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WebX参加記: 1日目(7/25)


2023年7月25-26日、東京国際フォーラムで行われたWeb3のカンファレンス「WebX」に参加してきた。

WebXとは

アジア最大規模のグローバルカンファレンス

公式サイトの説明はこうなっている。

WebXは、日本最大の暗号資産・Web3メディアCoinPostが企画・運営し、 日本国内外の主要プレイヤー、スタートアップ、企業、投資 家、政府関係者、メディア、一般来場者が一堂に会するアジ ア最大規模のグローバルカンファレンスです。

What is WebX?

会場は東京国際フォーラム。別のイベントを開催している2つのホール以外すべてを借り切っての、アジア最大規模という謳い文句に恥じぬ大規模なカンファレンスだ。

大きく分けると、5つのエリアがあり、それぞれのテーマに合わせて同時進行でイベントが開催される。したがってすべてを見ることはできないが、興味のあるものをピックアップして移動を繰り返すのは遊園地のアトラクションを周るような楽しさがあった。

  • 講演やインタビューの聞けるステージ

  • 出展ブースが立ち並ぶエリア

  • ワークショップ用のエリア

  • アート展示のエリア

  • サイドイベントのエリア

規模の大小こそあれどメインイベントのようなものはなく、スタートアップと官公庁、技術者と経営者、ビジネスと学問といったものが並列で扱われる。まさに分散型である。

なぜ「Web3」にしなかったのか

改めて先ほど引用した公式サイトの説明を見てみると、実は「Web3」は企画・運営のCoinPostの説明にしか入っておらず、カンファレンスのテーマは一切明示されていないことに気づくだろう。

そもそもイベント名自体「WebX」であって、「Web3.0 FESTA」や「ブロックチェーンEXPO」ではないのだ。

一見曖昧に思える「WebX」という名称。おそらくそれはむしろ厳密性を重視した結果であろう。なぜなら現時点で「Web3」は定義されているとは言い難いからである。

そもそも「Web3」と「Web3.0」があり、この二つは本来別物だ。ざっくり言えば前者は技術スタック、後者はWebの進化の段階そのもの。さらに言うと「Web3.0」は分散型技術による発展のみならず、セマンティック・ウェブを指すこともある(厄介なことに、Web3の範囲にセマンティックな概念が含まれることもある)。
しかしざっと調べようとすると、これら3つを混同したような説明の多さに驚く。いや、大手企業の説明などを見るにあえて混同させている側面すらあるのだ。
技術は時間に対する単純な正比例ではなく、階段状に進歩するところがあるので、私のような素人でさえ「次なる進化の定義は本当にブロックチェーンに基づいたものでよいのか」「AIの急激な進化でセマンティックである必要性は失われていないか」などの疑問には容易にたどり着く。「Web2.0とは明らかに違う時代が訪れた」という認識はあっても、では何をもって次なる段階とするかとなるとお茶を濁したくなるのも当然と言えよう。

だからこそ、あらゆる立場の人間が回答を求めて思考・試行し、時に意見をぶつけ合いつつ共存するこの空間の名は「WebX」が相応しいのだろう。明確な姿勢と若干の外連味。CoinPostさん、素敵!

今回参加した経緯

実は先日加入した「国際映画制作スタジオNOMA」がオフィシャルメディアパートナーになっているので、今回のご縁はそこからだ。

私は社会ではIT一直線で過ごしてきたので、最先端技術と聞くと飛びついてしまう習性がある(※ブロックチェーンに携ったことはない)。その癖少しでも「ニセモノっぽい」と感じれば脱兎のごとく……という面倒くさい人間なのだが、上記のような姿勢がみられるとなれば当然目に映る輝きは一入。全力でスケジュールを調整して2日間とも参戦させていただいた。

ちなみに、WebXグローバルステージのトリはNOMAが飾っている。そちらについては2日目のレポートで書く予定なので、お時間のある方は是非お付き合いください。

レポート

以上、前置きが長くなったが、レポートに入りたいと思う。

入場

会場に着いたのは朝9時前。開会挨拶までもまだ30分以上あるこの時間でも既に受け付けは長蛇の列で、参加者の熱気が伝わってくる。

エントランスにて

エントランスで参加者を迎えるロゴ。
よく見ると、Xの中央が開いていて直感的に「分散」を想起させるようになっている。また、WがV二つで構成されるのはValueの移動ということだろうか。ロゴの時点ですでに意識が持っていかれている。

