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11.これからのレストランにおけるガイドブックの存在価値
シンガポールは6月19日からフェーズ2に移行し、飲食店内での飲食が可能になり、小売店も再開となりました。
私が働いているホテルをはじめ、一部はまだ完全な営業再開にはいたっていませんが、いい方向に進んで行ってます。
しかし、このシンガポールでもコロナの影響でかなりの店が閉店となり、中にはミシュランで星がついたレストランや、有名な寿司やなどもありました。
星がついてようが、閉店してしまうのが現実なわけです。
果たしてこれからミシュランの存在価値とは?
そこで、今日は自分が思うミシュランに関する事を書いておこうと思います。
日本でも有名なミシュランガイド、ゴーエミヨなどこう言った類いのガイドブックは覆面調査員、ミステリーショッパーと呼ばれる方々がサービスのクオリティーチェックを匿名で来店し、調査しています。
そして、その調査員といえども誰か知らない人達の評価によって格付けされます。
しかし、時にこの格付けにより料理人を深い闇へと導いてしまう時があります。
元々は、フランスのタイヤメーカーであるミシュランがより良い旅行の為に出版したのが始まりであり、料理人を苦しめる為の本ではなかったはずです。
現在、私自身ミシュランの星がついたレストランで働かせていただいてます。
それは大変光栄な事ではありますが、私自身はあまり意識していないのが正直な所です。
というか、意識しなくなったというのが正しいです。
前回の話の中で、ケーキ屋からミシュランレストランへと転職をしたと書きました。
21歳の時ですし、憧れはあったので就職が決まった
時は本当に嬉しかったです。
しかし、ミシュランレストランで働いていると、この星に執着しすぎるがあまりに本来の目的であるゲストに
料理で楽しんでいただくという事を忘れてしまう方がほとんどです。
星がすべてなんだ! !
という方を沢山見てきました。
そして、お決まりの如く、
今日は調査員が来てるぞ!みんな気合い入れろ!
いや、おかしい。
調査員であろうがなかろうが、お客様にはかわりないですし、調査員だからってのは違うでしょ。
常に最高の状態で料理を提供するのは当たり前の事です。
お客様からお金をいただいてます。
それは値段が高い安いなんて関係ありません。
ただ、お金以上のサービスを提供できているのか?
ということがとっても大事です。
付加価値と言うものですね。
それが高級レストランの魅力の一つですよね。
でも、ミシュランの星がついてようが無かろうが関係ありません。
星がついた店でも、時には期待を裏切られます。
そこには、必ず個人差がありますよね。
要するに、何を目的としてお店を経営してるのかが一番重要な事であり、星を取る事が全てではないということ。
これはミシュランを否定しているわけではなくて、それはただのオプションにしか過ぎないという事です。
コロナが来て更に食事の大切さやレストランの価値が見直されるいい機会となりました。
しかし、これからは本当に本物しか残れないという現実を突きつけられた様に思います。
今まで、ミシュランやその類いの物に意識がいきすぎてた為に、休業要請が出た途端に足元をすくわれ、従業員を解雇し、閉店していったお店があります。
そして、更に国や政府に対して補償金の増額をお願いする署名活動を起こしました。
行動を起こす事は大変素晴らしい事ですが、これは飲食店だけの問題ではないです。
すべての経営に関わる方々の問題です。
飲食店だけ助かっても意味がないのです。
自分達の業界だけ助かればいいのでしょうか?
だったらグラウンドファンディングを活用したり
まずは、頼るのではなく自分達で出来る事を始めるべきだと思いました。
なので私自身は既に今後はミシュランに左右される事はないです。
まず、その様な業態にはしません。
未だにミシュランだのと騒ぎ立ててるのはごく一部のTVメディアぐらいです。
もちろん、ミシュランは素晴らしいガイドブックであり、日本には本当に素晴らしいレストランが沢山あります。
何も否定はしません。
でも、本来の目的を見失っては意味がありません。
ガイドブックのうまい使い方。
ガイドブックを使うよりも良い方法があるのではないでしょうか。
しっかりとしたブランディングや広告戦略。
良いPRをしてもらうにはどうすればいいのか。
何にお金をどう使っていくのが。
時代の流れを見極めていかなくてはなりません。
時には今まで全くやってなかった事に挑戦してみるのもいいかもしれないです。
そういう意味でも本当にコロナは自分にとって色々な物を見極めるいい機会になりました。
今はシンガポールという国でお仕事させていただけてる事に心から感謝しています。
この経験を活かし、もっと深く経営に関する事を勉強してそれを実践しながらお客様1人1人としっかり向き合い、地元に貢献し愛される店作りをしていきたいなと思っています。
簡単な事ではないですが、一歩一歩確実に歩んでいきたいなと思います。