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 僕は自分の声が嫌いだ。声が高くて女性とよく間違えられる。
 相談員として働いていたころ、よく利用者の面談や認定調査の日程調整、病院への連絡で電話するときに、初めてでは、50%の確率で女性と思われてしまう。最近も、あった。

くやしい。
もう、30代半ばなのに間違えられるなんて。

 電話で話すときには、慎重に話そうとしてゆっくり話そうとしてしまうこともあるし、緊張していることもあって声が上ずってしまうことがあるのは確かである。

 でも・・・。

 ちなみに、昔はどうだったかというと、今より3オクターブくらい高い声(母曰く)で、父からはよく注意されていた。
 声変わりもした。
 だけど、今以上は低くならなかった。
 家でも悩むことがある。電話に出て、後で母に代わってみると、
「よくできた娘さんだね」と言われることもあり、ため息をついた。
 小学校の時に、学級委員になった。クラス全員の前で話すときに急に声が出なくなった。なんだか急に情けなくなったのを覚えている。
 また、高校生の時に、最初の自己紹介の時をしたときに、緊張もしていたので高くなってしまった。周りはびっくりしていたと思う。だって、見た目は成長期を終えた男なのに、声が高い。
 低い声をわざと出すこともできないことはない。だけど、そう長くは続かない。
 話し方講座にも参加したことはある。講座の最後にまとめとして「自分の話している動画を撮影してもいいですよ」となり、他の受講生にお願いして撮ってもらった。
 だけど・・・。見る勇気がなくて、聞く勇気がなくて、そのままになっている。これまでもそう。自分が話している動画があると、むしゃくしゃしてしまう。

 自信のない自分の声によって、苦手意識を持ち、「人と話すことに遠慮するように」なってしまった。そのうえ、話したくない状態が長いから、噛むことが多くなり、声がうまく出せなくなり、どもることもある。
 成人になり、仕事をするようになると人前に出る機会が増えてくる。「話したくない」ということは許されない状況が出てくる。
 人前に立って話していると急に情けなくなる。

「自分の声はちゃんと届いているのだろうか」
「僕の声で不快に感じることはないだろうか」
という不安と焦り。

「もっといい声だったら良かったな」
「こんな声だったら、無い方がいい」
とも思ったことはある。

 だから、「しゃべること」や「声」「音」に対して、敏感になってしまう。利用者についても、見た目と同じく「声」「音」に注目しています。

相手の話している声の表情(震えているか、怒っているか)
声の向き(どこ、誰に向かって)
口の動き(何を言っているか分からないことが多いけれど、動きで早口なのか、言いたくても言えないことがあってモゾモゾしているのか、は分かる)

 相談内容によっては長時間になってくると、疲れて勢いがなくなってくる。また、イラッとして大声になると、声が高くなって相手はビビっていることがある。
 また、声で性格を判断されることも、判断してしまうこともある。「優しい声」だから、性格も「優しい」と思われてしまう。早口だから、性格もせっかちだと思ってしまう。
 声に含まれる情報を軽く見てはいけない。もしかしたら、声で印象が変わるかもしれない。

 この声で良かったことはあるかというと、「女性の声真似ができる」くらいで他に良い事はない。
 自分の声だから、向き合っていかないといけないというのは分かっている。その一方で、向き合っていくことで自分にできることを探していきたいと思っています。
 声も「個性」ではあるけれど、それだけではない気がする。相手に気持ちや意見を伝える「道具」でもあると思います。だから、大切にできたらいいな。

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