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未だに完成しない奄美大島のミサイル基地――ここで歯止めをかけない限り、奄美大島の一大要塞化が進行する!

奄美ミサイル基地では、巨大射撃場が未だに工事中!

第3回「島々シンポジウム――奄美・種子島から琉球弧の要塞化を問う!」のlive開催のために、およそ2年ぶりに奄美を訪れることになった。「島々シンポジウム」の司会者の三上智恵さん(ジャーナリスト・映画監督)や、遠く石垣島から来られた山里節子さん(「いのちと暮らしを守るオバーたちの会」)らもご一緒し、新設された奄美大島の基地を視察・調査をすることになった。

後述する日米共同演習「オリエント・シールド21」の開催直前とあって、奄美駐屯地(地対空ミサイル部隊などの基地)は、厳戒態勢に置かれていた。門前の警備員らも、カメラを向けただけで、「撮影禁止!」を乱発する。もちろん、撮影をとがめる法的根拠は、何もない。

巨大な覆道射撃場が工事中!

冒頭の写真が奄美駐屯地に建設中の、覆道射撃場だ。全長約300メートルと予測される、自衛隊では、最長の射撃場である。防衛省の奄美に関する情報公開文書によると「訓練施設」と明記される場所だ。位置は、弾薬庫地帯の手前に建設中だ。

奄美大島配備図

同様の覆道射撃場は、宮古島の保良訓練場ーミサイル弾薬庫にも建設中であるが、写真で見るように、その巨大さに驚かされる。この射撃場は、自衛隊でも幾つか造られているが、最新式の覆道射撃場であり、内部には、様々な射撃施設が完備されている。奄美駐屯地は、南西シフト態勢下のミサイル基地だけでなく、軍事施設としても最新の、重要施設であることが分かる。

奄美駐屯地・瀬戸内分屯地ー地対艦ミサイル基地の、未完の巨大弾薬庫

このnoteでも紹介してきたが、奄美大島には、二つの巨大基地が建設されている。一つは奄美駐屯地(地対空ミサイル部隊+警備部隊+空自移動警戒隊=施設面積約51㏊)であり、もう一つが、この奄美駐屯地・瀬戸内分屯地である(地対艦ミサイル部隊+警備部隊=施設面積約48㏊)。

だが、この瀬戸内分屯地には、二つの基地が造られつつある。一つは、地対艦ミサイルなどの基地であり(A地区=28㏊)、もう一つが、巨大弾薬庫地区(B地区=約31㏊)だ。

瀬戸内分屯地を訪ねても、その正門からはもとより、地対艦ミサイル基地も、弾薬庫もほとんど見えない。全体が山陰に隠されているというわけだ。

瀬戸内分屯地

瀬戸内分屯地弾薬庫地区

写真の遠くに見える緑の建物から右端にいたる地区が、B地区の弾薬庫地区である。山陰と谷間に仕切られていて、全体像はまったく見えない。ここが巨大なミサイル弾薬庫、しかも宮古島と異なり「地中式弾薬庫」である。情報公開文書で示すと以下のようである。

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この情報公開文書に示された図からは、幾つかの問題が明らかになる。まずは、この瀬戸内分屯地の弾薬庫は、「地中式ミサイル弾薬庫」という全国基準で造られつつあるということだ。山中を掘り進めて造られつつあるこのミサイル弾薬庫は、1本が全長250㍍で、合計5本造られる予定である。現在は2本が完成し、全てが完成するには2024年とされている(情報公開文書)。そして、この情報公開文書の図の上の場所に明記されているように、このミサイル弾薬庫には「場外離発着場」というヘリパッドが付随しているということだ。

南西シフト態勢下の武器・弾薬の兵站拠点としての瀬戸内分屯地

こうしてみると、瀬戸内分屯地のミサイル弾薬庫は、同駐屯地による作戦態勢下の地対艦ミサイル部隊の弾薬庫というだけでなく、南西シフト態勢下の、先島諸島に補給されるミサイル弾薬庫ということが明らかになる。有事には、ヘリでミサイル弾体を空輸することになる。地中に造られつつある5本もの巨大弾薬庫は、そのための貯蔵施設なのだ。

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南西シフト態勢下の兵站拠点ー機動展開拠点としての奄美ー馬毛島要塞化計画

筆者は、このnoteなどにおいても、南西シフト態勢下で奄美ー馬毛島が、巨大な兵站拠点ー機動展開拠点になることを防衛省の原資料・情報公開文書を元に明らかにしてきた。例えば「2012年奄美大島等の薩南諸島の防衛上の意義について」という文書では、「薩南諸島は、自衛隊運用上、重要な後方支援拠点」「奄美の名瀬港は海自輸送上の、重要な中継基地」「陸自のヘリ運用上重要な中継拠点」と明記されている。

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また、2012年の統幕の「自衛隊施設所要」では、馬毛島を「南西諸島防衛の後方拠点」(中継基地)として位置づけるとともに、同島を「南西諸島防衛等の統合訓練基地」として位置づけている。

この統幕の作戦運用の実態を見れば、瀬戸内分屯地の巨大ミサイル弾薬庫の位置も、自ずと明確になってくる。つまり、瀬戸内分屯地・ミサイル弾薬庫は、南西シフト態勢下の、島嶼戦争ー先島などへの武器・弾薬の拠点として位置づけられており、有事にはヘリ等の空輸を含めて、この地から多数のミサイルが先島などに緊急輸送されるということである。

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日米の南西シフト態勢下の基地となりつつある奄美大島

ところで、筆者らが「島々シンポジウム」のために奄美大島を視察していたこの時期、奄美大島では日米共同訓練「オリエント・シールド21」の演習中であった。港には、米軍の艦艇が接岸し、基地内では米兵が訓練態勢にあった。

