<人物紹介>畠山重篤 (はたけやましげあつ)氏
<人物紹介>畠山重篤(はたけやましげあつ)氏
直接、南アルプス・大井川に関与はないのですが、水返せ運動以来の大井川水系の環境保全を考える時、ダムによる河川環境の課題を新たなダム建設で解決しようとする、従来の河川土木工学的アプローチではいけないのではないか?と感じてきました。
人々は大井川との距離を縮めたいのであり、恐怖と愛着の入り混じった大井川を取り戻したい、と願っているのです。
ここに至って、畠山 重篤 (はたけやま しげあつ)氏に登場していただきます。
「森と川と海はひとつにつながっている」<森は海の恋人>といったメッセージを発信されています。プロフィールは以下の通りです。
中国上海生まれ 宮城県気仙沼水産高等学校卒
昭和37年 牡蠣、帆立の養殖に従事
平成元年 牡蠣の森を慕う会 設立
平成16年 京都大学フィールド科学教育研究センター社会連携教授
平成21年 NPO法人 森は海の恋人 設立
平成24年 国連森林フォーラム「フォレストヒーローズ」受賞
畠山さんは気仙沼湾で牡蠣の養殖をされてきました。気仙沼湾に流れ込む大川によって、海と川の合流による汽水域(きすいいき)が保たれ、健全な海が維持されている、と理解し、大川流域の雑木林育成活動をしました。
<森は海の恋人>というわけです。
このように、山・川・海が有機的につながらなければ、流域の豊かさ、持続可能性は保証されません。畠山さんにならって、これからはエコ大井川を取り戻さなくてはなりません。
以下は畠山語録です。「川の流域に住んでいる人間の意識が変わらなければ、やはり川も綺麗にならないし、山もちゃんと手入れできない
歌人の熊谷龍子さんの「森は海を 海は森を 恋いながら 悠久よりの 愛紡ぎゆく」から「森は海の恋人」っていう言葉が生まれて来たわけですよ。
上流の山に雑木林を作るって事は、誰にとっても迷惑がかかることは何もないと。むしろ川の流域に住んでいる人たち全員に益をもたらすことだ。」
2011/03/11東北大震災にて気仙沼も大きな被害を受けました。国は防災のため、三陸沖340キロに及ぶ防波堤を計画しました。畠山さんの住む舞根の人々は「住民総意として高台に集団移転して、津波発生時の安全を確保するので、防波堤建設を辞退する」と要望書を提出しました。「海が見えないと漁師は仕事ができない。」という信念からでした。