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ありがたいおせっかいおばちゃん
コロナが始まったころ、たまたまスーパーに買い物に来たわたしと当時3歳の娘は、レジに1時間近く並びました。
そこで前に並んでいたのが、表題のおばちゃんです。
並んだ瞬間のことは覚えていません。
比較的さらに前の夫婦と赤ちゃんと話しているなーと漠然と思っていました。
しばらくするとわたしや娘にもニッコリ「ふふっ」としてくれて、「すごい列ですね」なんて話すように。
「ほんとうに!あたしはたまたま用事のついでに来ただけだけど、この辺りの人は大変ね!あなたお子さんは1人?うちは娘2人でね、孫が」
ちょっと面倒になり(笑)
もともと世間話や人に頼るのが好きではないし、苦手です。
会話が途切れると別のことをしたりで、話したり、話さなかったり、が続きました。
3歳の娘はほんとうによく頑張って我慢していました。
「娘ちゃん待ってて偉いわね。状況をわかってるのね。集中力もあるから、勉強きっとすごく頑張れるわよ」
「でもそろそろお昼だし、お腹空いてきそうなんですよねー。」
「そうよね!あなた、もしよかったらわたし順番見てるから列外れてパンでも買ってきちゃっていいわよ!
隣のパン屋さんはぜんっぜん並んでなかったから!」
借りを作るのはいやだなーと思いつつ、
「そうなんですか!ありがとうございます。このまま進んでくれればいいのですが、もしかしたら後でお願いしてしまうかもしれません」
12時を過ぎ、さすがに娘もお腹が空くし、手持ち無沙汰になってきました。
その様子を見て、おばちゃんは「ほんとうに、いいわよ!」と言ってくれました。
「すみません、頼んでもいいですか?」
「いいわよー!進んだらカートも進ませといてあげるから(笑)」
娘と急いでパンを買って戻りました。
おばちゃんの好みがわからないのでお礼に適当なパンも買って。
「すみません!ありがとうございました!」
娘はメロンパンを無言でほおばってました。
かわいい…。
「全然!いいのよ〜」
「これ、お好みに合うかわからないんですが」
おばちゃん用に買ったパンを渡そうとすると心底嫌そうな顔をして「いいのよそんなの!」と言いました。
ああ、嫌なんだな、と思ってすぐ引き下がりました。
「わたしはね、子育ては終わったけど、なにかできることはないかなって考えてるの」
そんなようなことを仰ったんです。
とても素敵な考えだなと思いました。
わたしのような頼るのが嫌い、苦手な人間に頼らせて娘まで助けてくれた人。
なにかお返しがしたい。
でもその場でモノで返すのは違うらしい。
このありがたいおせっかいおばちゃんにわたしが返せることってなんだろう?
「なにかできることはないかなって考えてるの」を思い返します。
瞬時に「あのおばちゃんみたいに親子に話しかけて困ってるところを助け…」いやいや。
あのおばちゃんのような対人スキル1ミリもないくせに。
そうではなく、自分は自分のままで無理せずできそうなこと。
見てる。それは 得意なので、見て、「自分の手があったらお役に立てそうかな?」と思ったら少しの勇気を出して声をかけてみる、とか?
手を出してみる、泣いてる赤ちゃんに笑いかけるとか…。
「あっ」と思った時に、おばちゃんの話が背中を押してくれる、そんな気がします。