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3拍子の「世界は愛を求めている」が、4拍子にアレンジされた

バート・バカラック作曲、ハル・デヴィッド作詞による「世界は愛を求めている」を最初にプレゼンテーションされたのは、アルバム「The Sensitive Sound Of Dionne Warwick」制作中のディオンヌ・ワーウィックだった。彼女は気に入らず、アルバムに取り上げなかった。ディオンヌの意見を高く買っていたバカラックは、そのまま「引き出しにしまった」。彼はそれから1年ほど、忘れていた。

オフィスでジャッキー・デシャノンと新曲の打ち合わせをしている際に、ハル・デヴィッドの求めによって「世界は愛を求めている」を、彼女に聞かせた。ジャッキーが歌い出すと、「まるで彼女のためにあつらえた曲のように聞こえる」として、バカラックはノックアウトされた。こうして「世界は愛を求めている」はジャッキー・デシャノンによってレコーディングされ、彼女の歌唱によって全米7位のヒットとなる。さらにはグラミー賞において、1965年度の最優秀女性ポップ・ボーカルを受賞した。

ディオンヌはあからさまに不快感を示したものの、翌年には取り上げた。その他にもこの曲には様々に、素晴らしいヴァージョンがある。中でもユニークなのが、66年に発表されたニュー・クリスティ・ミンストレルスによるカバーだ。編曲は、ボブ・アルシヴァー。1950年代末にジャズ・コーラス・グループ、ザ・シグネチュアーズを妻のルースと共に牽引したボブは、60年代の後期になるとスタッフ側に廻り、フィフス・ディメンションやサンド・パイパーズなどのコーラス・アレンジを手がけた。今日では、ソフトロック・ファンをはじめ、コーラス・ファンから絶大な信頼を得ている人物だ。

ニュークリスティ版の何がユニークかといって、オリジナルのジャッキー・デシャノン版では3拍子だった曲が、4拍子に作り直されている点だ。サビの歌詞の譜わりが、オリジナルと大幅に変わっていて驚かされる。全体にロック的なニュアンスが強まり、ダンサブルな仕上がりになった。こうした改変をバカラックは知っていたのか、許していたのか、ちょっとは気になるものの、実に面白いヴァージョンだと思う。


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