見出し画像

はだしのゲン教材から削除に思う事

私が小学生の頃、家にはだしのゲン全巻があった。父親が買ったのか母親が買ったのか記憶にないのだけど姉や兄が読んでいたような気がする。
本も漫画も好きだったので、勧められた訳ではないが、読み始めた。
読み始めると怖いやら悲しいやら、理不尽さに腹立たしいやらいろんな感情が押し寄せ一気に全巻読み終えた。
何よりこの時代に自分は生まれなくて本当によかった。などと小学生なので自己中心的な思考で、心の底から生まれた時代に感謝した。

こんな悲惨な事があったのだから、もう2度と戦争をしようなんてこと言いだすバカはいないだろうなどと、思っていた。
しかし成長するにつれ、そんな馬鹿がたくさんいる事を知る。この国の政治家に特にいる事を知った。そしてそのバカに投票する人が大勢いる事も知る。何度も憲法9条を変えようとする動きやじわじわといろんなものがいとも簡単に変えられて改悪されていく事に怒りと不安の日々となった。

こどもが生まれた後は、こどもたちが最初は学校の図書室で、続きが読みたいと、市の図書館ではだしのゲンを全巻借りてきて読んでいた。のんは、低学年の時に読了。はまりやすい子だからか、手塚治虫の「ルドルフに告ぐ」から水木しげるの戦争体験記や、三光作戦を知っていますか?まで次々読んでいた。

戦時中のものや事でわからない事は、これって何?どういうこと?と聞かれると説明したり、一緒に調べたり、マニアック男なのでとことん深堀りしたりしていた。
はだしのゲンを読んでいたので311にはすぐに、放射能こわい、とにかく離れないといけない。と言っていたし、有事の際は沢山の人が思考停止して騙されることも、のんは言っていた。


このブックレットは、2008年が初版ですが、すでにこの時点で中沢さんは日本が危うい方向へ進んでいることを危惧して書き記しています。
しつこくしつこく伝え続ける、繰り返し繰り返し、もういいよというほど、言いすぎるほど言いすぎても果てが無いほど深いものだと。書いてあります。


翻って今の日本の社会をみて、果たしてしつこくしつこくやってきたでしょうか? 家庭で社会で教育の場で、言いすぎるほどやってきたでしょうか?
はだしのゲンは、被爆体験だけを描いていません。戦時に権力者がいかに理不尽に残虐なことをするのか、思考停止した民衆がいかに残虐でおそろしく変貌するのか、戦後のことまでも描かれています。漫画の中から学ぶことはものすごくたくさんあるのです。

浪曲が説明できないからとか、しょーもない理由が、問題の本質ではないはずです。
テレビのニュースで50代くらいのおっさんが、中国からの気球に対してどう思いますか?の質問に「すぐに撃ち落とすべきです」と嬉々としてこたえてました。
他のニュースでも、「ミサイル撃たれたら怖いし、防衛は必要ですよね」とおばさんがしたり顔で話しています。
仕込みのサクラが答えているインタビューかもしれないですが、それを観て、あーそうやんなー。と流される人がいる。
それを想定して放送局はつくっている。
知性と感性の劣化が恐ろしいくらいです。

このブックレットまだ販売しているのかな?
読みやすいのでお子さんにもおすすめですよ。
漫画とセットで読むと尚理解が深まります。


いただいたサポートはクリエイター活動に使わせていただきます