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警告!この記事を読んではいけない56「銃」について23<潜水艦あれこれ>

前回の記事で、やっと潜水艦の魚雷発射方法について、お話しできました。今回は、潜水艦のお話しの残りです。残りとは言っても、このお話が潜水艦の潜水艦たる部分とも言えますので、私自身は力が入っちゃいます。潜水艦て、ホント、神秘的、幻想的な船です。海に潜るんですよ、海に。見えなくなっちゃうんです。戦争をするにはこれ以上ない隠密性を持つわけです。これぞ、ステルスの原点ですね!

そして、この潜水艦に狙われて、1本でも魚雷撃たれると、まず助かりませんから、潜水艦を敵にする側は必死です。文字通り命懸けで潜水艦に対峙します。死に物狂いです。自分がやられないためには、相手に攻撃させなければよいのです。相手に攻撃させないためには、相手が攻撃を仕掛ける前に、

敵潜水艦を探知して、先制攻撃をかけるのです。そして確実に沈めておかないと、つまり潜水艦が生き残ってしまうと、今度はこっちがやられちゃいますから、何が何でも潜水艦を沈めないと、となるんです。物凄い緊張感でしょうね。私は戦争したことも潜水艦で戦ったこともないので、私の知識なんて、本と映画くらいですけど(笑)。

 戦いってのは、まあそういうものだと思います。生きるか死ぬか、やるかやられるか、死にたくなければ殺すしかない、そういうものだと思います。人間という生き物は、生存本能というか、殺されたり、死んだりするのはイヤだという、強烈な欲求があります。

つまり、殺されそうになっておとなしく殺される人はいないってことです。抵抗するんです。戦争の場合は「敵に殺されなさい」なんて命令来ません。「敵を殺していい、やっつけてこい!」という命令が来るんです。だから、敵をやっつけるのに悩む必要はありません。やらなければやられるんです。

そして潜水艦の戦いの種類は、ごく大雑把に分ければ2つです。ひとつは、潜水艦対水上艦、もうひとつは潜水艦対潜水艦です。ここではお話を分かりやすくするために、自分は潜水艦から敵に攻撃する側として文を書きます。敵は水上艦もしくは潜水艦として文を書きます。

相手が水上艦だった場合、索敵方法は二つです。ひとつは水上からレーダーや目視で、敵を発見する方法です。この場合、敵を発見したらすぐに潜航して、自分の姿を隠す必要があります。こちらが敵を発見したということは、敵もこちらを発見した可能性が高いです。

敵もこちらを発見したと想定して、慎重に接近するんです。潜航してからは、ソナーで相手を探知して、位置、速度などを探知します。ある程度まで近づいたら「潜望鏡深度」という、やや浅い深度まで浮上します。そして、海上に潜望鏡だけ出して、相手を目視するんです。

あ、潜望鏡って知ってますよね。一応少し説明しますね。潜水艦は基本的には円筒形のような形をしています。この円筒の上部に、アイランドと呼ばれる飛び出した部分があります。これ、潜望鏡とか無線アンテナとかを格納している部分です。ある程度の高さがあります。

浮上航行時にはこのアイランドの一番上に、艦長やら士官やらが陣取って、周囲の見張りをしたり、見張り員の特権で新鮮な外気を呼吸したりします。潜航して、潜望鏡で周囲を見ようとするときは、このアイランドから更に数m、潜望鏡がニューっと伸びて、海上に顔を出し、そのレンズで会場の様子を目視するんです。

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注意しなくちゃいけないのは、この潜望鏡も、必要最低限度しか出しちゃいけないってことです。敵の水上艦も、索敵に必死です。ソナーで潜水艦の位置を探知しようと必死になっている上、大勢の見張り員が。皆双眼鏡を持って、海面に顔を出しているはずの潜望鏡を見つけようとしています。

どちらも、自分が助かりたいので必死です。潜水艦も水上艦も、音を出すと敵に探知されてしまいますから、出来るだけ静かに相手に近付こうとします。多くの場合、水上艦から潜水艦への攻撃は、真上まで来るか、真上でなくてもそれに近い近距離まで来なくては、攻撃できません。

水上艦から潜水艦への攻撃方法は、大きく分けて二つです。一つは昔ながらの方法で、爆雷攻撃です。これ、見た感じはドラム缶です。この中に爆薬が入っていて、これを海中に放り投げるんです。専用の機械で打ち出します。これを投射と言います。爆発深度が設定できるようになっていて、

指定した深度になると爆発します。敵潜水艦が真下もしくは非常に近距離で、だいたいの深度まで判っている場合にしかできない攻撃方法です。潜水艦との距離が離れている場合には、魚雷で攻撃します。ただ、この魚雷が、迷わずに敵潜水艦に向かうには、潜水艦からの音をキャッチしているか、完全に位置と深度を把握できている場合にしか、取れない攻撃方法です。

要するに、水上艦から潜水艦を攻撃する事は、よほど頭のいい艦長が、敵の動きを読み切っていないと、効果的な攻撃はできないってことです。これに対して、潜水艦が敵水上艦を攻撃する場合は、それよりやや有利です。なんせ、向こうからこちらは、ほぼ見えません。

ソナーで探知できると言っても、こちらが音を立てなければ、探知される心配はありません。それでも水上艦が潜水艦を探知する方法は、あることはあります。それは、アクティブソナーを打つという方法です。アクティブソナーとは、まず自分が音を出し、その反射音を探知して、敵の居所を探すという方法です。

これやると、敵の居所は一発で判ります。ただし、自分が音を出す訳ですから、これやると、自分の居所が、敵にも一発で判ってしまいます。言わば、両刃の剣です。これをやる場合は、必ず敵にも探知されてしまう事を覚悟でやらなくちゃいけません。そしてその直後に、自分が必殺の一撃をすぐに撃てる場合でないと、敵にすぐに攻撃されて、やられちゃいます。

では次に潜水艦側から水上艦を攻撃する方法です。文章に書くと単純です。敵の居所を探知し、それに向かって魚雷を撃てばよいのです。敵が音を出していれば、音に向かうホーミング魚雷を撃てばよいし、敵が音を出していない場合は、それはつまり動いていない事を意味しますから、まっすぐ撃てば当たります。

そして1発でも当たっちゃうと、水上艦はほぼ助かりません。水上艦は、海に浮かんでいる訳ですから、穴が開くと沈んぢゃうんです。とまあ、文章で書くと単純ですが、実際の戦闘は、そうそう簡単にはいきません。水上艦も必死ですから、逃げようとします。逃げるためにはエンジン全開で全速力を

出すのが普通です。それでも敵の魚雷に追いかけられないように、エンジン音より大きい音のデコイを放ったりしますから、そうそう簡単に敵艦のエンジン音を聞き取ることができないです。こうなるともう、敵がどこにいるのか判らなくなりますから、戦闘は難しいです。

今日はここまでにします。次回はいよいよ、潜水艦対潜水艦の戦いを、お話ししたいと思います。これ、非常に難しい戦闘です。どちらも、相手が見えないんです。ソナーだけが頼りです。大変頭脳的な戦いになります。エキサイティングです。ではまた次回。

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