新設立企業の労務とは?
年も押し迫ってまいりました。
給与計算実務では年末調整真っ只中という企業も多いのでは。
さて、ここのところ弊所では新規に設立された企業から労務の相談が多く寄せられております。
新規に設立された企業にとって、事業計画の策定や資金調達が優先されることが多いですが、労務管理はその成功に欠かせない重要な要素です。適切な労務管理を整備することは、従業員の安心感を高め、企業の持続的な成長を支える基盤となります。
本記事では、新設立企業が直面しやすい労務管理の課題とその解決策について解説します。
1. 労務管理の基礎を築くためのポイント
新設立企業において労務管理の基礎を築く際には、以下の点に注意する必要があります。
(1) 就業規則の作成
就業規則は、従業員と企業間のルールを明文化したものであり、労働条件や職場の運営方針を明確に示します。従業員が10名以上の場合、就業規則の作成と労働基準監督署への届け出が法律で義務付けられています。従業員数が少ない場合でも、トラブル防止のために作成することをおすすめします。
(2) 雇用契約書の整備
雇用契約書は、労働条件を明確にし、双方の認識を一致させるための重要な書類です。
すべての従業員に対し雇用契約書を交付することが必要で、この契約書には、賃金、労働時間、休日、業務内容などを明記し、従業員との誤解を防ぎます。
(3) 勤怠管理の仕組みづくり
勤怠管理は、従業員の労働時間を正確に記録し、法令を遵守するための基本です。初期段階からクラウド型勤怠管理ツールを導入することで、効率的に管理することが可能です。
2. 新設立企業が抱える特有の労務課題
新設立企業では、以下のような課題に直面することが一般的です。
法令遵守の知識不足
労働法や社会保険制度に関する知識が不足している場合、気付かないうちに違法状態に陥るリスクがあります。急激な人員増加
事業が成長するにつれて、採用が急増し、労務管理が追いつかなくなることがあります。多様な働き方への対応
リモートワークやフレックスタイム制など、従業員の多様な働き方に適応するためのルール整備が求められます。
これらの課題に対応するためには、専門家の支援を受けることも有効な手段です。
3. 労務管理を効率化するツールとサービス
新設立企業にとって、労務管理を効率化するツールやサービスの活用は大きな助けとなります。たとえば、
クラウド型人事労務管理ツール:SmartHRやジョブカンなど、勤怠管理や給与計算を簡単に行えるツール。
外部専門家の活用:社会保険労務士や労務コンサルタントのサポートを受けることで、法令遵守やトラブル予防が容易になります。
まとめ
新設立企業における労務管理は、従業員の安心感を高め、企業の成長を支えるための重要な基盤です。初期段階から適切な体制を整えることで、後のトラブルを未然に防ぎ、企業の持続的な発展を実現しましょう。本記事を参考に、労務管理の見直しや専門家への相談を検討してみてください。