創業1935年、"日本で初めてTシャツを作った会社"のブランドリニューアルを通して見えたこと。
墨田区錦糸町に"日本初の国産Tシャツメーカー"久米繊維工業(創業1935年)という会社がある。
その久米繊維のファクトリーブランド「KUME.jp」をリニューアルするお手伝いをこの1年かけてやらせてもらい、ようやく先週新しいWEBをローンチした。
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このリニューアルに際しては、
「(大企業ではなく)歴史ある中小企業としてやるべきこと、やるべきでないことは何か?」という点を特に大切にして取り組んだ。
例えば、
・サイトの構造/機能面などで奇をてらったことをして無駄にお金をかけない
・一方で、一番の資産である歴史ある自社工場(千葉、埼玉)を活かし、そこでの撮影等にリソースを集中して、ものづくりへのこだわりを表現する
といったことだ。
言葉にすると当たり前のことではあるけれど、これをちゃんと「実行」することは結構大変なことだと思っている。
その意味でこれをカタチにするのに尽力していただいたみなさんには感謝感謝だ。
Special Thanks to...
Creative Director: 柴田賢蔵
Photographer: 山崎彩央
Stylist: オクトシヒロ
AssistantPhotographer: 高橋草元
Producer: 奥貫克郎
UI/UX Designer: 熊崎慎之介
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そんなプロジェクトを通して、すごく感じたことがある。
それは、いいモノづくりをしている会社ほど「自分たちの資産を過小評価しているのではないか?」という点だ。
例えば、久米繊維には歴史のある2つの素晴らしい工場がある。
年代物のミシン、その道数十年のシルクスクリーン職人、そして実直なものづくりを続けて来たからこそ生み出される雰囲気。
ロケハンしたデザイナーやカメラマンにとってはまさに垂涎もの。
もちろん生産性やコスト競争力では最新型の工場に比べるべくもないが、今の時代、そしてこれからの時代、ますますそういう無形的な価値が見直されてくる中ではやはり誇るべきものだ。
でも、クライアントの社長から何度も出て来たのは「恥ずかしい」という言葉。
「最新の設備に投資する余裕もない懐事情を晒すようで、、出来れば見せたくない、、」というのが最初のリアクションだった。
そしてその拒否反応は自分たちが想像していたのの何倍も強いものだった。
(実際に工場でのモデル撮影を実現するまでには相当なハードルがあった)
外から見ると"これ以上ない"プラスの資産は、内から見ると"これ以上ない"マイナスの資産に写っていた。
工場のこと以外にも、1年のプロジェクトを通じて見聞きした「すごいこだわり」がここには到底書ききれないほどたくさんある。
でも、そのほとんどが「恥ずかしいから、、」といった理由で、これまでなかなか外に向けて発信/表現されていなかった。
内と外の認識のズレ。
こういったことは多々耳にすることではあったけれど、そのことを自分自身が手触り感を待って経験できたこと、そして予想していたのの何倍も「マイナス感」を中の人が感じているという事実は、改めて今後を考える大きなきっかけになった。
そして、内からと外からとでこれだけ自己認識のズレがあるからこそ、今後も自分は「内と外の橋渡しをする」人間として日本のモノづくりに関わっていこうと改めて決意するきっかけになったプロジェクトだった。
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と、長々と書いてしまいましたが、、一番お伝えしたかったことは、、
日本初のTシャツメーカーとしての矜持が詰まった久米繊維のTシャツ、ぜひ一度袖を通してみてください!ということでした(笑)
ちなみに、個人的にはオーガニックコットンを使用し、旧式の吊り編み機でふっくら編み上げたサスティナブルラインというシリーズが特におすすめです。
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