この日米共同訓練「オリエント・シールド21」とは、米陸軍と陸自が、かなり前から行っている共同演習であるが、問題は、アメリカ本土から奄美大島の演習に参加する米陸軍が、今や、南西シフト態勢下の、島嶼戦争態勢――地対艦・地対空ミサイル部隊の配備態勢をつくりながら、共同演習を始めていることだ。

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米陸軍の地対艦・地対空ミサイル部隊配備

今回の日米共同訓練「オリエント・シールド21」は、日米の地対空ミサイル部隊による共同演習だが、2年前の「オリエント・シールド19」では、地対艦ミサイル部隊の日米共同演習であった。つまり、日米陸軍は、琉球弧=第1列島線に、共同で地対艦・地対空ミサイルによる戦争態勢を作りつつあるということだ。

これが、米陸軍のマルチドメインオペレーション(MDO)であり、その作戦のもとでのマルチドメインタスクフォース(MDTF)の配備である。

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「Force Design 2030」(戦力デザイン2030)」などによると、「遠征前進基地作戦(EABO)などによる米海兵隊の第1列島線上への地対艦・地対空ミサイル部隊、トマホークなどの配備がプラン化されているが、実は、米陸軍の第1列島線=琉球弧への地対艦・地対空ミサイル部隊配備の方が先行しているのだ。

トマホーク、中距離弾道ミサイルの琉球弧への配備態勢

結論は明白だ。現在進行しつつある奄美大島ー馬毛島などの薩南諸島の要塞化、そして日米共同演習の始まりは、米軍の琉球弧、第1列島線上の、各種ミサイル部隊配備の段階ー実戦的段階に移行しつつあるということだ。

インド太平洋軍、在日米軍基地、在沖縄米軍の再編成は、同軍の南西シフト態勢への参入をともないながら、急ピッチで進みつつある。

最近、ことさら鼓吹されている「台湾有事」キャンペーンの意図・目的は、台湾の第1列島線防御態勢への組み込み、つまり、ルソン海峡・バーシー海峡の海峡封鎖態勢作りにあるということだ(取りあえずここで第1列島線防御が半ば完結)。

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そして、重大なのは、この「台湾有事」キャンペーンをともなった、脅威論の大々的煽りの目的が、琉球弧ー第1列島線へのトマホーク(地上発射型・車載式)、中距離弾道ミサイル(地上発射型・車載式)配備を強行するために行われているということである。

いうまでもなく、トマホークや中距離弾道ミサイルの琉球弧への配備は、中国軍の「ミサイル優位態勢」(唯一の軍事的優位)を根底から揺るがす事態となり、中国側に激しい対応を生じさせることは明らかである。キューバ危機と同様、それ以上の戦争の危機が現出するかもしれない。

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日米の南西シフト態勢を打破し、奄美大島・馬毛島・宮古島・石垣島などへと全国から連帯・支援の運動を!

私達は、今このような状況にある。琉球弧の島々へのミサイル基地建設は、新型コロナ禍でも急ピッチで進みつつある。事態は危機的である。

しかし、宮古島ー保良地区でも、石垣島でも、島々の人々は、苦しい闘いを強いられながら、創意工夫して、様々なたたかいを進めている。そして、宮古島・保良地区では、今もってミサイル弾体の弾薬庫搬入を食い止めている。宮古島ミサイル基地は完成していないのだ。同様に、奄美大島は、それ以上の厳しいたたかいを強いられながら、奄美駐屯地でも、瀬戸内分屯地でも基地を完成させていないのだ。

宮古島で、奄美大島で、もしこのミサイル基地が完成したとするならば、同時に島々は、米軍の中距離弾道ミサイル・トマホークを始めとするとてつもないミサイル基地へ、要塞列島へと変貌する。自衛隊・米軍が狙っているのは、まさしくこういう琉球弧の巨大要塞化である。                     

そして、琉球弧の要塞化は、九州の出撃拠点としての軍事化(南西統合司令部へ)であり、「本土」の戦場化でもある。今こそ、全国の平和を願う人々は、この事態をしっかりととらえねばならない。

現在、日本の軍事化は、軍備増強が一般的に行われているのではない。改憲一般がなされているわけでもない(有事の改憲)。起きている事態は、琉球弧=第1列島線の島々のミサイル基地化=要塞化を軸とした大軍拡であり、戦争態勢である。

新冷戦態勢は、琉球弧ー第1列島線への中国軍の封じ込めであり、海峡封鎖態勢であり(島嶼戦争)、一大ミサイル戦争態勢を軸にした、中国への軍拡競争である。「台湾有事」キャンペーンも、その米日の新冷戦態勢の一環である!そこを見失ってはならない。

「脅威の認識」――危機の認識は、正確な、正しい認識をしない限り、脅威論キャンペーンに与してしまう状況になりかねない。北朝鮮脅威論、かつてのソ連脅威論に煽られ、与してしまった状況を忘却してはならない。

今、起こっている事態は、琉球弧の島嶼戦争態勢であり、第1列島線の「海洋限定戦争」態勢、つまり、シームレスに広がる「warm war」(暖かい戦争)である。しかし、今なら、この新冷戦を止められる。琉球弧のミサイル基地化ー要塞化を止めれば、それは可能である!

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*第3回「奄美大島ー種子島から琉球弧の要塞化を問う!」「島々シンポジウム」、「AiAiひろば」から                      YouTubeー第3回「奄美大島ー種子島から琉球弧の要塞化を問う!」

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私は現地取材を重視し、この間、与那国島から石垣島・宮古島・沖縄島・奄美大島・種子島ー南西諸島の島々を駆け巡っています。この現地取材にぜひご協力をお願いします!