この本はいかが 060
不村家奇譚
彩藤アザミ 新潮社 2021年11月30日発行
幻想、ホラー小説ですが、とても切なく悲しいお話です。ハンカチが必需です。何世代にもわたり呪いに縛られる不村家。奉公人は菊太郎以外は全て異形の者でした。
章ごとに主役が変わります。視点が変わると、視える事柄に変化があります。呪いにからまれたまま一族の時間が流れていきます。立ち切らない、切れなかったのは何故か。「あわこさま」とは何か。
途中から、別の土地の憑き物に関連する人も混じります。世代が替わって、出来事も変化しますが、背景にあるのは「あわこさま」でした。
ついに不村家の歴史と「あわこさま」が明らかになっていきます。
読み終えて考えると、私たちも何かに縛られてはいないでしょうか、家業、地域、性別ほか、そう考え始めるとこのお話は一層怖くて、悲しいと感じます。
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