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最低賃金は全国一律が世界の常識

 今年も10月から、最低賃金が引き上げ改定された。適用されるのは、事業規模にかかわらずすべての民間企業。この金額未満で働かせると、使用者は罰則の対象になる。直接的な影響を受けるのは、パートやアルバイトなどの非正規労働者だ。

 一方、公務職場の非正規職員の賃金もこの額が考慮されている。そのため、最低賃金が上がれば、民間、公務の正規職員の賃金にも波及がある。その結果、退職者の年金額も調整される場合がある。

 最低賃金の引き上げは、多くの国民の所得、暮らしに影響を与える。しかし今の地域別の金額のままでいいのか疑問だ。

 改正額を見ると、東京都1163円(前年比+51円)、鹿児島県953円(同+56円)で、その差は210円。格差が一番大きかった2014年に比べると縮まっている。しかし月160時間働くと月約3万4千円、年で40万円ほどの差になる。全国で一般的に流通する食料品や衣料品などの価格を見ても、生活にかかる最低限の金に、都市部と地方でそこまで違いがあるとは思えない。

 最近、人口ピラミッドを調べる必要があった。20年の年齢別人口構成の全国の形に比べ、九州や東北各県は20~34歳の層が少なく、逆に東京は極端に多い。最低賃金の低い地域から、高い地域に移動していることが一目で分かった。

 世界的に見ても、地域別最低賃金はわずか3%で、全国一律が大多数だ。自民党総裁選で候補者の多くが「改革」を訴えていた。「全国一律の最低賃金」こそ大胆な地方改革と思うが。世襲議員候補らは「民の竈(かまど)」など気にならないようだ。

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