警告!この記事を読んではいけない88「銃」について54<戦闘機の搭載機銃11>
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前回の記事でF86セイバーのお話をしました。第2次大戦後、初のジェット戦闘機で、10000機近く作られ世界中を飛び回っていた名機でした。セイバーの様々なデータは、次の戦闘機F100スーパーセイバーに受け継がれました。名前まで受け継いぢゃったんです(笑)。
スーパーセイバーは初の水平飛行で超音速を出すことの出来た戦闘機です。なんか「超音速を出すことの出来た」とか、変な書き方をしていますが、これには実は意味がありまして、世の中では「超音速戦闘機」とかいう呼び方が多く聞かれますが、これ、少々詳しくお話せねばと思います。
超音速戦闘機とは
急降下ではなく、水平飛行で、1度でも音速を超える事のできた飛行機は、一応「超音速機」と言われます。しかし、音速を超えるというのはどういう事なのか、少々詳しくお話ししますね。というか、音速の話はまた別の項目で詳しくお話しします。ここでは「超音速機」特に「超音速戦闘機」のお話をしたいと思います。
水平飛行で1度でも音速を超える事のできた戦闘機は一応「超音速戦闘機」と言われます。しかしこれは、1度でも一瞬でも音速を超えればの話です。実は、ほんの一瞬超音速を超える事は、そうそう難しい話ではありません。しかしそれは、機体や主翼に、増槽やミサイルやロケット弾ポッドなどを、ぶら下げていない完全クリーンな機体状態での話です。
少しでも装備を付けると、80年代くらいまでは、たちまち超音速など出せなくなってしまっていたのです。つまり超音速戦闘機とは実際には「機体がクリーンな状態の時に、一瞬音速を超えたことのある戦闘機」にすぎないのです。
音速とは、音が空気中を伝播する速度です。摂氏15度の空気密度で、秒速340.5mです。時速に直すと1225キロです。これを「マッハ1」とも表現します。戦闘機は、速度が速い方が有利といえば有利です。が、あまりに速度が速いと、本来の存在理由である「戦闘する」事が出来なくなってしまう事も事実です。
速度を上げる事に必死だった第2次大戦直後
戦闘機は、第2次大戦後期にメッサーシュミットМe262が、ジェットエンジンを搭載して、いきなりとんでもない速度を出して、連合国の爆撃機とかをバタバタと撃墜しまくったものですから、その後はどこの国もジェットエンジンを開発し、速度の速い戦闘機を作ろうと必死になりました。
まあ、メッサー262の出現で、速度が速ければ「強い戦闘機」というイメージが出来上がってしまったのですね。何処の国も必死になったのも判ります。速度が出せる、という事は、開発者にとっても、軍上層部にとっても、この上なく魅力的な事だったのです。そしてこの速度競争は、常軌を逸した状態にまで、エスカレートします。
血眼になって速度を上げようとした時代 1
1960年代から1970年代は、各国とも戦闘機や爆撃機の速度を上げるため、どんなことでもした時代、と言ってもよいかと思います。今思うと、本当に「気が狂ったように速度ばかりを追い求めていた」時代でした。結論を先に言っちゃいますと、開発者も軍上層部も、「速度ばかり追い求めても無意味」なことに気づくのに、実は半世紀近くもかかっていたんです(笑)
戦闘機の場合、敵機と遭遇して戦闘になった場合、「戦闘ができる」のは、実際には「亜音速域」という、音速より少し遅い速度が限界なのであって、音速を超えるような速度では、そもそも「戦闘」などできないのです。自分や相手が音速を超えるような速度で飛んでいる場合、コンピューターを使って狙いをつける、
つまりレーダーで攻撃モードをロックすることまではできても、実際に弾丸を発射しても、自機の機動と敵機の機動と、弾丸の位置エネルギーの為に、弾道は計算通りにはいかず、結局、ほぼ当たりっこないんです。そしてミサイルなどは、音速を超えるような速度では、多くの場合発射そのものができません。マッハ1程度が発射限界速度のようです。
ていうか、もしもミサイルを機体の外につりさげているような状態では、「超音速戦闘機」と呼ばれている戦闘機も、実は音速を超える事は非常に難しいのです。単純に、空気抵抗が大きくなりすぎるためです。21世紀にはいると、ミサイルをぶら下げていても超音速が出せるようになったようですが、最近の戦闘機は、多くの場合、ミサイルなどの兵装を全てウェポンベイと言って、腹の中にしまってしまって、フタをして、見る事すらできないようにしてあります。
こうしないとステルス性能が発揮できないからですが、超音速でフタ開けてミサイル発射なんて、あまりに空気抵抗が大きすぎて、やはり発射できないはずだと思います。フタもミサイルも、もぎ取られちゃいますよ。
今日はここまでにします。本当は、F104スターファイターのお話をしたかったのですが、その前に超音速戦闘機が登場したので、そちらをお話ししておかないと、104のお話もできない事に気が付いてしまいまして・・・
なんせ104はマッハ2以上出せるとんでもない速度の戦闘機でしたから。次回は超音速のお話をもう少し続けたいともいます。
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