「お尻だって、洗ってほしい」〜斬新でした、そして圧倒的に今もTOTO派
衝撃的なCMでしたよ。
「お尻だって、洗ってほしい」
1982年 TOTO ウォシュレットのテレビCM
起用されたのはゲルニカのボーカルでぶっ飛んだキャラでテレビでも見かけるようになってきた戸川純
お尻を向けて言うセリフ
「お尻だって、洗ってほしい」
もうビックリしたよね。
当時18歳。
そんなCMがゴールデンタイムの食事どきに普通に放映されていて、
なんか見ちゃいけないものを見たというか、
トイレの話なんかをCMでこんなに大っぴらげにしちゃうんだ、そんな驚きというか戸惑いがあった。
そう、当時はまだトイレの話なんて大っぴらにするもんじゃなくて、
トレイは別名、隠語で「ご不浄」とか「はばかり(人目をはばかるものという意味から)」とか言われていた時代。
NHKでちょうど昔のプロジェクトXで2002年放映の「革命トイレ 市場を制す」をやっていて、そんなことを思い出した。
今でこそトイレをはじめとした水回りのトップメーカーのTOTOは福岡県北九州市の水洗便器などの衛生陶器を製造する会社。
当時のトイレはご不浄というイメージを覆すために、昭和45年に一面広告を出そうと色んなところに持ち込むものの、そんなものを載せれるか、紙面の品位が下がると拒否されたという。
そんな時代背景のもと、昭和53年に当時アメリカで一時期発売されたものの大失敗に終わったいわくつきの温水洗浄トイレを作れ、という会社の命を受けてプロジェクトがスタートしたそうです。
それから、万人にとって心地よい水温でちゃんとお尻を洗浄するトイレ、その開発には300人のデータを取る必要があると、
当初は社内の人たちも「いや、俺はいいよ」と誰も協力してくれなかったらしい。
そんなこんなで、紆余曲折あって最終的にデータが集まり、
水温は38度プラスマイナス2度が心地よく、
ノズル角度は43度が全ての人のお尻にヒットする、
という設計になったそうだ。
そして、尿の成分の水に常時さらされても劣化せず、漏電しない対策を施したりした結果、昭和55年に日本国内初の温水洗浄トイレを販売するものの、電気系統が故障して返品の山となった。
そして、改良版をもって再発をするにあたっては、一度悪いイメージがついたものを挽回するために、宣伝課の社員がテレビCMを打つことを決め、
当時の売れっ子コピーライター仲畑貴志さんを頼って出来たのが、先のCMコピー。
「お尻だって、洗ってほしい」
テーマは当時みんなが持っていた常識をくつがえすということ。
確かにお尻を洗うなんて、まさか嘘でしょ、みたいなところはあった。
うちの実家でも両親が古い考えにとらわれていたのか、実家を離れて一人暮らしをするまでウォシュレット販売開始から6年くらいあったけれど、実家にウォシュレットは導入されなかった。
それからも一人暮らしのアパートでは流石に和式トイレではなくなっていたけれど、ウォシュレットはまだデフォルトで装備されていない時代だった。
だから、ずっとウォシュレットを使うということはなかった。
相方と一緒になった時に、
え、ウォシュレット使ったことないの?嘘でしょ?使おうよ。
みたいな話になったものの、1年くらいは
いやいや、必要ないでしょ。紙でよくない?
みたいな固定概念があった。
だって、使ったことが無かったんだから。
そして、相方に懇願されて恐る恐る導入したウォシュレット、
最初こそなんだかこそばい感じがしたけれど、一度使うともう後戻りはできない。
どうして、今までお尻を洗わなかったんだろう、ていう。
紙で吹くだけなんて馬鹿じゃないの?とさえ思った。
その後も仕事でアメリカに出張へ行く度に、
ウォシュレットのないアメリカ人って文化度が低いんじゃいなか、可愛そうだなぁ。野蛮だなぁ。
なんてめちゃくちゃなことを思っていたくらい、今となってはウォシュレットなしでは気持ち悪い。
現在はTOTO以外にもINAXとかパナソニックとか色んなトイレメーカーがシャワートイレを出しているけれど、僕は絶対的にウォシュレット派。
やっぱりね、お尻にビシッと水があたる感覚がウォシュレットならではなんです。
他社のシャワートイレはまぁ確かにシャワーが出てるんだけど、ぼんやりしているっていうか、キレが悪い感じ。
そりゃ、40年以上前からデータを集めて研究に研究を重ねて進化してきたTOTOには流石にどこも勝てるわけないだろう、と思っています。
<了>