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片道切符を買って、故郷ジョージアに向かう。

「カリフォルニアの空は、何色なのだろう? 」と題する雑記帳では、アルバート・ハモンドの「カリフォルニアの青い空」をめぐって、ポピュラーソングが扱う「カリフォルニア」について触れた。

アメリカ人にとって見果てぬ夢の場所だったはずのカリフォルニアが、いつしか夢破れる場所となり、それまでカリフォルニアと一括りにされていた地名も、サンフランシスコやロサンジェルスなどの都市の名前が、歌詞に具体的に登場するようになる。

1973年秋にグラディス・ナイト&ザ・ピップスが歌った全米No.1ヒット、グラミー賞の最優秀R&B歌唱賞に輝いた「夜汽車よ! ジョージアへ」の場合は、こうだ。
スターになることを夢見てロサンジェルスに出てきた男が、この歌の主人公。夢破れ、持ってきた車を始めすべてを売り払い、片道切符を買って故郷ジョージアに向かう夜行列車に乗り込む。ここまでは「カリフォルニアの青い空」と似ているシチュエーションだが、ひと味ちがうのは、隣の席に座る女性がいることだ。ありったけの愛を乗せて、彼の世界に向かうと歌う彼女が、この歌のもう一人の主人公。物語は、彼女の問わず語りで進行していく。

グラディス・ナイト&ザ・ピップスの女性ヴォーカル、グラディス・ナイトは、実はジョージア州アトランタの出身。これがこの歌の絶妙なスパイスだった。


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