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新野将之 パーカッションリサイタル 2022年6月11日(土)

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たった一人の打楽器音だけで2時間のリサイタルができてしまう新野将之

2022年6月11日、つまり昨日、新野将之パーカッションリサイタルに行ってきました。新野将之は、今や日本を代表する打楽器奏者です。私は、個人的には、新野将之は「第2の吉原すみれ」と呼ばれるようになるだろうと思っています。いや、もう呼ばれているかもです。

「たった一人の打楽器音だけで、2時間のリサイタルができてしまう」、と書きましたが、これは今に始まった事ではなく、もう10年ほど前になりましょうか、彼の最初のソロリサイタルから、そうでした。しかもその最初のリサイタルは、確か音程のハッキリしたマリンバやビブラフォンも一切ない状態でのリサイタルではなかったかと記憶しています。

たった一人の打楽器の衝撃音だけで約2時間のリサイタルを演奏しきることは、想像を絶する困難を伴います。衝撃音以外の音が鳴るからこそ、聴衆は音楽の多様性と色彩感を感じることができます。打楽器の衝撃音だけで、それを表現する事は、奏者の卓越した技術と、豊富な経験と深い思索とに裏打ちされた高度な音楽性がなければ、聴いてくれる人たちを引き付ける事は、出来るはずがないからです。

ぶっちゃけた言い方をすると「お前、やってみろよ」と言われて出来るか、という事です。これに「できるよ」と平然と答えられる打楽器奏者は、日本でも数名しかいないのではないかと思えるほど、それはそれは大変な演奏会だと思います。

新野将之は、なんと演奏家デビューをした当初からこれをやり続けてます。そして1度や2度で終わることなく、その基本的スタイルをずっと続けているのです。この事は「凄い」という表現では足りず、「恐ろしい」と言うのがふさわしいように思います。

しかもその表現方法は、回を追うごとに新しい表現を取り入れ、リサイタルはますます充実の度合いを強めています。これは、彼が現在の成功に奢る事なく、溢れ出る向上心をもってたゆまぬ研鑽を続けている事の賜物だと思います。彼のソロリサイタルにはほぼ毎回足を運んでいる私ですが、彼のソロリサタルが進化する様子を感じ取れることは、大いなる感動です。

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今回のリサイタル

今回は初めて共演者が登場しました。新野将之の直弟子、飯田耀太氏、いや、飯田耀太君と呼んだ方がよいかもです。大変若く、まだ少年の面影を残す彼は正に新進気鋭と呼ぶべきでしょう。まだ二十歳そこそこの彼が、あの新野将之にきちんと合わせた演奏ができていました。素晴らしいです。

2人いる事で、演奏の幅というか、自由度が広がり、今までに味わったことのないステレオ仕様のサウンドを聴く事ができました。

とはいえ半数以上の曲では、今までのリサイタルと同様新野将之一人の演奏でして、独自の緊張感と、獣性感とでも言うべき激しさを、今まで通り味わう事ができました。

特に最終曲、ルボン、これは何度も聴いている曲ですが、今回のルボンは、今までになく磨かれた、完成度の高い、スキの無い、輝かしい演奏でした。

今回も私の曲を演奏してくれたこと

昨年9月、前回のソロリサイタルに続き彼は私の曲を演奏してくれました。新野将之ほどの奏者が私の曲を演奏してくれるなど作曲家冥利に尽きます。曲は「水浸しの憂鬱」。原曲は、アコースティックギター独奏曲です。この原曲は、YouTubeに演奏動画をアップしていますので、ご興味のある方は、是非ご視聴くださいませ。

彼はこの曲の演奏で、ビブラフォンという楽器の可能性を、とてもよく引き出していると感じます。原曲はアコースティックギターで、振動体は金属弦です。ビブラフォンも振動体は金属の音板です。振動の表情に、共通項がたくさん見出せます。この曲を演奏するにあたり、ビブラフォンを選んだ彼の洞察力には、恐れ入るばかりです。

下の写真は、私のアルバム「天照」録音時に、ミュージシャンの集合写真を撮った時のものです。打楽器は、新野君が演奏してくれました。

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