お客さんに「優しくない」仕組みにこだわる理由 /【果物無人販売所 F STAND(エフスタンド)】
去年の夏ごろからゲリラ的に始めた、果物無人販売所のF STAND(エフスタンド)が、ありがたいことに最近いろんなメディアに取り上げられました。
日経MJ、読売新聞、ITメディアオンライン、TOKYO MX、めざましテレビ(9月24日放送予定)など。
特に、ITメディアオンラインの記事はヤフートピックスにピックされて一時Yahoo!トップにも出てくる状況になったこともあり、かなりご無沙汰な知り合いからも多数連絡を頂きました。
それはとても光栄なことだし、自分が取り組んでいることに注目してもらえることは素直にうれしい。
一方で、メディアではどうしてもわかりやすい部分ばかりクローズアップされてしまうもどかしさも感じています。
具体的に言えば、
・「都心で高級果物を無人で販売しているのに、盗難ゼロ!!?」とか、
・「QR決済とSNSを活用した令和版無人販売!」とか、
そういったことです。
間違ってはいないけれど、正直なところ、
F STANDで目指したいこと、
世の中に示したい世界観
(私がやっているUnsungs&Webという会社では「この事業で立てたい"新しい旗"」といっています)
の1%も伝えられていない、、
そんなフラストレーションをずっと感じていました。
ただ、それはメディアのせいではなくて、自分たちの発信がたりてないということ。
この機会に、自分なりの考えをまとめてちゃんと自分自身の言葉で発信してみようと思い、久しぶりにnote投稿をしてみることにしました。
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1.徹底的にお客さんに「優しくない」仕組みにこだわる
まず、タイトルにもあるとおり、
F STAND(エフスタンド)は、徹底的にお客さんに「優しくない」仕組みづくりにこだわりたいと思っています。
具体的には、
・不定期に開催。しかも開催日は(ほとんどの場合)1~2日前にSNS告知
・販売場所やその数も直前にならないと決まらない
・収穫してから48時間以内の限定販売
・売り切れ御免。買いたいお客さんの数>仕入れる果物の量
・WEB等での予約は不可。現地でのQR決済のみ(現金不可)
などなど。
この仕組みのせいで、しばしばお客さんからお𠮟りを受けることが多々あります。
それに、足元の売上や利益だけを考えるなら、当然もっと回数を増やして定例化(毎週xx曜日など)し、制限時間をなくし、売れそうなときはもっと果物を仕入れ、一部宅配などをおこない、現金対応もする方がよっぽどいいということはもちろんわかってはいます。
2.既存の流通への"アンチテーゼ"を示したい
それでも、このお客さんに「優しくない」仕組みにこだわるのは、F STANDを通じて、既存の流通へのアンチテーゼ(=農家さん主導の流通)を示したいと考えているからです。
まずはっきり書いておきたいのは、私は既存の流通を批判するつもりはまったくありません。
日本全国津々浦々まで整備された今の流通の仕組みのお陰で、「トマト食べたいなー」と思ったらスーパーで1年中いつでも好きなだけトマトが買えるわけだし、トマト1つが急に500円になったりみたいな価格の乱高下も避けることができる。
徹底的にお客さん(消費者)のことを考えて確立され、日々進化しているのが今の小売流通の仕組みです。
自分自身も日々この恩恵にあずかっているし、そこに携わる人たちには感謝しかありません。
ただ一方で、このとてもシステマチックな流通の仕組みによって、失われてしまっているものもあると感じています。
そしてそれは私たちにとってとても大切なことだとも感じています。
3.システマチックな流通によって失われてしまったもの
その"失っているもの"の1つが「(産地で食べるような)ほんとうの完熟果物の美味しさ」だと思います。
F STANDを始めたときの投稿にも書きましたが、私が出身地の山梨県南アルプス市に住んでいた子供のころは、「果物は貰うもの」でした。
なぜなら、自分の祖父母もぶどうを作っていたし、周りには果物畑ばかりでさくらんぼ、すもも、もも、ぶどう、柿あたりは旬の時期にはかならず家に農家さんからもらったお裾分けであふれていたからです。
(そしてこの果物を買ったことないというのは、"山梨県人あるある"だったりします笑)
しかも(今思えば)当時家にあった果物たちはしっかり完熟したほんとうにおいしい果物でした。
