警告!この記事を読んではいけない71「銃」について37<飛行機の機動と静安定2>
前回の記事で「機動」とは何かをお話ししました。そして飛行機の機動とは、人が鳥を真似して空を飛ぼうとしてきた事をお話ししました。そして、鳥さんが何故、空を飛ぶ事ができるのかを、一応論理的にお話ししたつもりです。鳥さんの身体の物理的構造が、空を飛ぶ力を生んでいるのでした。
初期の飛行機は、飛び方の全てが鳥さんのよう
初期の飛行機は、そんなに速度が出ませんでした。というか、その頃はまだ鳥さんを真似しよう真似しようとしていたので、速度速度と、血眼になって速度を追い求める段階ではありませんでした。まずは「飛ぶ」という基本動作を、鳥さんから習得しようとしていたのでした。
鳥さんは空を自由自在に飛んでいるように見えます。まあ、そう見えるだけで、実は鳥さんにだって、飛び方にはいろいろ制限があるはずです。それは自分の重量や翼の大きさや形、尻尾、つまり尾翼の大きさや形で様々な制限があるにはあるんです。
でもまあ、鳥さんは生物、つまり生き物であり、それらの要素を数値化して計算して飛んでいるわけではありません。飛ぼうという本能と、反復練習によって、考えることなく飛べるようになっているのです。ところが飛行機は違います。生物ではありません。人間という生物が、要素の全てを数値化して、それをどう動かすとどのように飛べるのかを、きちんと計算しないと飛べるようにはなりません。
形的に飛べるものを作っても、それが風の力に負けて、破壊されてしまうこともしばしばでした。飛行機を作るには、飛べる形を作るだけでなく材質の強度も、きちんと数値化して計算して、風の力に負けない、つまり強い風にあたっても壊れないように作らなければなりませんでした。
こうやって文章で書くのは簡単ですが、実際に、現実の物体としての飛行機を作る事は、それはそれは難しい事なのでした。これらの要素の全てをこの記事に文章で書くことは、素人の私程度には到底できません。あまりに要素が多い上、高度な専門知識が要求されるからです。
でも素人なりに気が付いた事は、書いてみたいと思います。素人の私が気が付くことですから、専門家でなくても一般の読者さんにも気付いていただけるはずです。さあ皆さん、楽しい飛行機のお話しですよ!
鳥さんのマネして飛行機を作ったら、動翼がいっぱいになった!
動翼のお話をしたいと思います。動翼とは、飛行機についている動く翼の部分です。多くの人が知っていると思われるのは、まず尾翼です。尾翼は2種類あります。水平尾翼と垂直尾翼です。最近の飛行機の水平尾翼は、全動式と言って、尾翼全体が動くものが多いです。
この水平尾翼は、昇降舵とも言います。これで飛行機の機首を上に向けるか下に向けるかを決定します。次に垂直尾翼です。方向舵とも言います。旅客機のパイロットたちへのアンケートで「事故に遭って最も失いたくない部分はどこ?」と聞いたら、全員が「垂直尾翼」と言ったそうです。
それ程に、垂直尾翼は「飛行機を飛行機たらしめている部分」なのです。これを失うという事は飛行機が飛行機でなくなる、つまり飛行できなくなる、という事を意味します。皆さん、覚えていますか? 1985年の12日、もっとも若者さんたちは、まだ生まれてないかもですね。
この日、日航機が群馬県上空を飛行中、圧力隔壁の破損で垂直尾翼が破壊されてしまい御巣鷹山に墜落、乗客乗員524名中、520名死亡、生存者が4名という事故が起きました。回収されたフライトレコーダーからは、垂直尾翼を失いながらも、死力を尽くして飛行機を操縦するパイロットたちの、最後まで絶対にあきらめない姿勢の肉声が残されていました。
ともあれ垂直尾翼は超重要という事がお判りいただけたと思います。垂直尾翼は、全動式のものはありません。少なくとも私は聴いた事がありません。この尾翼は一部分だけが動きます。そして尾翼だけではなく、主翼にも動く部分はあります。主翼の後ろについているフラップという部分です。
このフラップ、見たことありますか? スゴイですよ!カッコイイですよ!今度飛行機に乗るときは、是非、主翼の後ろが見える窓際あたりの席を取ってみてください。窓の外に主翼の後ろが見えるとベストです。そして離陸の時と、着陸の時、特に着陸の時に、主翼をよく見ていてください。
上空から着陸しようとする時に、主翼の後ろが、グニョ~~っと伸びてくるんです!着陸態勢に入って頃は、まだ伸び方が少ないんですが、いよいよ陸地が近付いてきて、着陸寸前になると、この主翼の後ろが、ドバーっと大きく大きく伸びるんです。
一ヵ所から伸びるのではなく、数か所から違う形の物が、一気にドバーッと伸びてくるんです。まるで主翼の面積が1.5倍くらいになったんぢゃないかと思えるほどそれ程に主翼の面積が大きくなり、つまり主翼が変形するんです!これがフラップです。どんな飛行機にも必ず付いている、主翼の面積を増大して、主翼後端を下向きに伸ばして高い揚力を得ようとする装置です。高揚力装置とも呼びます。その名の通り高い揚力を発生します。
着陸の時、飛行機は速度を落としますから、面積の小さな主翼では飛行機の重量を飛ばすことができなくなります。なので主翼を変形させて面積を大きくして高い揚力を得て飛行機を低速でも安定して浮かべるための装置です。そして着地の瞬間、今度はフラップだけでなく主翼の後端から四角い金属板が、ガバッと上に持ち上がります。これはエアブレーキと言います。文字通り、空気抵抗によって飛行機の速度を落とそうという装置です。
そして、着地してエアブレーキが開くと、今まで飛行機の重量を支えていたたくさんのフラップたちは、もう必要ありませんから、今度は主翼の中に、グニョ~~っと引っ込んで見えなくなります。こんなふうに、飛行機の主翼というのは、ただ左右に伸びているのではなく、内部に主翼を変形して、様々な働きをする装置が、たくさん組み込まれています。
そしてそれらは、実はフラップとエアブレーキだけではなく、スポイラー、日本語で言うと補助翼、これは飛行機の左右の傾きを作る装置です。などなど、たくさんの装置が組こまれていて、これを「動翼」と言います。そしてこれら動翼の全ては、鳥さんを真似して、というか鳥さんから学んで作られたものです。
今日はここまでにします。動翼のお話しだけで長くなってしまいました💦。次回こそは「鳥は超音速では飛ばない(笑)」という、笑えるお話までもっていきたいです。