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警告!この記事を読んではいけない50「銃」について17<潜水艦の魚雷>

前回の記事では、潜水艦のお話をしました。第二次大戦直後までは、潜水艦にも砲が積まれていたというお話しもしました。今日は、潜水艦の主兵装、魚雷のお話しです。魚雷は砲ではありませんが、潜水艦が、水中から何かを攻撃する際には、殆ど唯一の攻撃兵器ですから、お話ししておきましょう👆

魚雷とは

魚雷とは、魚形水雷の略です。水雷とは、水中で爆発して敵を攻撃する兵器です。水雷は主に3種あります。                                1 機雷:港湾の入り口などに敷設する水雷。主に、買い手に着底する「おもし」から鎖でつながれた爆発部分が海面もしくは海中に浮かび、艦艇などがこれに触れると爆発して艦艇を沈める、というもの。            2 爆雷:駆逐艦などの水上艦から、水中の潜水艦を攻撃するためのもの。艦上で爆発深度を設定し、投射機で水中に打ち出す。既定深度に達すると、爆発し、その際発生する爆発的な水圧で、潜水艦にダメージを与え、沈めようのいうもの。                                        3 魚雷:魚形水雷の略。魚形という名称だが、確かに魚のような形でもあるが、それよりもこれは魚のように自分で泳いで目標に向かうという意味。推進装置が内蔵されていて、水中をスクリューで高速移動して敵艦に命中すると爆発して沈めようというもの。

魚雷の種類

魚雷の種類は、ごく大雑把に分けると2つです。長魚雷と短魚雷です。長短と名前が付いていますが、これは必ずしも、魚雷の長さで分けている訳ではありません。

潜水艦から発射して、長い射程で敵艦を撃沈しようとするものを長魚雷と言います。結果として、長さが長いものが多いです。駆逐艦や航空機から発射して、あるいは投下して、主に海中の潜水艦を沈めようとする、あるいは水上艦を沈めようとするもの、これを短魚雷と言います。結果として、長さが短めのものが多いです。

魚雷の直径

現在の魚雷の直径は、第2次大戦時には、多くが533ミリでしたが、現在は用途に応じて様々で、324ミリ、406ミリ、450ミリ、483ミリ、550ミリ、610ミリなどなどです。魚雷の口径は、銃の口径と同様に重要な数字で、まあ、単純に考えて、威力は銃の口径と同じ考え方で捉える事ができるでしょう。

考えてみてください。銃の口径は、5.56ミリの22口径拳銃で、充分に人が殺せます。銃の口径は、他の条件が同じならば、口径が2倍になると、威力はほぼ10倍になります。口径12.7ミリの50口径銃もありますが、12.7ミリなどという拳銃は、反動が大きすぎ普通の人間には撃てません。

口径が20ミリに達すると、銃ではなく砲と呼びます。そして現在までに作られた世界最大の砲は、あまり兵器として意味があるとは思えない、ただ口径が大きいだけの砲ならば、914ミリというものも、あるにはありますが、これ、本当に撃てたのかどうか、ましてや戦闘の役に立ったかどうかは疑問です。実際に、戦闘用として実用的な長射程の砲としては、旧大日本帝国海軍の戦艦大和の460ミリ主砲が、最大ではないでしょうか。

日本海軍の旧態依然とした思想である「大艦巨砲主義」。これの最大の遺物が大和の46センチ主砲なのです。とんでもない砲です。全世界のどの戦艦の砲より口径が大きく、そして射程が長い砲でした。実戦でも発砲は、果たしてあったのかどうか、判らない点が多いので、その事は棚に上げておきたいのですが、

対戦していた米海軍の艦隊は。大和が46センチ主砲を備えている事を知っていました。そして自分の艦の主砲が全然届かない距離から、自分を狙って撃てる砲だという事も知っていました。なので艦隊司令たちは「大和からの砲撃は避けるように」との指示を、艦隊に出していたようです。

