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イエス・キリストは本当に12月25日に生まれたのか問題。

クリスマスが近づいてきた。

クリスマスの語源は CHRIST + MASS = CHRISTMAS で、キリスト(CHRIST)を礼拝する(MASS)という意味から来てる。

MASS というのは「ミサ」(教会の礼拝)の英語表現だ。

つまり、クリスマスはイエス・キリストを礼拝する日、ということ。

しかし、現状どうもキリスト抜きのクリスマスになっちゃってるよね。。。

これは、たとえて言うなら炭酸の抜けたサイダー、フライドチキンを売らないKFC、中身が空のお年玉ぶくろ、花嫁のいない結婚式みたい。。。

でも、クリスマスからキリストを抜いて問題ないという人もいて、その人たちの言うのが、もともとクリスマスはキリストと無関係という説だ。

なぜ12月25日にクリスマスが祝われるようになったかについては諸説あるんだけど。。。よく言われるのが「太陽神の誕生日」だった12月25日をローマ帝国にクリスチャンが増えたとき、イエス・キリストの誕生日に変えて祝うようにしたという説だ。

「太陽神の誕生日」には、あべこべ祭りというのが行われていて、その日だけは王様が乞食の格好でものごいし、乞食が王様の格好でご馳走を食べ、主人は奴隷になって奴隷に仕え、奴隷は主人になって主人を使役したという。。。つまり、宇宙のあらゆるものがさかさまになる一日だったんだ。

今日の聖書の言葉。

主よ、わたしたちの主よ
あなたの御名は、いかに力強く
全地に満ちていることでしょう。
天に輝くあなたの威光をたたえます
幼子、乳飲み子の口によって。

あなたは刃向かう者に向かって砦を築き
報復する敵を絶ち滅ぼされます。
詩編 8:2-3 新共同訳

永遠で無限で全知で全能の創造主なる神が、赤ちゃんの泣き声によってほめたたえられ賛美されるという。。。

この聖書の考え方の中には「最も無力で小さな者こそ、最も尊く偉大なお方に近い」という、さかさまの思想を見て取ることができる。

新約聖書が言う、創造主である神が極限まで自分を小さくしてベツレヘムの馬小屋の飼い葉おけのなかに降誕したというストーリーも、ズバリさかさまの思想だよね 。

キリストは、神の身分でありながら
神と等しい者であることに
固執しようとは思わず 
かえって自分を無にして、僕の身分になり
人間と同じ者になられました
*

だから、イエス・キリストの誕生のストーリーは、あべこべ、さかさまを祝う12月25日の「太陽神の誕生日」とすっごい親和性を持っていたと言えるのかもしれない。

なので、ローマ帝国の市民たちは違和感なく、あべこべ祭りをイエス・キリストの誕生日として受け取り直すことができたのかもしれない。。。

だけど、ね。。。イエスが12月25日に生まれたという説は、あながち根拠のない話ではないんだ。

教会に伝わる伝説では、マリアが天使ガブリエルから「受胎告知」を受けたのと同月同日がイエスの受難日だったとされている**。つまり、受胎告知と同じ月の同じ日にイエスが十字架につけられて死んだということ。

イエスが処刑された日は西暦33年4月3日(金)というのが有力説なんだけど***、もしそれが正しいとすれば、マリアが受胎告知を受けた日付けは4月3日だったということになるよね。

で、受胎日が4月3日だった場合、出産予定日はいつになるかというと。。。

インターネットで提供されてる産婦人科医監修の出産予定日計算ツールに受胎日を4月3日と入力してクリックすると、出産予定日は、どんぴしゃ12月25日になるんだ。

出産予定日

というわけで、やっぱりイエス・キリストは12月25日に生まれたんじゃないの?と自分は思う。

なのでねー。。。キリスト抜きのクリスマスはフライドチキンを売らないKFCだよ、と思ってしまうわけなのだ。

註)
*  Cf. フィリピ 2:6-7
** ヒッポのアウグスティヌス『三位一体論』(De Trinitate) 第4巻5章
*** オックスフォード大学の冶金学者COLIN J. HUMPHREYSと天文学者W. GRAEME WADDINGTONの共著『イエスの処刑日』(The Date of the Crucifixion)

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