朝が怖い時に考える、瑠璃・チーズ・火星人、そして。。。
ときどき、朝、テレビを観たり、新聞を開いたり、ネットのニュースを覗いたりするのが怖くなることがある。
なぜなら、戦争のうわさ、地球温暖化、蔓延するウイルス、宇宙人の襲来。。。不安にさせる要素が絶えないからだ。
そんなふうな朝には、自分は三つのことを思い出すように心がけている。
ひとつめは、正倉院のガラスの器。
ふたつめは、醍醐天皇が愛したチーズ。
みっつめは、H.G.ウェルズの宇宙戦争。
ひとつめについていえば。。。
正倉院のガラスの器
瑠璃と呼ばれる硬くて透明な器は、はるばるシルクロードを超えて平城京にもたらされた「宝物」だったわけで、それに飲み物を入れて口にできるのは、この国でいちばん高貴なひとだけだった。。。で、じぶんちの台所の引き出しを見ると、まあ、なんということでしょう! そこには、たくさんのガラスのコップがびっしり。世が世なら、自分、殿上人じゃん、と思って、すこし心がゆるやかになる。
ふたつめについていえば。。。
醍醐天皇が愛したチーズ
じぶんちの冷蔵庫をひらいてながめると、無造作に放り込まれているチーズ。これも世が世なら、この国でいちばん高貴なひとしか食べることができなかったもの。醍醐と呼ばれたチーズがあまりに好きすぎて、醍醐天皇なんか自分の名前に取り入れてしまったほどだ。そういうチーズを自分は毎朝トーストに乗せて食べているんだから。。。自分、やっぱり殿上人じゃん、と思って、ほっこりしてしまう。
みっつめについていえば。。。
H.G.ウェルズの宇宙戦争
『宇宙戦争』は19世紀末のイギリスを舞台に、火星人と英軍の死闘を描いている。英軍は大敗。ブリテン島は火星人の占拠するところに。当時の英軍の装備は、オードナンスBL12ポンド砲とマキシム機関銃とスナイダーエンフィールド銃だ。この装備でマフディー軍を圧倒出来た英軍でも、宇宙人には敵わなかった。もし自分が火星人なら、侵略のタイミングは絶対に1898年に設定する。だって、かんたんにやっつけてしまえるから。。。でも、1898年から今日まで宇宙人が襲来するきざしは無い。それはつまり、隙あらばやってやろう、みたいな悪意が彼らに欠如しているか、あるいは、ウェルズが結末で描いたようにウイルスを恐れているからではないか。。。そう考えれば、少し安心して夜空を眺められる。
今日の聖書の言葉。
不安な気持ちになったとき、アタマでいろいろシミュレーションして、平安な要素をひねり出そうとする。でもそれは、まあ、ある程度までであって、やっぱり限界があるよね。
平安をひねりだす方程式って、現状で入手可能な情報と、過去の経験に基づいた分析と、そこから導き出された複数の可能な選択肢、といった要素で構成されている。じゃあ、どこに限界があるかと言えば、基本、人間は将来を完全に見通すことはできない、という点だ。
仏教では人間の意識の範囲は前後3秒ぐらいに考えられている。ほんと、そうだよなー、と思う。自分に確実にわかることと言ったら3秒前の世界と3秒後の世界ぐらいだよね。
そういう時間の制約に縛られた枠で成り立っているのが「世が与える平安」なんじゃないかと思う。それに対してイエスはもの申しているんだ。
わたしは、平和をあなたがたに残し
わたしの平和を与える
わたしはこれを
世が与えるように与えるのではない
心を騒がせるな。おびえるな
イエスは、ひととなった神であるから、神としての永遠の属性と、ひととしての有限の属性をあわせもつ存在だ。だからこそイエスは、有限な時間のなかに生きるわれわれに、永遠の神の視点から語りかけることができるんだと思う。
イエス・キリストは、きのうも今日も
また永遠に変わることのない方です *¹
イエスは永遠に生きているので
変わることのない祭司職を持っておられるのです *²
イエスは有限な人間として、いま・ここ、前後3秒の範囲のなかで、自分と一緒にいてくれる。イエスは人生の同伴者だ。
同時にイエスは神として、いま・ここ、を絶えず超越し続ける。永遠の過去にもイエスはいるし、永遠の未来にもイエスはいる。しかも、過去のイエスと現在のイエスと未来のイエスという三人がいるのではなく、ただひとりのイエスがいるのだ。
わたし(イエス)は
アルファであり、オメガである
最初の者にして、最後の者
初めであり、終わりである *³
そのイエスは、永遠の見通しのなかで、世界と歴史の顛末をすべて把握したうえで、われわれに、こう語りかけてくれるのだ。
イエスはすぐ彼らに話しかけられた
「安心しなさい。わたしだ。恐れることはない」*⁴
だから、今朝も自分はニュースより前にイエスの声を聞こうとしてみる。
註)
*1. Cf. ヘブライ 13:8
*2. Cf. ヘブライ 7:24
*3. Cf. 黙示録 22:13
*4. Cf. マタイ 14:27
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