指すのか。
あるいは、医療や福祉に格差を許容する社会を選ぶのか。
これは政策や価値観の根幹にかかわるテーマであり、私たち一人ひとりの選択が未来を形作ります。
おそらく、本来、政党もビジョンで分かれます(現実はそうなっていないと思います)。
次に大きな方向性(戦略)を考える
ビジョンが明確になったら、次にその実現に向けた大きな方向性(戦略)を策定します。強み、弱み、機会、脅威を活用し、戦略を具体化します。
以下は、ぱっと作成した、日本の「強み」と「機会」から導き出せる戦略の例です。
独居高齢者の増加が生む課題に対する強み
日本には、この課題を解決するためのいくつかの強みがあります。
医療・介護サービスの質の高さ
日本は医療技術と介護サービスの質が非常に高水準です。地域コミュニティの基盤
地域社会のつながりが残る地域では、孤立を防ぐ支援が可能です。技術革新と普及力
ロボット技術やIoT、AIが発展しており高齢者支援に活用できます。
独居高齢者の増加が生む課題がもたらす機会
一見ネガティブな課題ですが、新たな機会を生み出すことも可能です。
新たなサービス市場の創出
IoTデバイスや宅配サービス、オンライン医療相談などの需要拡大が見込まれます。地域再生のチャンス
地域コミュニティを活性化し、地域経済や住環境の再生につながる可能性があります。国際的なリーダーシップの発揮
高齢化対策の成功事例を他国に共有し、日本の成功例を輸出することが可能です。
強みと機会を掛け合わせた大きな方向性(戦略)
強みと機会を掛け合わせることで、実現可能性の高い戦略が見えてきます。
課題解決に向けて、これだけの良い機会があるので、我々の強みを生かしましょう、という考え方です。
例えば、以下のような戦略です。
先進技術を活用した地域医療・介護インフラの強化
ロボット技術やIoTを活用した「スマート介護ネットワーク」の構築を進め、遠隔医療や健康モニタリングを普及させます。地域コミュニティを活性化した高齢者支援プラットフォームの構築
地域のつながりを活かし、高齢者が参加できる交流イベントや見守りネットワークを整備します。高齢者向けサービス市場の創出による地方経済の活性化
地方自治体や企業が連携し、独居高齢者向けのサービスを提供することで新たな雇用機会を創出します。
資本主義・自由経済を前提として、課題解決の裏側に、企業の売上は、作られます。金融機関だけでなくベンチャーキャピタル等、資金の出し手は多数います。
本当は、戦略は作るだけではダメで、計画に落とし込まなければなりません。計画ができたら、しっかりと、実行して、評価して、改善をしていきます。評価と改善が非常に重要なのですが、本日は、割愛します。
これからますます深刻になる高齢化社会の課題に対し、私たちは一つひとつ答えを作っていく必要があります。
そのためには、ビジョンを描き、戦略を立て、実行して、改善する。このプロセスを通じて、家庭でも、仕事でも、社会全体でも「答えのない問い」に向き合い、次の世代のため、より良い未来を作ることができます(日本の高度成長期は、ビジョンと戦略があり、実行して改善をしていたと思います)。
課題解決先進国として歩むことができれば、令和の時代、日本は必ず復活することができる、と私は信じています。