いつまでこういうビジネスを続けるのだろうか?〜音楽ビジネス衰退の一因
今日、こんなニュース記事を読んだ。
二十歳前後の派遣社員の女性が、他人のクレジットカード情報を不正に入手して男性アイドルグループのCDを大量に購入して逮捕されたという。
アイドルグループはDEEP SQUAD、1枚 1000円のCDを買うとオンラインで会話が「5秒」出来るトーク会への参加券が手に入るからだ。
もちろん「たったの」5秒では何の話も出来ないので、彼女は他人のカードで116枚のCDを購入し約10分間会話できる権利を手に入れたというのが事件のあらましだ。
このニュースを見て最初の感想は「またか」というもの。
この「またか」は不正カード利用ではなく、CDの特典付きの抱き合わせ商法にかかっている「またか」である。
もちろん他人のカード情報で不正に物を買うのは良くない。全くもってよくない。犯罪だし、逮捕されるのは当然だ。
しかし、CDを販売した方はどうだろう?
DEEP SQUADなんてグループは聞いたことがないので、調べてみたらLDH JAPAN所属だという。
LDH JAPANというとあれだね、Exileの系列でしょ。
Exileや三代目やらのファンには申し訳ないが、秋元◯◯のところのAKBの握手券と全く同じようなことを今でもやっているのかとうんざりした。
Exile系列のグループには特別悪い感情もなかったし、まぁ真剣にダンスはやっているようだし、それはそれでまぁ人気が出るのはもっともなんだろうとは思っていた。
21世紀型の新しいヤンキー文化を見ているようで苦手だったけど。
それでも、今回のニュースでやっぱりな、という思いとだからダメなんだよという怒りも湧いてきた。
CD1枚 1000円で買って「たったの5秒」会話が出来る。
そんなのファンは「たった1枚」で満足出来る訳がないことは明らかじゃないか。
「こんにちは!」
「あ、どうも!」
「あわわ、、、えーと、、、、キャー!どうしよう!」
せいぜい5秒間なんてこんなもんだろう。
なので、ファンは1枚と言わず何枚も購入するのは、仕掛けた側(それがレコード会社なのかアーティスト事務所なのかはわからないが)には目に見えていたはずだ。
いや、むしろそういう大量購入をハナから狙っていたんだろう。
それでいいのか?
君たちは音楽を売っているんではないのか?
メンバーとのオンライントークがメインなのであれば、CDを売るのではなく、最初からオンライントークイベントチケットを販売しろよ。
こんなカタチでCDセールスが最速で◯◯◯枚いきました!
新記録です!
レコード大賞新人賞です!
それが嬉しいのか?
君たちは音楽業界を何だと思っているんだ?
仮にも音楽業界に片足でも突っ込んでいると思っているのだったら、音楽文化がきちんと繁栄するようなことを真剣に考えて、良い音楽、素晴らしい商品を作ろうという考えはないのか?
何でもいいから、自前のアーティストで金儲けが出来ればいい、そんな風に思っているのであれば、見世物小屋の興行主でもやっていればよろしい。
少し前にAKBグループがCDに握手券を付けたことで、オタク達が1人で大量のCDを「握手券欲しさに」購入して、CDそのものは廃棄されるという出来事が社会現象としてニュースになるほど問題になっていたはずだ。
それ以前からCDの売上は下がり続けていた中で、AKBグループだけは一人勝ちの状態でCDセールスを伸ばしていたようだが、種を明かせばCDが売れていた訳ではなく握手券が売れていただけの話だ。
なので、いくら彼女達が一生懸命歌って踊って、良い音楽を届けよう(と思っていたのかどうかは分からないが)と思っていたとしても、そのCDセールスは音楽業界に取ってみれば数字だけ上がっているように見えても、業界を根本的に救うものとしては何の意味もなかった。
そんなことをこの令和にまだやっているという、その手口に呆れ返ってしまう。
真剣に音楽のことを考えず、音楽そのものでマネタイズする新しいビジネスの創出に頭をひねることもなく、
徹夜続きで死に体の人間にシャブを打ち込んで働かせるような、そんなことばかりやっているから音楽業界は衰退の一途を辿るんだろう。
似たようなところでは、既存カタログの再発連発などおっさん狙いの商法ばかりもどうかと思うが、少なくとも彼らが売っているのは「音楽」だ。
ほんと、頼むから握手券だのトーク会だの、音楽と全く関係のない興行を音楽メディアと抱合せで金を取ろうとするビジネスはやめてくれ。
一人の音楽ファンとして心からそう思う。
<了>