それは、農協への出荷から始まる一般的な流通だと、「ほんとうに完熟したものは(逆に)出荷できない」からです。(だから近所の人へのお裾分けにまわることになります)
それが当たり前だった私にとって、大学入学を機に初めて上京した時に食べたスーパーのぶどうの味には衝撃をうけました。「なんでこんなに味も香りもしないの!?」と。
そんな経験もあり、ずっと心の中にあった、
いつか産地で食べるようなほんとうに完熟した美味しい果物を、まわりの人に食べさせたいという想い。
そんな想いを起点にF STANDは始まっています。
4.「優しくない」仕組みのワケ
その想いを自分なりに煮詰めた結果、
「不定期に開催。しかも開催日は(ほとんどの場合)1~2日前にSNS告知」、「収穫してから48時間以内の限定販売」という仕組みにいきつきました。
そうすることで、農家さんが考える「一番おいしいタイミング(旬)」に「一番おいしい状態(完熟)」で届けることができると考えているからです。
というのも、実は果物のほんとうの旬というのはかなり短いのです。
1つの産地で1つの品種でいえば、(スーパーで買っていると気が付かないですが)ほんの数日だったりします。
そして、日々移り変わる天候の中で、農家さん自身もその旬のピークがいつくるかは数日前にならないとわからなかったりすることもしばしばです。
なので、頻繁に産地の農家さんと連絡を取り合いながら、ギリギリまで日程を調整し、1~2日前にようやく確定するなんていうこともあります。
そして「収穫してから48時間以内の限定販売」とするのも、自分たち自身で自らの首を絞めるようですが、ほんとうにしっかり完熟した果物を農家さんに提供してもらうために必要なことでした。
ただし、朝収穫したものをその日の昼までに東京に持ち込めるような物流の仕組みは世の中には存在していません。
なので、自分たち自身で車を運転し産地まで集荷に行き、その日の昼までに東京の無人スタンドで販売を開始するという、強硬策を取っています。(笑)
さらに、F STANDでは仕入れる量も直前まで決まっていません。
それは農家さんが納得いくクオリティの果物がどれくらいの量準備できるかは直前までわからないことも多いからです。
なので、その仕入れ量に応じて販売する無人スタンドの数や場所を柔軟に調整できるようにしています。
(ほかにも色んな要素があるけれど、長くなりすぎてきたので中略します、、)
5.だからこそ、お客さんに届けられる価値
そのような感じで、F STANDではとことん「農家さん主導」の仕組みにこだわっています。それは翻すと、「お客さんにやさしくない」仕組みになってしまっているかもしれません。
ただ、だからこそお客さんに「(産地で食べるような)ほんとうに美味しい完熟果物」を味わっていただけるようになると考えています。
そしてそれが、既存の流通へのアンチテーゼ、つまりは【農家さん主導の流通】という世界観の一端を示すことにつながればいいなと日々取り組んでいます。
6.メディアとしての小売業、というビジネスモデル
この事業を本当の意味で成り立たせるために、外せないもう1つの要素。
それはF STANDの収益モデル(ビジネスモデル)についてです。
どんなに高尚な志や想いがあっても、それが経済的にかつ継続的に成り立つものになっていないと、いつかどこかが疲弊してしまいます。そして単発の打ち上げ花火のような取り組みで終わってしまうことになります。
【農家さん主導の流通】を掲げる以上、農家さんにしわ寄せがいくことだけは避けたい。一方で、お客さんにしわ寄せがいって、果物はおいしいけれど不便な上に売価も高いということになれば当然どんどん離れていってしまうことになります。
だからF STANDは、WEBメディアのようなビジネスモデルを志向したいと考えています。
7.東京近郊の「地方自治体との連携」(F STAND Project)
お客さん(エンドユーザー)から頂く利益は最小限に。
つまり、「このクオリティの果物がこの値段で買えるの!?」という驚きや感動を与えるために、厳選した果物を自社物流でその日中にお届けし、且つそこでの自社の利益は最小限にして価格設定をします。
もちろんそれだけだと私たち自身が疲弊していくだけだし、実際に疲弊していますが。。笑
それでもこのF STANDという仕組みを続けていくために、今後は「山梨県内の市町村」をはじめとする東京近郊の地方自治体などとの連携を行っていきたいと考えています。
