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組織図の未来を考える

公認会計士の三浦真です。

先日、ある顧問先の経営者様から、組織図に関するご相談を頂きました。

組織図は、会社の経営戦略の解説書であり、どの会社にも必要なものなのですが、改めて、組織図について深く考える機会となりました。

今日は、「組織図の未来」について考えてみたいと思います。

人口減少の中で、AIがもたらす変化

AIが社会にもたらす変革は計り知れません。特に企業活動において、資料作成や管理業務が劇的に効率化されるのは間違いありません。

そして、私たちが直面するのは、日本における労働人口減少という現実です。この状況では、AIを活用して業務を効率化し、適応できる企業だけが生き残る時代がやってきます。

強い企業が生き残るのではなく、変化する外部環境に適応できる企業が生き残るのです。恐竜が絶滅し、弱いとされた哺乳類が生き残ったように、適応力こそが鍵となります。

経営学には「管理の幅の原則」(人が管理できる人数には限界がある)という原則があります。

だからこそ、組織が拡大するにつれて、事業部、部、課、担当といった階層が増え、組織は縦に長くなりました。

従来の組織図では、単一事業の場合、営業部、製造部、管理部、システム部などに分かれ、その下に課などが置かれるという形が一般的でした。この構造は、生成AIが普及する以前の時代に最適化されたものでした。大まかに、トップマネジメント、ミドルマネジメント、担当者の三層構造は、一般的ではないかと思います。

しかし、生成AIがもたらす変化により、組織図は大きく進化するでしょう。管理ができる人数が大幅に増えます。

従って、これからの組織図は、次のようにシンプルになると予測します。

トップマネジメント(執行役員含む)と担当者の二層構造へ

トップマネジメントは会社のキーマンであり、AIを駆使して資料を作成し、組織を管理します。

一方、担当者は多数いて、業務委託先も含まれる形、になります。近い将来、担当者は直接、トップマネジメントに報告する形になるでしょう。ミドルマネジメントは不要となります。

ここで重要なのは、担当者は、価格競争の中で流動的な存在となる可能性がある一方、トップマネジメントは組織の要として、辞められると困る存在になります。

これが生成AIがもたらす組織図の未来像です。

少数精鋭のトップマネジメントと、流動的な担当者の組み合わせ。

この変化に、私たちはどう向き合うべきでしょうか?

自ら学び、考えられる人材になること

みなさん、プロフェッショナルになりましょう。AIはプロフェッショナルの判断を代替することはできません。

理由は単純で、AIは権利や義務の主体になれず、責任を取ることができないからです。

現時点ではもちろん、今後30年間、あるいは100年先でも、AIが損害賠償を支払う主体となるといった法体系にはならないでしょう。最終判断、権利義務の主体に、AIはなりえません。AIを使った人の判断が重視されるはずです。

だからこそ、私たち、そして次世代に求められるのは、プロフェッショナルとしての知識と、判断力です。

経営、法律、医療など、どの分野でも、仕事であれば、誰かを幸せにするプロフェッショナルだと考えます。

自ら学び、考え、責任を持って判断できる人材になることが重要です。

これは、私が、子供たちに伝えているメッセージでもあります。

AIが変革をもたらす中で、「学び続ける力」と「考える力」を備えた人がこれからの時代を生き抜いていけると考えます。

未来を見据えた組織図の進化。

これを考えることは、私たちがどのように変化に対応していくかを考えることと同義です。これからも関わりある経営者様と共に、一緒に学び、考え続けたいと思います。

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