私の知らない現の世界【兎、波を走る】
お久しぶりです。teraです。
最近は本当に暑いですね🫠まだ7月なんて信じられない…!
私は最近トマトを食べて健康管理のつもりでいるのですが、皆様もお体に気をつけてお過ごしくださいね🌿
ところで、私は先日この猛暑の中、とある舞台の当日席獲得のために約4時間列につきました。
今日はその舞台の感想について、お話させてください。
兎、波を走る
まず、この舞台について少し説明を。
野田秀樹が率いる「NODA・MAP」待望の最新作、「兎、波を走る。」
高橋一生、松たか子、多部未華子ら豪華キャストが集結。
「“潰れかかった遊園地”を舞台に繰り広げられる “劇中劇(ショー)”のようなもの」という設定のもと繰り広げられる、目まぐるしいジェットコースターのような劇体験をお見逃しなく!!
事前情報としてはこれくらいでしょうか?
NODA・MAPの作品は非常に人気ですよね。今回の「兎、波を走る。」、私もチケットを各種サイトで応募したのですが全然駄目で。
これだけ暑い中で並ぶのはちょっと…と思わなかったこともないのですが、Twitter等で今作の評判を眺めていたら何としてでも行きたくなってしまい、東京千秋楽の日、炎天下の中列に並んでしまったのです。
けどそれを全く後悔してないです。
それくらい、心動かされる体験でした。
分からない、という体験
今回私は、初めて野田さんの作品を拝見しました。
だからでしょうか、物凄く衝撃を受けたのです。
「分からない」ということに。
今回はまだ大阪公演、博多公演も残ってるとのことで、なるべくネタバレのないようにお話ししたいのですが、感想ということにはなるので、「まだ見てない!何も知りたくない!」という方がいたらそっと画面を変えてください。
これは衝撃体験でした。
目の前で「凄いもの」が繰り広げられているのは分かるんです。
技術と巧みなセリフと役者さんの身体と、
様々なものが織り交ざってない混ぜになって。
ものすごいものを見せられてるのは分かるんです。
けど、きっと、私は半分も分かっていない。
それがものすごく痛かった。
兎とは、アリスとは。
分かるのに、きっと分かりきっていない。
それは、私が無知な人間だからなんです。ものすごく不勉強な人間だからなんです。
私が「分からなかった」のは、今目の前に広がっているはずの現の世界を「見ようとしていない」からなんです。
「もう、そうするしかない」世界に気付けなかったのは私なんです。
時間も空間も自在なこの舞台の世界で、私が気付けたのは己の無知さでした。
きっと他にもポイントはたくさんあったのだと思いますが、何よりこれが1番の痛みでした。
今、私の手元にはパンフレットと、脚本が乗っている月刊新潮があります。
まだあまり読むことができていないのですが、それでも、この脚本を読んでいくうちに、少しでもこの脚本を理解できる私でありたいなと思います。
不条理
そしてもう1つだけ。
今回の作品のテーマとして1つ「不条理」というのがあると思います。
けど、これって本当に不条理なのでしょうか?
もちろん、この作品は、不条理で満ちていました。
アリスに起きた出来事も、脱兎に起きた出来事も、アリスの母に起きた出来事も。この不思議な舞台でさえも不条理です。
これ以上のないほどの不条理。
許せないほどの不条理。
けど、今回描かれた不条理って、凄く人為的なものではないでしょうか?
ある視点から見ると、それは不条理ではないのかもしれません。
それが、1番恐ろしい。
それが、1番許してはならないことなのではないでしょうか。
恣意的に不条理を生み出す人を、社会を、何かを、私たちは許してはならないような気がするのです。
とんでもないもの
前述したように、本当にとんでもない作品でした。
見ていて凄く心が痛かった。息が詰まるような気がした。
けど、観て良かったなと思います。朝っぱらから4時間並んでさえも。
私はやっぱり舞台が好きです。
こんな衝撃体験ができたのは、何ヶ月もかけてあの舞台を作り上げてくださった方々のおかげです。
あの、息が詰まるような感覚は、きっと皆さんがものすごく細い糸の上を渡ってくださっているからなのです。
1歩踏み出したら落ちてしまうような世界を、ものすごく緻密に作り上げてくださっているからなのだと思います。
この声が制作陣の皆様に届く訳ではないとは思いますが、お礼を言わせてください。
本当に有難うございました。
8月3日から大阪公演、8月17日から博多公演がスタートするとのことなので、皆さん、是非。
最後までお付き合いいただき、有難うございました。