『サンクチュアリ -聖域-』は絶対に観たほうがいい、ちゃし!
話題のNetflixオリジナルドラマ『サンクチュアリ -聖域-』全8話をこの週末2日間で観終わりました。
最高です。
見くびってました。
もっと早く観ればよかったです。
我が家でも『クイーンンズ・ギャンビット』『コブラ会』に続く大ヒット作品です。
Netflixジャパン製作の激推しドラマでトップ画面にもおすすめで来ているのは知っていました。
でも最初は「これは観ないかなぁ」なんて思っていました。
<観ないと思った理由>
理由1.相撲ファンではない
理由2.むしろ相撲および相撲取りがあまり好きではない
理由3.格闘技は全般的に観ない
理由4.スポ根モノを観ない(たまに観ればハマるのだが)
理由5.荒くれ者達(いわゆるヤンキーとかそっちの人たち)が苦手
理由6.作品イメージ全般から暑苦しそうな雰囲気が漂っていた
ところが、何故観るつもりになったのか?
それは町山智浩さんが2つの番組でそれぞれ今作をおすすめしているのを聞いたから。
それから、Youtube Netflix Japan公式チャンネルで公開されていた番宣動画を数本観て、その相撲シーンの格好良さと迫力にまず驚き、それから
「なんだかこれはとんでもない作品ぽいぞ」
と思ったからです。
ちょうど相方も、いつも聴いているポッドキャストで紹介されていたので「観たいと思っていた」ということだったので、週末2日かけて観ることにした訳です。
1話を観ただけで、<観ないと思った理由>が全部当てはまりつつも、それがむしろこの作品の魅力になっているというアンビバレントな感じでした。
圧倒的な作画、相撲シーンの迫力、役者さん全員の熱などに「絶対面白いやん!」と止まらなくなりました。
江口カン監督のインタビュー動画もNetflix Japan公式チャンネルで公開されていて、その中で
「力士を美しく格好良く撮ろうと撮影チームと最初から話をしていた」
と仰っていますが、まさにその通り。
とにかく、力士が美しく格好良い。
普通の生活に支障をきたすほどに体重を増やした巨体がいったん土俵にあがり全身でぶつかりあった途端に、その尋常ではない様子に、これは本当に現実の世界の話なのか?と思わずにいられないという。
稽古からしてその凄まじさが描かれています。
どこまでが創作で、どこまではリアルに近いのかわかりませんが、
「半端な気持ちでは出来ないまさに命がけの格闘技」だということがビシビシと伝わってきます。
正直、相撲の事は舐めてました。
「確かに普通の人と比べるととてつもなく巨漢の人たちだろうけど、その分やっぱり動きも遅いし、アスリートって感じじゃないんでしょ?」
みたいな。
タニマチと飲み歩いていたり、カラオケが上手かったり、意外に女性関係が盛んだったり、みたいなスキャンダラスな部分だけを面白おかしくみていたからです。
小学生時代は祖母の家に預けられていたこともあったので、NHKの大相撲は常についていたので横目は見ていました。
北の湖が憎たらしいほど強い横綱の時代でした。
祖母は貴乃花(お父さんの方)のファンでした。もちろん良い男だから。
今はすっかり少なくなりましたが、当時はハワイからも多くの力士が活躍していた時代でした、高見山、小錦、曙、武蔵丸。
大人になって、何気に大相撲中継をつけている時はありますが、それでも特に誰のファンという訳でもなく。
それでも、千代の富士は好きでした。筋肉質で格好よかったから。
それから若貴時代になり、彼らが自分より少し下の世代で、しかも二世サラブレッドの活躍だということで素直に喜べないところもあったり、興味が遠のいていきました。
つい最近まではモンゴル勢が幅を利かせて、日本の若手力士が活躍しないのか、と国技であるのに完全にアウェーな感じでいたような状況でした。
そんな時に今作です。
知らず知らずに小さい頃から日本の国技として無意識に刷り込まれていた(もちろんNHKの大相撲中継を通して)大相撲への愛着が呼び起こされたのかもしれません。
そして、王道を行くようなストーリー展開。
主人公の抱えた境遇とその世界に自身を賭けざるを得なくなってくる理由、自分が自分であることを証明するために、抱えてきた何かに打ち勝つために。
最初は金儲けという動機で軽い気持ちで入った相撲の世界。
特に相撲が好きだから入った訳でもないので、稽古に身が入る訳でもなく、真剣に取り組んでいる先輩達と上手く行くはずもなく孤立しています。
それでも、ある程度の才能はあったのでそこそこ強いんじゃね?くらいの結果は出しますが、当然もっと強い奴はいくらでもいる世界です。
そんなに甘い世界ではない。
そこから色んな背景や事情を経て、自分で気づき変わっていくモチベーションが丁寧に描かれるので、視聴者も十分に感情移入できるようになっています。
サイドストーリーも時間こそ多くは避けないものの、極力きめ細やかに描かれていて、
親方同士の確執、
タニマチの存在、
主人公の適役となる人物、
主人公を応援する仲間、
反目し合いながらも最後には「俺たちはやっぱり強くなりたいんだ」と一丸となる部屋の弟子たち、
そしてラストシーンで泣かせる部屋の兄弟子の引退、断髪式、
とにかく毎話ぐいぐいと引っ張り回され、観ることを止められません。
そしてそれらの物語にリアルなものとして息を吹き込んでいるのが素晴らしい役者たちです。
なんでも、この撮影のために2年近く本当の相撲部屋のようにみんなで稽古をしていたという話もされていました。
最後の7話から8話にかけての猿桜役の一ノ瀬ワタルさんの身体の仕上がりは1話と見比べるとまさに相撲取りの身体で、相当きつかったんじゃないだろうかと想像します。
それくらい主人公の一ノ瀬ワタルさんはこの作品を世に出すために生まれてきたんじゃないかというくらいのハマり方。
親方のピエール瀧さん、親方にしか見えない!
小雪さんも素敵なお上さんだし。
部屋の皆さんも、新聞記者の田口トモロヲさん、忽那汐里さん、敵役たち。
みんな、本当に素晴らしい。
そうだ!言い忘れていました。
我々一般の視聴者の気持ちが寄り添いやすい役割として、染谷将太さんの役ですね。
相撲が好きすぎて相撲部屋に飛び込んだものの、当然全くついていけずに一度は諦めるのですが、お上さんに呼び込みとして引き戻された若者。
彼が猿桜のよき理解者になっていきます。
町山さんが、このドラマを観るとみんな四股を踏みたくなりますよ、と言ってましたが、その通り!
「ダイエットにもいいね!」なんて言ってみんなで四股を踏んでます。
最後に、
このドラマは日本相撲協会の協力は一切ないらしいです。
古い体質の組織だという印象通り、例えフィクションだとしても少しでも、
内実と合わないこと、
内実と同じだけど外部に明らかにして欲しくない都合の悪いこと、
などがあると協力出来ません!みたいになるんだろうなぁ、と。
そうしたことも全部飲み込んで、さらに大相撲の人気上昇になるならば!
なんてことが大局的に見えていないんだろうな、
そんな他の業界でもありそうな日本の既得権益者側の人たちのメンタリティがとても残念です。
そんな逆風(とも思っていないだろうが)に負けずにここまで面白いドラマを作ったNetflixには拍手を送りたいです。
国技館も貸してもらえないので、セットで作ってしまったという恐るべき執念にも脱帽です。
是非まだ未見の方は『サンクチュアリ -聖域-』を観て下さい。
相撲好きでは全くない筆者が全力でおすすめします。
<了>