具体的には、その土地の果物の魅力をPR、つまり一生つきあってくれるファン(関係人口)をいかに増やすかのお手伝いをしたいと考えています。
~「おいしいのに、知られていない」を届ける。~
F STAND Project
8.「F STANDチーム」だからこそできる産地への貢献
F STANDなら今まで難しかった、産地で食べる本当の美味しさを、伝え体感してもらうことができます。
しかもこれまで主流だった広告や百貨店での催事と違い、「継続的に」産地で食べるようなおいしさを都内の生活者にお届け、ファンづくりをしていくことができます。
提供するサービスとしては、以下の①~④です。
①「F STANDでの販売&産地プロモーション」
F STANDでの販売を通じて、産地で食べる「ほんとうの美味しさ」を伝えるとともに、都内各所のスタンドやコラボ店舗にて産地プロモーションを行います。
②「都内におけるPOP-UPイベントの企画、運営」
提携先イベントスペース/店舗にて、美味しさの裏にあるストーリーや作り手の想いを伝えるイベントを企画・開催します。
③「継続的な接点を作りための商品開発」
POP-UPイベントを実施したカフェ等の店舗にて、イベント終了後も消費者と継続的な接点をもつことを目的に、商品のレシピ開発と実際の提供を行います。
④「ファンを生む場「産地ツアー」の企画、運営」
FSTANDやイベントなどを通じて地域の農産物の魅力を知ってくれた人たちを、旬の時期に産地に招待する場をつくることで、ほんとうのファンを醸成します。
この①~④を各自治体の課題感や状況に応じてオーダーメイドで組み合わせ、これまでなかなか伝えられなかった「産地のおいしさ」を伝えるお手伝いが出来ればと思っています。
そして、この流通、POP-UPイベント、産地ツアーなどをトータルにプロデュース/提供できるチームがあるというのがF STANDの強みです。
博報堂出身で、HONDAや東京メトロのような大手企業の広告デザインだけでなく、様々なブランドの0⇒1を手掛けてきた柴田賢蔵がCreative Directorとして。
http://shibatakenzo.com/
都内を中心に空間プロデュースやレシピ開発、ケータリングなど、食と空間の領域で強みを持つ株式会社Yuinchuがパートナー企業として。
https://yuinchu.com/
このPR事業から収益を得るビジネスモデルを確立することで、果物を買ってくださるお客さんにはこれまでの流通だと提供できない価値をとことんお届けすることのできる土台を作っていきたいと思います。
そして、この仕組みが全体として、「農家さん、産地(自治体)、お客さん(消費者)が三方よし」になるように(まだまだ走り始めだけど)突き詰めていきたいと思います。
9.さいごに)F STANDに興味持っていただけた方は、、
まだ駆け出しのF STANDですが、もしリアルやSNSで見かけたら、ぜひ応援いただけるとうれしいです。
各種SNSにて販売情報や産地からの発信などを行ってますので、ぜひフォローお願いします。
※産地中継は主にTwitterにて。
<スタンド設置のスペース募集>
現在、F STANDの無人スタンドを設置させていただける場所を募集しています。
自分たちで配送している関係で、都内全域とはいかず現状スタンドを設置している渋谷区、豊島区付近にて特に探しております。
もしその地域の方でご興味持っていただける方、「うちのお店の軒先にどう?」という方いらっしゃいましたらご連絡下さい。
お問い合わせ:info@fstand.jp
<自治体の関係者のみなさま>
F STANDの仕組みや都内でのPOP-UP、産地ツアーなどを通じて産地の魅力を発信していきたいとお考えの方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。
お問い合わせ:info@fstand.jp
~「おいしいのに、知られていない」を届ける。~
F STAND Project
<F STAND公式SNS>
【 Twitter】
https://twitter.com/fstand2020/status/1308743437408038912?s=21&fbclid=IwAR0ZJncTlRM4fVt-EwetI-WftDtWFeOSLgCOYidwqPNqmslLEoPO_tddNqc
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