ブース見学

岸田首相の挨拶も気になったが、満席で断念。NOMAの皆さんと合流し、ブースを見て回ることにした。

TRON

TRONのブース

入ってすぐ目を引いたのは愛らしいキャラクター。2021年にBITPOINTにて日本で初めて上場した仮想通貨「TRX」で有名な、WebXタイトルスポンサーのひとつである「TRON」のブースである。
写真を撮ってツイートすると、ぬいぐるみやカチューシャ、Tシャツなどのグッズを大量にもらえるという大盤振る舞い。さすがの財力と広告戦略。

NOX Gallery

NOX Gallery

デジタルサイネージを扱う株式会社エフ広芸が渋谷に設立した、日本初のフィジカルNFTギャラリー「NOX Gallery」。動画作品を扱えるのはNFT×サイネージという掛け合わせならではだろう。

香りのNFT Smell Market

香りのNFT Smell Market

香りの調香データがNFTとして販売されていて、ダウンロードすると専用のディフューザーでいつでも「香りを再生できる」という。
自分で調香して販売も可能とのこと。

講演・インタビュー等

ステージは国際ステージ・日本ステージ・スポットライトステージ・ピッチステージがあり、同時通訳も行われた。残念ながら私は体験できなかったが、日本ステージにおいてはポケトークによるAI同時通訳もあった。

一点惜しむらくは、ただでさえ私が知識不足である上に、同時通訳の表現が全体的に抽象的だったこともあり理解が難しく、正直半分も消化できていないことだ。以下のレポートは実際の内容とずれている可能性もあるので鵜呑みにはしないでいただけると嬉しい。動画が公開されているものもあるので、よろしければご自身の目と耳で確かめていただくことを強く推奨する。

激動のマクロ経済、プロの見通しは

最初に見たのは1Roundtable Partners(1RT)と10T Holdingsの創設者・CEO・CIOであるDan Tapiero氏によるピッチ。


暗号資産市場における流動性供給者の役割を紐解く

続いてパネルディスカッション。Blockworks MacroのWeston Nakamura氏をモデレーターに暗号資産に関わる専門家がTech側・投資側双方から一同に会した。


日本Web3業界の今と昔ロジャー・バー特別公開取材

この日の一番の目的は、国際ジャーナリストである大野 和基氏によるRoger Ver氏のインタビューだ。

当然Ver氏の発言も面白いのだが、それを引き出す大野氏の手腕に感服した。序盤からキレのあるジョークで何でも言える雰囲気を作り出したのち、簡潔で歯に衣着せぬ質問を畳みかけることで自然な「ver節」を繰り出させることに成功している。

内容については、個人的に印象的だった点がふたつあった。

ひとつは「私たちは技術の進歩の度合いを理解しておらず、特に長期的な目での進歩を過小評価している」ということ。Ver氏自身の言葉ではなくGoogleのRay Kurzweil氏の言っていたことだそうだが、ブロックチェーンに限らず技術全般を扱う上で留意しておくべき事項であろう。
個人的にはこれは「技術は思ったほど進化しない」という話ではないと考えている。おそらく私たちは理解に努める結果、対象を極端に単純化しがちなのだ。それは楽だが少々短絡的で応用性に欠ける。技術が遅いのではなく、我々が受容しないのではないか。

もうひとつは通貨の選択肢の多様さ(ビットコインである必要はない)を分散型の美点として挙げ、政府の検閲との闘いの手段とも称していたこと。分散型=自由の哲学的側面に触れる発言である。ややもすると過激さでも注目を浴びがちなVer氏だが、私はその根底には愚直なまでのリバタリアニズムがあり、自分の思想に誠実な方なのではないかと思った。

ちなみにこちらのインタビューがRoger Ver氏のYouTubeチャンネルで公開されているので、見逃した方は是非。


2日目へ続く。

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