『ハッピー・リトル・アイランド』上映会
地中海に浮かぶ、長寿で有名なギリシア・イカリア島。
この島に移住した若者と、そこに住む老人たちの姿を描いた『ハッピー・リトル・アイランド』は、日本に暮らす僕たちにとっても幸せのヒントを見つけられるドキュメンタリー映画です。
東京都内で、上映会を開催しました。
年齢層、職業、出身地の幅広い方々が集まりました。観賞後は、僕らの上映会が目指すところである「対話」がたっぷりと交わされ、有意義な時間を創りあげることができたと思います。
僕自身、いつの間にか都市生活に染まりきってしまった自らの暮らし、人生における幸せについて、日常から一旦離れて考えました。
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若者の半分が失業しているというギリシャの首都アテネ。そこに住むことに目的が見出だせなくなった35歳のトドリスとその彼女アナはイカリア島に移住することを決めます。
実際のイカリア島は経済的に貧しく、生活は自給自足的ですが土壌も気候も栽培には向いていません。そう、まったく桃源郷ではありませんでした。
しかし、年輩の島民たちは幸せそうに暮らしています。
その秘訣は何か。作品の中盤、フランスから長寿研究をしている医師が調査に訪れ、彼らの人生観や価値観を直接聞いて回ったりします。
決して豪華ではないけれども楽しいパーティを頻繁に開き、採れた作物は分け合い、若者は年寄りの住まいを修理したりして、ここでは皆が助け合って暮らしているのです。
この映画の良さは、イカリアの良いところも悪いところもストレートに描いているところでしょう。実際に、トドリスは人間関係の息苦しさに嫌気がさしたり、うまくいかない作物の栽培に悪戦苦闘します。
他方、彼女のアナは実にたくましい。島の老人を訪ねてタダ同然で果物をわけてもらい、大量のジャムを作って売ります。さらに美術のレッスンも始めます。
このカップルは徐々に関係が変化してゆきます....。
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映画から少し離れますが「ブルーゾーン」というプロジェクトがあるのをご存知でしょうか。世界中の長寿地域を調査する「長寿研究」プロジェクトで、イカリア島を含めて次の5地域が対象になっています。
・イカリア島(ギリシャ)
・沖縄(日本)
・サルディーニャ島(イタリア)
・ロマリンダ(アメリカ)
・ニコヤ半島(コスタリカ)
ブルーゾーンでは「イカリア島で発見した7つの秘けつ」として次のような報告がされています。
・ヤギのミルクを飲む
・よく歩く
・地中海料理を食べる(※オリーブオイル、魚介類)
・ハーブティーを飲む
・昼寝をする
・たまに断食をする
・家族や友人との時間を大切にする
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「人生は美しいものだ」
「幸せのためには、贅沢品は要らない」
年長者たちの、実感のこもった言葉の数々。トドリスもイカリア島の人々と一緒に暮らしていくにしたがって心境に変化が起こります。
自分の足で、自分の人生を歩むということ。
幸せに生きるために、自分に必要なものを知ること。
50分ほどの短い映画ですが、イカリア島の人たちから学ぶものは実に多く、シンプルでなおかつ奥深いように感じられました。
【都市の人間は、結果を出すことに急ぎ過ぎている】
というセリフが一番印象に残っています。耳が痛い、という意味も含めて。
Urano, one of the URL members
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