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デジタル赤字と断熱対策の粗末な住宅事情

今夜のNHK「クローズアップ現代」を見ていたら興味深いテーマだった。

NHKサイトより  https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4934/

欧米のように外断熱をしっかりとした密閉型の家屋づくりと比べて、日本の家は昔ながらの「通気性を重視した」住宅施工がほとんどだという。
そのため、海外から来た人はよく「日本の家は冬寒くて夏暑い」というらしい。

確かに現代の異常気象では、昔のように風通しを重視したところで、全く
役に立たない。

番組では集合住宅や一軒家など一般的な日本の家庭に住まう家庭がいくつか出てきた。
夏は暑過ぎて全くエアコンが効かない、だけど足元は冷たくてつらい、
寝る時は寒くなり過ぎるのタイマーをかけてエアコンが止まると暑くて目がすぐ覚める、2階の部屋では暑過ぎてとても眠れない。

など、なんとも暮らしにくい事情が紹介されるが、いずれの話も他人事ではなく、一般的な木造2階建一軒家に住んでる我が家でも似たような悩みがある話だった。
きっとどこの家庭でも同じような状況ではないだろうか。

それらの原因は全て日本のこれまでの家づくりにあり「断熱がおろそかにされてきたから」だという。
昼間の太陽の熱が断熱されていない窓や天井からどんどん入ってきて中にこもり、一方でエアコンの冷気は足元にだけ溜まっていく。

解決策は家を「断熱」するのが最適解だと言います。
窓を二重サッシに、屋根裏を断熱材でカバーする「断熱リフォーム」をすることで、これまでより少ないエネルギーで快適に過ごせる、
そんな話だった。

補助金も出るみたいだし、うちも断熱リフォームを真剣に考えてみようかな、そんなことを思わせてくれる良い特集だった。

だけどなぁ、そんなことは住宅メーカーやハウスビルダーは当然のことながらずっと前から分かっていたんじゃないのか?
大体、NHKが特集するようなテーマは一般的には「へえ、そうなの!」みたいな感じだけど、その業界では特に真新しい話でもなんでもなくて、何周か回って当たり前の話が多い。
実際、AI関連の特集がそうだったな。

それって、単に住宅業界がこれまでの儲けの仕組みに慣れきってしまって、業界慣習を守ることを重視してきて、本当には顧客のことなんてあんまり考えていなかったからじゃないのかな、と思わなくもない。

もしも、
「今までそんなことは気づかなかった!これから断熱対策を中心に据えた家づくりを真剣に検討します!」
なんて住宅メーカーがあったとしたら、そちらの方がある意味ヤバい。

そして思ったのが、規模の違いこそあれこれって「デジタル赤字」の構図と同じやんって。

DX=デジタルトランスフォーメーションがIT業界ではない人にも(本当の意味は何かはよく分からなくても)なんとなく周知されてきたけれど、
DXを進めれば進めるほど、クラウドを活用するシーンが多くなり、
それはつまり、クラウドプラットフォームのシェアをほとんど独占している
AmazonやGoogleなどの外資企業にお金が流れていくということだ。

海外ITへの依存の結果、デジタルに関わるお金が出ていく一方で収支が合わなくなる、それがデジタル赤字。

それもこれも、富士通、日立、NECなどの日の丸コンピュータメーカーや国内大手SIベンダーが、いつまでも従来の儲けの仕組みから抜け出せず、気がついたら一番のキモを全部外資に持っていかれていた、ということに他ならないと思っている。

これが日本のお家芸なんだろうな。
一度決めて走り出したものは早々簡単には方向展開なんてできないし、
お役所も旨いところ取りしようと業界上げて神輿を担どうとするものだから、土台だけ重厚長大になってますます簡単には動かしにくくなる。
そして、隙を見て出てきたベンチャーなどの後発企業も技術も、強大な既得権益者たちに行く手を阻まれて大きい仕事をプライムでなかなか取れない業界事情。

なんだかなぁ。
そんな鬱々とした気分になります。

国も経済もイケイケドンドンで右肩上がりの時代なら、そんな保護政策が有効だったんだろうが、今の時代は無理でしょ。

そんな業界の片隅にいる人間ながら、自分ゴトとして考えざるを得ない夜でした。

<了>


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