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アメリカの弦楽器教育

今日は不動産とは少し離れますが、私のもう一つの専門でもあるヴァイオリンに関係する事を綴りたいと思います。

コロンバス周辺の公立&私立学校には
Stringsの授業があるところが多いです。
もちろん選択制。

ミドルスクールから音楽の授業は
Strings
Choir
Brass Band
など選択できます。

Stringsだと
ヴァイオリン
ヴィオラ
チェロ
コントラバス(ベース)

年度末に、楽器屋さんが来て生徒が試し弾きできたりする学校もあるそうです。

学区によっても異なりますが
ダブリン学区は6th(ミドル)から本格的なStringsの授業が始まります。ですが、実は5thから選択でき、小学校の開始は9時と遅いため、その前にスクールバスでミドルスクールへ行き、朝練をすると聞きました(朝練が終われば、小学校にスクールバスでまた戻ります)。
そのためダブリン学区は6thから既に、AとBクラスに分かれます。5thから始めた子と6thから始める子の能力に開きがあるためです。
オレンタンジーとヒリヤード学区は皆同時に6thから始まります。

日本人は弦楽器は手に取りにくい楽器のイメージがありますが、実はアメリカではそうではありません。
学校教育の一環としてあるからでしょう!
ただ、ほとんどの学校の先生が話される事は
「プライベートの先生について下さいね」

実は、私は娘が学校でStringsのクラスが始まるまで、
「Strings  Classがあるなんて、アメリカの学校システムはなんて素敵なんでしょう!」と単純に感動していましたが、実際1番大変になるのは親と気付きました。。。。プライベートの先生のレッスンへ行く事になれば、レッスン代もかかり、送迎も必要になる。
学校だけの授業でヴァイオリンを弾きこなすのは、本当に難しい。
私の生徒で何人か学校のみで数年学んできた子がいましたが、どんなに器用な子でも変な癖がついていて、しばらく色々な癖を取るのに苦労しました。実は自分にとって1番難しいチャレンジは、数年学校のみで学んできた子を指導する事です(わからないまま弾いている子が多い)。半年経てば軌道に乗ります。

娘が通学していた小学校は、4年生の年は皆ほぼ強制で弦楽器のクラスを取らなければいけませんが、プライベートのレッスンについている子は数人(先生は薦めてはいました)。
プライベートの先生についていない子たちは、ほとんど翌年は続けません。こんな状況で、最近はStringsの授業に意味があるのだろうか?とも考えましたが、中には高校まで続ける子もいますし、一概に否定はできませんので、やはり弦楽器が身近に感じれるようになる教育は良いと思います。

私が大学で弦楽器教育学を学んでいたとき、
「統計で、弦楽器クラスがある学校は算数(数学)の成績がこのプログラムがない学校よりも高い結果が出ている」との記事を勉強させられたのを覚えています。

2024年度発表会・自慢の可愛い生徒達です!

よく生徒に話す事ですが、
『ヴァイオリンは常に頭をフル回転していないと弾けません!』
よくよく考えてみると、演奏中は同時に沢山の情報をイン→アウト します。
例えば
〜インプット〜
まず楽譜を見て情報を得る
1、音は何?
2、リズムは?
3、どのポジションで弾くの?(何番の左指を使うの?)
4、アーティキュレーション(レガート、スタッカート、テヌートなどなど)は?
5、ボーイング(弓の方向、スラーはあるのか?あれば一つの弓でいくつの音を弾くか)は?
6、強弱は?

楽譜の情報をインプットした後、楽譜通りに弾くには
1、弓の場所はどこを使うのか?
2、弓を引っ張る弦の場所はどこか?ちなみにバイオリンは4本の弦があります。(弦を選んだ後、弓の置く場所を出したい音により、駒の近くか?指板の近くか?真ん中か?それとも??考えます)
3、弓の長さはどれぐらい使うのか?
4、その強弱を作るには弓への圧力はどれぐらい必要なのか?

