ふたつの"スタンド・バイ・ミー"
スタンド・バイ・ミー
「スタンド・バイ・ミー」と言えば、「ラスト・ダンスは私に」などのザ・ドリフターズに在籍したベン・E・キングが、ソロ転向後の1961年に発表した楽曲。キング自身とリーバー&ストーラーの共作による作品で、全米4位を記録した。
愛する人に向けて「ダーリン、ダーリン」と歌い掛けながら、「あの空が崩れ落ちてきたとしても、キミがそばにいてくれたらボクは泣かない / キミがトラブルに巻き込まれたら、ボクのそばに来ればいい」と、二人を結ぶ愛を描く。
86年に同名アメリカ映画の主題歌に採用され全米9位のリバイバル・ヒットをするうちに、日本でも洋楽定番曲のひとつとして広く親しまれるようになった。
この「スタンド・バイ・ミー」には、発想のもとになったゴスペル・ソングがある。それは、1901年にチャールズ・ティンドレイによって書かれた「スタンド・バイ・ミー」。厳しい試練と困難に耐える力と支えを、神に祈り請う歌だ。もっとも古いゴスペル・ソングのひとつと言われ、黒人教会などで長く愛されてきた。ゴスペルを大切に愛したエルヴィス・プレスリーも、歌っている。
多くのアフリカ系アメリカ人は、ベン・E・キングの「スタンド・バイ・ミー」を聞くと、ティンドレイ版のそれを連想するという。ティンドレイの「スタンド・バイ・ミー」を思い起こしながら、ベン・E・キングの歌を聞くという、重層的な体験になるということだ。
ベン・E・キングが歌う「スタンド・バイ・ミー」誕生の背景には、ティンドレイ版があった。そうと知ってから、いまいちど聞き直すと、また味わいが違って聞こえる気がする。
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