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「蛍の名所」に取り組むスポーツ公園
雨が早朝から降っていたが、夕暮れ時には上がった。こんな日はよく飛んでいると思い、近所の丘の上にあるスポーツ公園に蛍狩りにでかけた。
敷地の奥には、整備される前の森林、草むらが残されている。そこを流れる小川から池のあたりまでの200メートル区間をゆっくり歩く。薄暗いなかで、葉に止まったり水辺の上を飛ぶ蛍火が見え始めた。ゾーンごとに十数匹ずつ光を点滅させながら乱舞していた。
この蛍は、施設の管理者がゲンジボタルの幼虫と、餌になるカワニナを6年前から放流し育てている。一昨年は三十数匹、それが倍倍と増え今年は131匹までカウントできた。ここ数年、大学の先生を講師に「観察会」も開かれている。今年は蛍の数の7倍を超える950人が参加した。
私が訪れた日は、10人ほどが鑑賞していた。飛んでいる蛍にそっと手を差し出すと、私の指先に止まってきた蛍がいた。薬指の先で淡い黄緑色を発光している。なかなか手から離れない。大きく腕を振ると、すーっと渓流の方に飛び去って行った。つかの間メルヘンな気分を味わった。
「蛍の名所」にしたいというこの公園のふもとは、近郊農業の田んぼが広がる地域だった。以前住んでいた人は「40年前は5月になると家の前の川をたくさんの蛍が飛んでいたよ」と。その後、宅地開発などで徐々に姿を消したそうだ。
雀の涙ほどの減税に「恩恵」を感じろと、給与明細に減税額の明記を義務付けた総理。初夏の風物詩を堪能できた「恩恵」に感謝し帰路に着いたが、公園管理者は環境保全に努めていると声高に叫んだりしていない。