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【短文朗読】金木犀とキミ

☆所要時間:2分
☆人数 :1人用


金木犀の香りに包まれながら、
キミは去っていった。

西日で見え隠れして、
最後のキミの表情がどんなだったか
思い出せない。


この季節になると、
香りの主(ぬし)を探しながら、
キミの残り香を思い出す。



最後は、八方塞がりのようになってしまった二人の日々。


好きなのに、苦しい。
好きなのに、受け入れてもらえない。
好きなのに、助けられない。


お互いがそう思っていたのだろうと思えたのは、長い月日が過ぎてからだった。

「あの時、キミの傍を離れずにいたなら」

思いを巡らせてみたところで
ちっぽけな自分に、何ができたというのだろう。

どこまでも忘れきれない
はにかんだキミの顔。



キミをもう一度
笑顔にすることができなかった私を

キミが忘れて

別の誰かと

笑って過ごせていますように。

End


〜マコのひとりごと〜

今はなき某配信アプリで、お題として投稿したものを加筆修正しました。

世界一好きな花が金木犀なので、秋の何かを書く時には真っ先にテーマにしがちです🌼


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