East Works Entertainment incという国内JAZZレーベル
ここに1枚のCDがある。
どうやって入手したのか覚えていないのだが、おそらく当時よく通っていた金沢市内のCDショップでもらったんだと思う。
「JAZZ TODAY 2003 ewe sampler」とあるが、
East Works Entertainment incという国産のJAZZレーベルが出していたサンプラーCDだ。
収録されている日本のアーティストだけをピックアップしてみても、
井上淑彦、綾戸智絵、岡崎好朗、渡辺香津美、石井彰、渡邊琢磨(COMBO PIANO)、南博、川嶋哲郎、安カ川大樹(YA!3)、佐藤允彦
と錚々たるメンバーだ。
2003年当時の若手〜中堅のいわば国産JAZZ The New Chapterと呼んでもいいようなメンツじゃないか。
21世紀のUSテキサスのRobert Glasper一派のようにHipHopやクラブ・ミュージック寄りでもなく、UKサウスロンドンの新世代JAZZムーブメント達のミクスチャーでもなく、モダンジャズの流れを汲んだJAZZでありながらもしっかりと現代の音楽として格好いいサウンド。
ちょうど、現在絶賛公開中のBLUE GIANTの彼らが演っているようなJAZZにも近いかもしれない。
日本にもこんなに格好いい新しいJAZZを演っているアーティストがいるんだ、そんなレーベルだったと認識している。
このサンプラーが出た2003年当時といえば、僕は真剣にJAZZを聴き込むようになって4年くらい経った頃だった。
小川隆夫さん、後藤雅洋さん、寺島靖国さんなど、ジャズ名盤を紹介している本を片っ端から買ってきては、モダン・ジャズからモード・ジャズ、フリー・ジャズまで大方の名盤といわれるものは一通り聴き、
北欧ECMやヨーロッパの現代ジャズに手を出して、もっと新しいジャズが聴きたい!と耳が広がっていた時だった。
石川、福井、富山の北陸3県がテリトリーの営業として社用車で走り回っていたので、移動時間にCDを聴く時間がたっぷりあったこともJAZZにどんどんはまっていった理由の1つだろう。
ある日、金沢工業大学へ営業へ行った帰り道の夕方、CDショップを見つけた。繁華街でもない、こんなところにCDショップが?というような場所にあったが、広めの店内にはお客がそれなりにいた。
そこで見つけたのが、当時売り出していた綾戸智絵さんのポスターと綾戸智絵さんのCDを出していたEast Works Entertainment incレーベルを特集しているコーナーだった。
そこで、最初に購入したのが、南博のGO THERE!と多田誠司&大坂昌彦のTHE MOSTの2枚目FORCEだったと思う。
南博さんのことは全く知らなかったが、ジャケットが洒落ていてなんだか新しい音がしそうだったから。
そして、THE MOSTはドラムの大坂昌彦さんが小池修、青柳誠、納浩一とEQというスーパーユニットでデビューしたばかりだったので、これはもっと面白そうだぞ、と思ったから。
それ以来、このレーベルは常に気にしていて、金沢工大方面に行く度に、かのCDショップに立ち寄り、EWEのCDを1枚ずつ購入していた。
何度かの引越しで処分したCDも多いのか、同レーベルのCDが15枚だけ見つかった。
金沢のこのCDショップがなければ、EWEレーベルとはもっと出会うのが遅かったかもしれない。
店の名前も覚えていないが、さっき調べたが該当するようなCDショップはもう存在していないみたいだ。20年近く前だし仕方ないか。
そして、このEWEも最近全然見かけないなと思っていたら、なんと2015年に破産申請を出していたようだ。
極めて残念だ、もったいない。
配信が広まってCDが売れなくなってきたからというのが理由のようだが、本当にもったいない。
あと数年後だったらクラウドファンディングとか資金調達の道はあったかもしれないし、レコードだって売上が伸びてきて復活の兆しもあったかもしれないのに。
現代の若いJAZZミュージシャンもどんどん出てきているので、そうした音楽をどんどん紹介して欲しかった。
1人のファンとしてしか経緯を知らないし、当時の記事もあまりなかったりするので、事情を知っている人がいたら教えて下さい。
Wikipediaにわずかばかり情報があった。
Discogsにも若干カタログがあった。
残念ながら、EWEレーベルのCDは中古で探すしかないので残念ですが、当時の日本の最先端のJAZZを紹介していて(そしてワールド・ミュージックと接続した海外アーティストも)、おそらく今聴いても素晴らしいカタログだと思うのだが。
誰か再発してくれないだろうか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?