鹿児島市本庁舎は、都道府県庁所在地の中では、静岡・名古屋・京都と並んで数少ない戦前の建築物だ。1937年に完成し、戦火もくぐり抜け98年に国の登録有形文化財になっている。 庁舎正面のアーチ状の玄関に、直径約80㌢のレリーフが正面に4枚、側面に2枚ずつある。唐草模様が中央の杯を囲むデザインだ。設置から85年以上が経ち、ひび割れや一部パーツが欠けていることから、このほど本格修復されると報道された。レリーフは薩摩焼の名陶工、初代長太郎(1871~1940年)の作。当時の岩元禧
今年も10月から、最低賃金が引き上げ改定された。適用されるのは、事業規模にかかわらずすべての民間企業。この金額未満で働かせると、使用者は罰則の対象になる。直接的な影響を受けるのは、パートやアルバイトなどの非正規労働者だ。 一方、公務職場の非正規職員の賃金もこの額が考慮されている。そのため、最低賃金が上がれば、民間、公務の正規職員の賃金にも波及がある。その結果、退職者の年金額も調整される場合がある。 最低賃金の引き上げは、多くの国民の所得、暮らしに影響を与える。しかし
NHKBSのドラマ「団地のふたり」を観ている。 ダブル主役の小泉今日子(野枝、ノエチ役)×小林聡美(奈津子、なっちゃん役)をはじめ、気に入っている役者が出演している。 二人は同じ団地生まれの幼馴染み。五十数歳の二人とも、親が住む団地に「出戻って」きた。大学の非常勤講師とイラストレーターという役だ。 エレペータもない昭和な団地で起きる、些細な事件に出くわしながら日々過ごしている。 人生の半分を過ぎた二人。昼過ぎに訪れる「まどろみ」前の、体がふわりとするそんな気持ちいい時間帯
「編集工学」の提唱や、書籍紹介サイト「千夜千冊」などで知られる松岡正剛さんが8月12日に亡くなった。毎日新聞の追悼記事で知った。80歳。 松岡正剛と聞いても知らない人が多いかもしれない。2020年の「紅白歌合戦」で、YOASOBIが高さ8㍍の巨大本棚でぐるりと囲まれた前でパフォーマンスを披露した。場所は埼玉にある角川武蔵野ミュージアムだ。本棚は本棚劇場と呼ばれ、同館の松岡館長の監修によるもの。 彼が注目されるきっかけは、1971年創刊の伝説の雑誌「遊」の編集長として
20年ぶりとなる新紙幣3種類が発行された。電子マネーやカード支払いが多く、紙幣利用が減っているので関心は薄かった。数週間して手にしても、以前の新札発行時の様な高揚感はなかった。 初めて自分の物を買った紙幣は、駄菓子屋で支払った1円札だ。小学校に上がってまもないころと思うが、当時はまだ50銭の値がついたものがいくつか置いてあった。煎餅、あめ玉、ガラス瓶に入れられた駄菓子、ビー玉(住んでいた北九州では「だんちん」と呼んでいた)、相撲取りや野球選手のカードなど。 買い物の
パリオリンピックは7月26日に開会式を迎える。私にとっての五輪といえば、1964年10月の東京大会が一番印象に残っている。大会期間中、授業が午後から休講になり、毎日テレビ観戦したことも一つの要因だが。 この年は中学2年生だった。日本初開催とあって、新学期が始まると五輪関連が授業でよく取り上げられた。近代五輪の父と呼ばれるクーベルタン男爵の名前は、何度も聞かされた。彼の「オリンピックは、勝つことではなく参加することに意義がある」の言葉が書かれた紙が、教室の後ろの壁に貼られ