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2022年10月21日(金)    藤澤仁奈 マリンバリサイタル     天使が地上に舞い降りた夜 その3

天使は何を語ったのか           曲、ひとつひとつ その2

休憩を挟んで、リサイタル後半の曲たちを見ていきましょう。

5 サン=サーンス作曲 白鳥

6 プロコフィエフ作曲 ピアノ協奏曲第4番(左手のための)より1,3,4楽章

7 E.セジョルネ作曲 フーリア

アンコール マスカーニ作曲 カヴァレリアルスティカーナ間奏曲

5 サン=サーンス作曲 白鳥


リサイタル後半の最初はこの曲でした。前半はマリンバ1台のみでの演奏でしたが、前半でステージの最後端においてあったピアノが、前に出ました。私はこれを見て、

おおおッ!

と思いました💦💦
マリンバ独奏をピアノが伴奏(実はこの言い方、あまり好きではないのですが・・・あ、二重奏と言えばよいですね👆)マリンバとピアノのニ重奏で、これほどピアノをマリンバに接近させたセッティングは初めて見ました。それもマリンバとピアノの左右位置関係は、通常とは違う配置でした。具体的には、通常マリンバが中央、ピアノはそれよりやや下手よりに置きます。

ところがこの夜、2台の楽器の配置は、ピアノがマリンバのキッチリ後方に左右のずれなく配置され、更にマリンバとピアノの距離は、ほぼ限界まで、接近していました。私はそれを見て、

おおおおッ!

と思ったのです。                                         この配置の目指すところは明らかです。藤澤仁奈さんとピアノの山田先生は、このリサイタルで2台の楽器の共鳴効果を最大限度に引き出そうとした、つまり共鳴した結果の音を客席に届けようとした、そう狙ったに違いありません。

そしてその結果実際に音が出ると、予想通り、というか期待通り、

おおおおおっ!!!

でした!素晴らしい音だったのです!ピアノが前奏を弾き終わり、マリンバが主旋律を演奏し始めた途端、私は感じました💦

ああっ!ピアノがマリンバを鳴らしているっ💦

ピアノの音響反射板からの音は、客席に向かうと同時に、マリンバを直撃していました。マリンバの音板全体にピアノの音が直撃するように配置されていたので、それはそれは最大限の効果が現れたのです。

まるで「森の中にいるような」力強く、心地よい音の演奏でした。私は音響の素晴らしさに心を奪われ、曲を論理的に追いかけるような姿勢は、頭から完全になくなっていました。美しい音の洪水に浸って、至福の時間を過ごしました。

自己弁護ですが(笑)、この聴き方でいいんだと思いました(笑)。心地よい音に浸る・・・これこそ、音楽の楽しみ方だと思いました🌸

ちなみに「共鳴」について

共鳴については、昨年11月の私のnote記事の、「マリンバオーケストラ=フォニックスレフレクション演奏会」にやや詳しく記してありますので、ご興味がおありの方は、そちらをご参照ください。

それが面倒、という方もおいででしょうから、僭越ながらこの記事で、その時の記事内容の抜粋を、若干引用してみたいと思います。

ここから「引用文」

<森の中にいるような心地よい演奏会>という副題で4つの記事を投稿しました。打楽器オーケストラという感じの演奏会には何度も足を運びましたがマリンバオーケストラという楽器編成の演奏会は、初めてでした。私、一応作曲家のつもりです(笑)。楽器のピッチ変動や共鳴の事について多大な関心があります。

私は、楽器や会場の音響特性、楽器同士の共鳴、位相変異、ステージの音響反射板の特性、結果としてどういう音になるのか、そういった事に大きな興味があり、それは自分の作曲の方法論になっているので、時々はそれがこの現実世界に現出します。

マリンバという楽器は、共鳴を起こしやすい楽器です。なのでこの夜の演奏会についても、共鳴しあった音が聞こえてきた瞬間は喜びに包まれました。共鳴した音、好きなんです。なのでこの夜の演奏会では<共鳴した木の音>を堪能しました。そしてそれは私には<森の中の音>に聴こえたのでした。

お話しが少しずれますが、自分のマリンバ・デュオ作品「マダガシカーラ」では、きちんと共鳴の事を意識し、それが効果的に鳴り響くように計算して曲を作ってよかったと思います。その共鳴の効果が演奏会場で具現化した時の、あの響き・・・!!!至福の時間でした!

「引用文」ここまで

なぜ皆、この配置をとらないのか

では、これほどいい音になるのだったら何故他のマリンビストやピアニストたちは、この配置にしないのだろうという疑問も沸いてきます。おそらくそれは、共鳴による音響効果よりも、ピアニスト側からマリンビストを見る為の視界を確保することを優先するためだと思われます。

マリンバがステージ中央、ピアノは少し距離を置いて、下手側にややずらした配置、この配置にすると、ピアノの音によるマリンバの共鳴音は減殺されますが、ピアニストが演奏中に自然にマリンビストの動きが視界に入り、演奏上の呼吸を合わせやすいからだろうと思われます。

それがマリンバとピアノの二重奏の場合の標準配置、というか見慣れた配置であり、それはそれで論理的に整合性のある配置です。合わせやすいだろうと思われます。事実、昨年の藤澤仁奈さんのリサイタルでは、ピアニストは同じ山田先生でしたが、お二人はこの配置をとっていました。

今回このお二人、視覚的な演奏の有利さを犠牲にしても、共鳴による豊かな音響効果を優先したのでしょう。そしてそれは素晴らしい音響効果となって客席の聴衆を魅了したのです。ただし、この配置で演奏するには演奏者二人の呼吸が、視界に頼らなくても大丈夫なほど、自然に合っていなくてはなりません。藤澤仁奈さんと山田先生だからこそ可能だった配置とも思います。

ああ、ここまでですでに2400字を超えています💦 次の曲の感想は、次回の記事に譲りたいと思います。次回こそ、曲の感想を終了したいと考えています。次回の曲は次の通りです。

6 プロコフィエフ作曲 ピアノ協奏曲第4番(左手のための)より1,3,4楽章

7 E.セジョルネ作曲 フーリア

8 アンコール マスカーニ作曲 カヴァレリアルスティカーナ間奏曲

6の、プロコフィエフで「大事件」が起きました❣ 本当にビックリでした💦 どのような大事件かは、次回のお楽しみです(笑)

夜空の雲を照らす、中秋の名月

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