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(雑学)時刻はどうやって決められているの?/チコちゃんに叱られる!

こんにちはmakokonです。
12/20(金)放送のチコちゃんに叱られるは面白かったですね。
あなたは、うまく答えられましたか?
こんな感じの会話でした。(もうすでに記憶が適当)
「今何時、時間はどうやって決まっているの?」
「影でしょ?」「ボーっと生きてるんじゃないよ😡」
「時間は世界中の約400台のストップウォッチの平均できまる」
「?????」
この問題に時空標準研究室の方が、わかりやすく解説してくれました。
チコちゃんの解説を振り返りつつ、私も疑問に思った「1958年1月1日」の謎や、話題の「閏秒廃止」問題まで、一緒に考えてみませんか?



時間と時刻は違う

まず時刻と時間は違うものです。
時刻は,時の流れの中の各瞬間,つまり,1点を示し,時間は,時刻のある点からある点までのへだたり,つまり,時の経過の長さを示すものです
つまり、2024年12月21日9時58分15秒(時刻)の1秒(時間)後が、2024年12月21日9時58分16秒(時刻)という関係です。
今回の質問は、「時刻はどうやって決まっているの」という質問が正しい聞き方です。
時刻と時間の関係からこの答えは2つの種類が考えられます。

  • 瞬間瞬間の時刻がどこかで決まっている。(時間は関係ない)

  • ある決まった時刻の瞬間(0秒に設定)があって、そこから経過時間を積み重ねて決める。

昔は、前の方法(太陽の南中時が正午)が使われていましたが、今は積み上げ方法で時刻が決まっています。

時間を測る方法とは

積み上げ方法ということは、正確に時間を測る方法なくてはいけません。
1秒の定義を昔のように、正午と次の日の正午の間を(24✕60✕60)分割する方法が駄目なのはわかりますね。地球の自転速度とかは、どうしてもゆらぎがあるし、長期的には変化するものだからです。

原子時計

そこで、1967年に、1秒の定義が改定されました。
それがセシウム原子時計と言われるもので、セシウム原子が基底状態と励起状態の変化に伴って発生する9192631770 Hz のマイクロ波を使います。
つまり、この状態変化をが9192631770 回ごとに1秒という定義になりました。
この原子時計はかなり正確で、その誤差は1億年に1秒(10−15)程度とされています。
なお、この原子時計は、世界に限られた台数しかありませんが、決して1台きりではありません。

原子時計はぴったり同じなの

世界中の原子時計はぴったり同じ時間を測っているのかは重要な話です。もしぴったり同じなら、故障に備えて何台か作るにしてもたくさん作る必要はないでしょう。
残念ながら、量子の世界なので、すべての原子が揃って励起状態になるわけでもないし、熱擾乱や他の原子との相互作用等によって、マイクロ波の吸収スペクトルが変化する事があるためです。
だからチコちゃんでは、複数の原子時計を平均して、1秒を決めていると解説しています。
こうして、正確に1秒を測定できるストップウォッチが手に入りました。

セシウム原子時計の限界をこえる取り組み

ERATO創造時空間プロジェクトでは、大体3000万年で1秒くらいはズレが発生するセシウム原子時計に変わる超高精度な原子時計「光格子時計」の研究を進めています。詳細は、リンクを読んでもらうとして、この時計では、理論的には宇宙の年齢(137億年)経っても、1秒の以下の誤差しか生じません。
この超高精度の時計は、物理学の基本定数の正確な決定や、重力の影響の測定など新たな研究分野への貢献が期待されています。

時刻はあるタイミングからの、1秒1秒の積み重ね

というわけで、セシウム原子時計(ストップウォッチ)によって、正確な時間経過を図れるようになりました。
次は、基準となる時刻をストップウォッチの0秒に設定すれば、正確な時刻がわかりますね。

国際原子時 チコちゃんの答えの本質

チコちゃんの回答はこの部分ですね。

国際原子時 (TAI) は、世界50ヵ国以上に設置されているセシウム原子時計を数多く含む約300個の原子時計により維持されている時刻の加重平均である。
TAIの原点は1958年1月1日0時0分0秒 (TAI) に置き、その時点で1958年1月1日0時0分0秒 (UT2) と一致させた。

なぜ、1958年1月1日0時0分0秒なの

ちょっと本当の理由が軽く検索しただけではわかりませんでした。
よく述べられている理由は以下のように集約されているようです。だれか本当の選定理由を知っていたら教えてほしい。別に文句があるわけではないのだけど。

1958年1月1日が選ばれた具体的な理由としては、いくつかの要因が考えられますが、特に以下の点が挙げられます。
技術移行のタイミング: 1950年代後半は、原子時計の精度が実用的なレベルに達し、国際的に新しい時間基準を採用する準備が整った時期でした。1958年はその技術的転換期として適切なタイミングでした。
国際合意と調整: 国際的な標準時間を定めるには、多国間の協議と合意が必要です。1958年という年は、技術的な準備と国際的な調整が整った時期であり、多くの国が新しい時間基準に同意できた年でした。
歴史的な計時データの整合性: 既存のUT2のデータと新しいTAIのデータを一致させることで、過去の観測データの整合性を保ちつつ、新しい時間基準にスムーズに移行できるというメリットがありました。

これらの要因が組み合わさって、1958年1月1日がTAIの原点として選ばれました。

世界中の時計を平均するなんて簡単じゃないだろう。

簡単に平均すると説明しましたが、そんなに簡単じゃないでしょう。世界中からデータを持ち寄るだけでも時間がかかりそうです。

実はこうした高精度な周波数標準器を用いて決定される 協定世界時そのものは,リアルタイムには存在しません.
世界各国からデータを集め,高精度な計算によって確定さ せるため,正確な時刻決定に一月を要します.このため今 の時刻は,各国の標準時機関が,協定世界時から大きくず れないように,予測しながら原子時計を精緻に調整して作 り出して,供給しています.

