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ランチ難民の辿り着く先はファミレス

今日は相方と映画でも観に行こうかと街へ出掛けた。
といっても最寄り駅周辺なのだけど。

映画は10:30〜13:20(ほぼ3時間!)と長丁場だったのだがその話はまた今度。
昼食時もだいぶ過ぎてしまって、
「お腹空いたね。なんか食べて帰ろうか」
「じゃ、久しぶりにあそこのラーメン店に行ってみるか」
「いつも並んでるけど、もう昼時過ぎたからね」
なんて話しながら、少しラーメンの口になりながら駅前の人気店へ行ってみた。

ところがラーメン店の前には長蛇の列、15人くらいは並んでいる。
「久しぶりだし動くのもしんどいから待つ?」
「そうだね〜」
店内はカウンターのみで10席ばかり。
1回転以上しないと入れない。
10分くらい待っていたが動く気配がないので、諦めて別の店を探すことにする。

うーん、今日もランチ難民になりそうな予感。
たまになるんだよなぁ、週末の駅前周辺のランチ難民。

今日は作戦を変えて、ランチをやってそうな店が並ぶ通り、つまり人通りを避けて裏道の方を歩いてみたが、駅前の大規模開発のため路地裏通の小さい店舗がすべて撤退していたことを忘れていた。
この辺りは特急停車駅の割にはラーメン店が少ない。
若干ラーメンの口になっていたが諦めて、お気に入りのタイ料理屋へ行ってみた。
しかしここも満席。
周辺の様子を見るために一周してくるが、閉店が多いのが気になる。
不景気なのだろうか。
そして、時刻は14時に近づいてきた。
ランチタイムをやっている飲食店はまもなくいったん終わりだ。
先程のタイ料理屋に戻ってみるが変わりない。

「あっちの通りの方にラーメン店があったかも」
なんだかんだでラーメンが諦めきれない2人、というのもあるが、
ラーメン店だとランチタイムとかがないからだ。
ところが、お目当てのラーメン店も「平日のみ営業」の掲示があり閉まってる。
このあたりには役所関連の事務所が多いから役所関係の客目当てなのか、週末はこの辺りまで来る人もいないからだろうか。

そして14時を過ぎる。
完全にランチ難民。

「駅前のガストでも行こうか?」
「そうだね」

駅前には外装をウッディな感じで少し小綺麗に改装したバージョンのガストがある。
先客は1組だけ。
「よし、もう下手に動かないでここにしよう。座って待ってられるし」

受付ノートに偽名と「大人」の欄に2名と書いて待つ。
今日は名前欄に「近藤」と書いた。
受付で名前を書く時はいつも偽名を書く。
というか自分じゃない名前を呼ばれて「はい」と返事をするのがなんだか新鮮で、ちょっとした変身願望というか、そういうのが満たされる感じがして楽しい。

「2名でお待ちの近藤様」

意外にすぐ呼ばれた。
店内はかなり賑わっているが、奥の方の席に案内される時に見渡してみると、食器が置かれたままのテーブルも多い。
人手が少なすぎて片付けに手が回っていないようだ。
ざっと見た所ホールには女性1人しか見えない。
マジか?

ガストは最近中国のメーカーと契約してほぼ全店舗に配膳ロボットを配置しているが、その影響で人を削減し過ぎているんじゃないだろうか?
AIやロボットに人間が職を奪われるというか、まさにその光景が。
注文もタブレットだし、決済もPaypayがあればレジで会計をしなくてもよい。
(その代わり無銭飲食対策までは取られていなさそうだったが)
注文した食事は配膳ロボットがテーブルまで持ってきてくれる。
確かに配膳ロボットはよく出来ているが、食後の食器の片付けまでは現在はやってくれない。

「お食事後の空いた食器はこちらに置いてください」
とでもアナウンスしながら、配膳ロボットが配膳の帰りにテーブルを回ってくるとかするといいのかもしれないが。
客も面白がってちゃんと食器を乗せてくれるんじゃないだろうか。

それにしても、色んな人がいる。
土曜なのに制服の高校生グループ。私立だな。
MacbookやノートPCを広げて何やら作業をしているお一人様も多い。
ドリンクバーのカップがいくつもテーブルにあるので、ここが仕事場だと長居を決め込んでいるフリーランスの人達だろうか。
スーツを来た男性と向かいにはご夫婦らしきグループ。
何かの商談をしているっぽい。
そういえば、だいぶ前にマンションを売却した時に仲介してくれた業者の営業マンとはよくファミレスで打ち合わせしてたのを思い出した。

ランチといっても15時近かったし、子どもたちとの夕食の時間もすぐなので、ピザとサラダをシェアしてそれぞれドリンクバーを注文しただけだったが、料金は2,000円を超えていた。
少し値段が上がったような気がする。
それでもファミレスは他のレストランと比べると安いはずなんだけど、デフレに慣れすぎているみたいだ。いかんいかん。
他の客達もファミレスがコスパが良いと思って来ているんだろう。

見事ランチ難民になってしまった週末だけど、最後に助けてくれたのはやはり国民食堂と言っても差し支えなさそうなファミレスだった。

<了>

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