大和の主砲の威力は、証拠となる資料が残っていませんが、米軍を震え上がらせるには充分だったようです。あんな砲、1発でも当たれば、戦艦の重装甲すら何の役にも立たず、たちまち粉々に吹き飛んでしまうと思われます。そして、その大和の主砲の射程外に陣取り、空母から艦載機の大軍を発進させて、大和を航空攻撃で撃沈させたんです。

その戦艦大和の主砲の口径が46センチです。そして第2次大戦中の魚雷の直径は、多くが53センチだったのです。この意味、判りますよね? 直径53センチの魚雷は大和の46センチ主砲よりも口径が大きいって事です。つまり、魚雷というのは、いかに威力が大きく、恐ろしい兵器であるかを、この直径から、ご想像いただきたい、ってことです。

本当に恐ろしい威力を持っています。1発当たれば殆どの戦艦の装甲など、ほぼ役に立たずに沈没、つまり撃沈させられてしまいます。

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魚雷の構造

魚雷の構造を、うんと判りやすく言うと、先端、つまり前方の端っこから、炸薬、燃料、発動機(エンジン)、スクリュー、の4つになりましょうか。この4つが、魚雷の外殻である細長いケースというか、円筒形の本体に順に収まっている訳です。

魚雷の概念を、最初から言いますと、魚雷とは、水中から発射して水中で爆発する銃の弾丸、という事になります。水中に隠れる事のできる潜水艦は、隠密性では申し分ない場所に居ます。移動もできます。水上艦が2次元航行しかできないのに対して、潜水艦は3次元航行ができます。

つまり水上艦が海面という平面上でしか移動できないのに対して、潜水艦は上下左右前後、好きな方向へ移動できるのです。これ、戦術的に素晴らしいメリットです。何処からでも、どの方向へも銃を撃てるのです。しかもその銃の弾丸は、魚雷という名前で、直径53センチとかの、巨大な直径です。

水上戦闘艦は潜水艦に狙われた場合、どこにいるか判らない敵に、どこからこの魚雷という巨大な弾丸を撃たれるか判らないのです。これは恐いです。だから、第2次大戦からというもの、あらゆる水上艦は、自分に魚雷を向ける潜水艦を探知する方法を、必死に研究してきたのです。

あ、ここで、大切な前提をお話ししておきますね。潜水艦の隠密性を高めているのは、水中では電波が使えない、という事実です。空気中で、あるいは真空中では電波は届きます。地上でも宇宙でも、電波で無線連絡できますしレーダーで周囲の様子を探る、つまり敵を探知することもできます。

ところが、水中では電波が届かないため、無線連絡もできなければレーダーも使えないのです。これは、敵に見つかりたくない潜水艦にとっては、絶好の状況です。潜ってさえいれば、レーダーで探知できないんです。そこで水上艦たちは、電波が使えなくても潜水艦を探知する方法を考え出しました。

音です。水中では電波が届かない代わりに、音は非常によく届きます。いうなれば、音を使ったレーダーを考え出したんです。これが「ソナー」です。自分から音を出して、その反射音を捉えて相手を探知するのを、アクティブソナーと言います。しかしそれでは、自分の位置を相手にも知られてしまいます。そこでそれをしないために、自分では音を出さずに、相手の出す音を聞き取るソナーもあります。これをパッシブソナーと言います。

水上艦も潜水艦も、このソナーを持っています。そして、相手がどこにいるか、常時、文字通り「聞き耳を立てている」のです。

このソナーでも捉えられないほど、音の静かな潜水艦も研究中のようです。映画「レッドオクトーバーを追え」に出てきた潜水艦では、スクリューを使わない静かな推進装置で、相手のソナーをかいくぐる描写がありました。が、現実社会ではまだこの装置は、少なくとも発表はされていません。

今日はここまでにします。魚雷の構造のお話しで長くなってしまいました。次回はこの、魚雷の構造の続きになります。

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