電子情報通信学会2012 
通信ソサイエティマガジン No.22[秋号]2012

国際時刻の修正

説明はまだ続いていたのだよ。

協定世界時(UTC)

協定世界時は国際度量衡局 (BIPM) が国際地球回転・基準系事業 (IERS) の支援を受けて維持する時刻系で、標準周波数報時信号発射の基礎であり、国際単位系 (SI) に基づく国際原子時と同歩度だが、整数秒だけ異なる。
UT1 世界時と近似的に一致させるため、秒を挿入または除去する閏秒調整を行っている。
この協定世界時がいわゆる国際的な標準時であり、この協定世界時に9時間を足したものが、日本標準時である。

なぜ協定世界時が必要なの

SI系で定める時間と国際原子時の時間の進むスピードを比べると、原子時のほうが少し早く進むことがわかった。
天測航法測地、人工衛星観測などは地球の自転に基づく世界時を必要とするので、この進みを調整する必要があった。
調整方法は、歴史的には紆余曲折あったが、「時々国際原子時より送らせて、辻褄合わせをするのが便利そう。」「原子時とのズレは整数秒にしよう」ということが決まって、閏秒による調整をすることが決まった。

閏秒調整

世界時(UT1)と協定世界時(UTC)の差の絶対値が1秒とかになると、明らかに違う時刻が存在することになって非常に調子が悪いですね。
そこで、1972年1月1日0時0分0秒UTC(1972年1月1日0時0分10秒 (TAI))から協定世界時は UT1 世界時と差が 0.7 秒を超えぬように国際報時局で調整・管理して、閏秒調整をすることになった。
閏秒調整日は1月1日または7月1日に定めらた。

閏秒 標準時表示板

閏秒がなくなる?

国際電気通信連合(ITU)の無線通信部門は、2023年12月に「1秒単位でのうるう秒の調整をしない」(原則2035年までに廃止)と決議しました。また、国際度量衡総会(CGPM)は2022年11月に、2035年までにうるう秒に替わる案を決定しています。

うるう秒の廃止が検討されている理由は、過去に複数のシステム障害につながった経緯があり、大手IT企業を中心に廃止を求める声が高まっていたためです。システムを動かすプログラムが「60秒」というイレギュラーな時刻表示に対応できず誤作動を起こす可能性や、分散化を取り入れているシステムでは時刻表記の同期がずれて不具合が起こる可能性があります。
総務省によると、日本を含む多くの国は、システム改修の必要がなく、廃止による影響は限定的ということです。
実際のところ閏秒がなくなると、困る人がどれくらいいるんでしょうね。
以下のような人たちからの意見が聞きたいものです。

閏秒が廃止されることによる具体的な悪影響として考えられること。

天文学および航海: 天文学では、地球の自転に基づいた正確な時間が必要です。特に、天体観測や宇宙探査の際に、自転に基づく時間がずれると、観測の精度に影響を及ぼす可能性があります。航海においても、天測航法を用いる場合には地球の自転に基づく正確な時刻が重要です。
地球科学と測地学: 地球の自転速度の変化は、地震や火山活動、潮汐変動などの自然現象の研究において重要です。閏秒がなくなると、自転速度の変化を直接的に追跡することが難しくなる可能性があります。
法律や規制基準: 時間に関する法律や規制が、地球の自転に基づく時間を前提としている場合、閏秒廃止によりその前提が崩れる可能性があります。これにより、法律や基準の改定が必要になるかもしれません。

これらの分野では、閏秒があることで地球の自転に基づく時間と原子時計時間の差を調整してきたため、その廃止は一定の調整や適応が求められることになります。

まとめ

思ったより長い記事になってしまいました。
時間は、世界約300個の原子時計の平均によって精密に刻まれている「国際原子時」を基準に、閏秒で調整された「協定世界時」を元に決められています。原子時計の精度向上や閏秒廃止の動きなど、私たちの身近な「時間」の概念も常に進化しています。1958年1月1日を原点とした理由など、謎も残されていますが、今回のチコちゃんのおかげで、私も時間の奥深さを改めて実感しました。みなさんも、改めて「時間」について考えてみませんか?

付録

セシウム原子時計の仕組み

・原子ビーム式:原子ビーム式は、「セシウム133原子時計」に使われています。図のように高真空 のタンクの中でセシウム原子を熱し、原子ビームを作ります。そのビームに、中央で2回電磁波を照射し、セシウム原子の周波数を特定します。2回の測定の間隔が長いほど、干渉効果により特定すべき周波数の幅が狭まり、測定の効率と精度が上がります。原子ビーム式の場合、図で分かるように、構造上最大で取れる幅は2mがやっとで、常温で秒速200mで飛ぶセシウム原子の2回の測定の間隔は1/100秒、周波数の幅は100Hz程度です。

原子ビーム時計模式図

国際原子時と協定世界時


電子情報通信学会2012 
通信ソサイエティマガジン No.22[秋号]2012



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