ミルククラウン
3年前の秋にmonogataryというサイトの羊文学賞に応募した掌編を引っ張り出してきました。
(4月は全然創作できていないからです、私は弱く、ずるい)
余談ですが、実はその頃詩を書くつもりはなかったです。
詩に触れる機会も少なく、活字と言えば小説!のイメージでした。
しかし私の文章は抽象的なものが多いこと、普遍的な作品が好きなこと、私の言葉が読んだ人の元で暮らして欲しいと考えたこと
などから詩を書き始めました。
実はね。
『ミルククラウン』
神様は君なんだと思った。間違いじゃなかったはずだった。
いつだって君は傍に居た。
真っ白な笑顔で私に触れた。君の存在が私の髪を優しく撫でた。
それが、たったそれだけのことにどれ程救われたのか分からない。
優渥とした、ほのかに甘いひとときだったと思う。
喫茶店の席に着き、コーヒーを注文した。
人に傷つけられた日。
真夜中の一人部屋で。ノートとペン、オーディオとCDとギター、そして私。
チューニングを合わせてギターを抱えて歌う。
出鱈目な歌をうたう。
穢されないために。君の水色を守るために。
西の空が紫色に見えた日。
クローゼットから紺色のロングワンピースを引っ張り出して身に纏う。
夜を吸い込んだようなワンピース。
これは戦闘服。世界と私が戦うための一張羅。
誰かの言葉を思い出す。
「不幸せに憧れるなんて」
「輝くものを見て見ぬふりなんて」
自分でも馬鹿みたいだと思う、分かっている。
君は角度によって色が変わる宝石みたいな人だね。
席を立つ。
砂糖はもう要らない。