楽曲をよりよく仕上げるための追加技術
1、ビブラート(左手音に揺らしをかける)は付けるか?つけるのであれば速さは?
2、フレージング(音の流れの句切リ)
3、表現(音色も含め)
4、時代背景(時代により弾き方も変わります)

アウトプット
上記を理解した上で、音を出し演奏します
耳を使い聞くことが大切になります。
その上で、
音程はあっているのか?
音量は適度か?
表現はあっているか?
など上級者はもっといろいろな事がありますが、基本こちらを考えなくして演奏はできません。

この技術は一筋縄ではできません。
何度も何度も、何年も積み重ねてできるようになってくる技術もあります。
練習を積み重ねれば、自然とできるようになる事が多くなります。
料理であれば、長い年月修行した一流のシェフが、創造豊かな創作料理をして召し上がってくれる人が一時の幸せを感じる。
音楽の演奏の最終目的は料理と似ていると思います。

もちろん、全てのヴァイオリン弾きがプロになるわけでもないので
全て上級レベルでできなくても良いのですが、ある程度人に聞かせられるレベルになるには、時間がかかります。ピアノと違い、バイオリンの激しい汚い音は耐え難いです(しずかちゃんのバイオリンがそうでした!)。

実は弦楽器は、忍耐力、判断力、行動力、実践力、思考力、分析力などを学び、マルチタスクのトレーのイングにもってこいの楽器です。
もちろん、管楽器も似たような判断や理解力も必要ですが
弦楽器の方が、左右全く異なる動き、左手の動きも複雑なため、一度に行うタスクは多いと思います。
特にヴァイオリンは普段行わないような体制(左肩に楽器を置く)で弾くので、ある程度自分が納得できるように弾けるまでに、忍耐力が必要になります。
音楽や芸術なんて、勉強したって将来何の役にも立たないから時間のとお金の無駄。と思う方もいらっしゃると思います。
しかし私は無駄と思うものこそ、人生の大切な一部になることも多いと思います。
実に私の教え子は、音大へ行った子はほとんどいませんが

大学オケやサークルで4年間ヴァイオリンと共に大学生活を送った子が沢山います。社会人になっても、アマチュアオケで続けている子もいます。
ヴァイオリンがその子の人生の一部になった事を教師として喜びも感じる事が多いです。

もちろん、大学で弾かなかった生徒も将来は、また趣味でヴァイオリンを手に取りたくなるかもしれないし、自分の子にヴァイオリンを習わせるかもしれませんし、音楽会に足を運ぶかもしれません。仕事だけの人生でなく、人生が豊かなものになると思います。
ヴァイオリンを通じ、勉学にも通じる何かを学んだ事は人生の糧になると私は信じています。

簡単な楽器ではないので
子どもが小さいほど、親に負担がかかる楽器ですが
日本では少し縁の遠い楽器をアメリカで学んでみても良いかもしれません。
まずはチャレンジから。

Dublinには、学校オケだけでは物足りない生徒たちへ選抜オーケストラ
Dublin Youth Symphony Orchestra (DYSO)があります。ダブリン市内の学校へ通っている子のみオーディション資格があります。

ColumbusにはプロオケColumbus Symphony Orchestraの傘下にあるユースオケが年齢&レベル別に4段階あります。
こちらはプライベートレッスンに通って、オーディションに合格することが必須条件ですが、コロンバス周辺の学校であれば、学校制限などはありません。
Youth Orchestra  9~12th 
Repertory Orchestra  7~10th
Chamber Strings  6~9th
Junior Strings 3~7th

娘も今年から、Junior Stringsで弾くことになりました。初めはイヤイヤでしたが、行ってみると年齢が近い子達とのアンサンブルはとても楽しいようです。

それと今年は私の高校生の生徒2名が、OMEAの高校選抜オーケストラに合格しました!
この選抜オーケストラは、コロンバス周辺の学校で弦楽器クラスを取得又は、学校自体にクラスがなくとも先生(音楽の先生も含む)がOMEAメンバーであれば、高校生はオーディションを受けることができます。
このオーディションの課題は簡単ではありません。
今年は、モーツアルトの交響曲(1stパート)とMazas Op36.のエチュードからでした。コンサートは1年1回のみです。
二人ともおめでとう☺️

ちなみに、コロンバスにはお薦め弦楽器専門店は現在1軒しかありません。
よく他店を薦められる人もいますが、実はただの楽器店だったり本店が遠かったりで弦楽器の事をよく理解していない者が楽器を貸したりしています。
ある店で私の生徒は間違った楽器のセットアップをされていたりと、驚きでした。
コロンバスで弦楽器を借りるなら
The Loft Violin Shop

レンタル代が貯まれば、自動買取となります。
楽器をアップグレードしたい方も下取りしてくれます。

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