距骨の役割と特徴

距骨の役割と特徴

距骨は、足首と足の動きにおいて重要な役割を果たす骨です。特に、体重の分散筋肉の付着がない特性靭帯による安定化という3つの点で独特な構造を持っています。今回は、距骨がどのように機能しているのか、その役割と特徴について解説します。

体重分散の要

距骨は、距腿関節(きょたいかんせつ)を介して、脚から受け取った体重を足全体に分散させる重要な役割を持っています。具体的には、距骨は踵骨(しょうこつ)足底内側アーチ足底外側アーチの3つの方向に体重を効率よく分散させています。この体重分散機能により、歩行や立位の際の安定性が保たれています。

かごの中の骨

距骨は、他の骨と異なり、筋肉が直接付着していないという特徴を持っています。通常、骨は筋肉に付着し、その収縮によって動きますが、距骨は周囲を走る13本の腱によって動きが制御されています。この特徴から、距骨は「かごに入った骨」とも称されています。

距骨に付着している筋肉はありませんが、下腿の筋肉から伸びているこれらの腱が、距骨を通して足首や足の動きを支えています。この構造により、距骨は足首の中で安定しており、効率的に動作を制御できます。

靭帯による安定化

距骨のもう一つの特徴は、関節面と靭帯付着部で完全に覆われていることです。距骨を安定させている多くの靭帯が、周囲の骨としっかりと連結し、足首の安定性を保っています。このため、距骨は「中継の骨」と呼ばれることもあります。

これらの靭帯は、足首や足の複雑な動きに対して柔軟性と安定性を提供し、外部からの力に対しても耐えられる構造になっています。

距骨の栄養供給と骨折リスク

距骨への栄養供給は、靭帯の付着部に走る血管と、直接侵入するいくつかの血管に依存しています。通常はこれらの血管から十分な血液が供給されていますが、距骨が骨折した場合、特に距骨頭骨折体部の脱臼が伴う場合、血管が損傷を受けやすくなります。その結果、距骨への血流が阻害され、栄養不足に陥ることがあります。最悪の場合、壊死が発生するリスクもあります。

まとめ

距骨は、足首と足の機能において重要な役割を担う骨です。体重分散、運動の制御、そして足首の安定性において中心的な役割を果たしています。さらに、豊富な靭帯による安定性も確保されていますが、骨折による血行障害のリスクには注意が必要です。


この記事を書いたトレーナー
山岸慎(やまぎし まこと)
STUDIO KOMPAS 渋谷店
〒150-0036 東京都渋谷区南平台町13-11 南平台WEST 地下102



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