「雑誌を作りたい!」と思ってから、6ヶ月で夢が叶った話
「雑誌を一緒に作りたいです!」
そう言ったのは、ある日の思いつきからだった。ぼくの人生の中で雑誌作りなんて考えたこともなかったが、その言葉が口から出た瞬間、なんだか止められないワクワク感が押し寄せてきたのを覚えている。
そのきっかけは、オンラインコミュニティ「マエデ」との出会いだった。
妻から教えてもらったそのコミュニティは、"仕事では味わえないクリエイティブ"を楽しむ場所。雑誌作りをテーマに掲げるプロジェクトをこれから進めると知り、思い切って「一緒にやりたいです!」と手を挙げた。
正直、何ができるかなんて全くわからなかった。というのも、雑誌作りの経験はゼロ。
でも、「やりたい」という気持ちが勝っていたし、このプロジェクトに関わることで、自分の新たな可能性を見つけられるんじゃないかという期待もあった。
2024年5月24日、プロジェクトは動き出した。テーマは「ただかっこいいだけの雑誌」。B4サイズ、100ページほどのボリュームで作り上げた雑誌を、ギャラリーで展示・販売するという大枠だけが決まった。
それ以外の具体的な内容は白紙。だからこそ、何でも挑戦できるという自由さがある。
ぼくは編集という役割で、プロジェクトのコアメンバーに加わることを決めた。編集ということばの重みや役割の責任を考えることもないまま、ただ純粋に「やりたい」という気持ちだけで走り出していた。
それがこのマエデの良いところ。経験の有無ではなく、挑戦する姿勢を大切にしてくれる環境だと感じたし、実際そうだと思う。
6ヶ月間のプロジェクトを通して、ぼくが担当した主な役割は次の3つ。
イベントの企画運営
雑誌の紙面構成・ライティング
ギャラリーでの販売会の運営
他にも色々とやらせてもらったのだが、どれも初めての挑戦ばかりで、何度も壁にぶつかりながら、それでも進めていく日々だった。
このnoteでは、そんなぼくの雑誌作りの奮闘記を振り返りながら、「雑誌を作りたい!」と思ってから、どんな風に関わることができ雑誌が完成していったのかをお伝えする。
イベントの企画運営
プロジェクトの途中、雑誌の方向性を確立するために、オフラインとオンラインで参加可能なイベントを、7月に企画開催することになった。
目指したのは、メンバーだけでなく外部の人も巻き込んで、雑誌制作の初期段階からプロジェクトに関わってもらうこと。
会場選びから集客、企画内容の立案、司会進行まで幅広く担当した。特に苦戦したのが「集客」。自分たちの発信力や拡散力が足りず、人を集める難しさを痛感した。
それでも、クリエイティブディレクターの前田さんはじめ、メンバーみんなのサポートを受けながら、なんとかイベントを実現した。
イベントでは、「表紙決めコンテスト」や「ページデザイン収集コンテスト」、そして「コンセプトワークショップ」を行った。
すべてが決まりきったわけではないが、今後の方向性を決定づける成果を得られたのは大きな収穫だった。
また、イベント後にメンバーから「司会上手いね」と言ってもらえたのが、とても嬉しかった。これを機に、自分の新たな強みに気づくことができた。
紙面の企画構成
雑誌のタイトルは『Grapheck』、なんと「おなら」をテーマにした雑誌だ。「ただかっこいいだけ」というテーマのもと、ユニークで斬新なアプローチが魅力だった。
紙面構成は「発生期、我慢期、準備期、解放期」の4章立てとなり、ぼくはその中の「準備期」の企画構成を担当した。
ここでの大きな特徴は、デザインを先に決めてから企画構成を練るという制作スタイル。デザイナーさんが「かっこいいデザイン」を自由に作り、そのデザインに合った内容を後から決めていくという本来の雑誌制作とは真逆のプロセスである。
この方法は、「デザイナーのすけべ心をくすぐる」ために考えられたものだ。
「おならの準備ってなんだろう?」と悩みつつも、最終的には「人目線」と「おなら目線」の2つの視点でストーリーを作ることに。
例えば、人目線では「緊張と安堵の場面」を、おなら目線では「どんな環境で育ち、出口近くまでたどり着いたのか」という状況を描いた。
この作業は自由で、ぼくの妄想力を全開にして取り組める楽しさがあった。
ライティングへの挑戦
紙面構成だけでなく、ライターとしても文章を執筆した。
担当したのは、「準備期」の20ページのうち、5ページ分。これまでライティングの経験はなかったものの、ことばが好きという気持ちだけで挑戦した。
自分が考えた「準備期」のストーリーに沿った内容を丁寧に書き上げる作業は、楽しくも難しいものだった。それでも、完成した文章を紙面で見ると、達成感が大きく、読者に伝わる形で表現できたことが嬉しいと感じた。
ギャラリー販売会の運営
雑誌が完成するタイミングで、プロジェクトの集大成として行われたのが、ギャラリーでの販売会だった。
ただ雑誌を販売するだけでなく、来場者と直接つながり、雑誌のテーマや魅力を伝える場として重要なイベントである。
東京アートブックフェアの日程に合わせ、会場探しから販売会運営まで一手に担当したぼくは、多くの課題に直面しながらも、かけがえのない経験を得ることができた。
会場選定とオーナーさんとの出会い
最初の課題は会場選びだった。雑誌のコンセプトである「ただかっこいいだけ」というイメージに合い、かつ訪れる人々がリラックスして楽しめる場所を見つけるのは簡単ではなかった。
いくつかの候補を見て回る中で出会ったのが、都内の小さなギャラリー『Ikkou's Gallery』だ。このギャラリーは、コンクリートの打ちっぱなしの壁面とアートガラスの展示が特徴的で、雑誌のビジュアルと調和する空間だった。
また、オーナーさんの柔らかい人柄と立地が決め手となり、ここでの開催を決定。何度か訪れてオーナーさんと販売会の内容やアート、テニス、音楽などいろんな話しをした。「気心知れた仲」とまで言っていただけるくらいにまで、本当に良くしていただいた。
また、オーナーさんからも「雑誌の完成と、ここで開催されるのが楽しみです」と言っていただけたことが、大きな励みとなった。
販売会の準備
会場を決めると、次は具体的な展示内容とイベント設計に取り掛かった。雑誌販売だけでなく、ポスター展示やワークショップの開催など、来場者も運営スタッフにも楽しんでもらえる工夫を凝らした。
雑誌が完成する前段階の紙面を展示したり、ミニサイズの豆本づくりを体験してもらうワークショップは、ぼくだけでは出来なかったり思いつかなかったことでもある。メンバーに助けてもらいながら販売会全体を盛り上げてもらった。
販売会当日と感動の瞬間
販売会初日、会場には予想を上回る多くの人が訪れた。立ち止まって雑誌をじっくり読んでくださる方、制作の経緯を熱心に質問してくださる方、そして「本当に『おなら』がテーマなんですか?」と笑いながら驚く方――
さまざまな反応があったが、そのどれもがぼくたちにとって嬉しいものだった。
特に印象に残っているのは、ワークショップに参加していただいたある方が、「実は7月のイベントにオンライン参加してて、雑誌の完成を楽しみにしていました」と言ってくれたことである。
その瞬間、「つながってるな~」「ちゃんとプロジェクトの輪が広がってたんだな~」と感じ、やっててよかったと思えた。
2日目には体調を崩して会場に行けなかったのが心残りだが、メンバーのおかげで、販売会は無事に終わったと聞き、ホッとした。
来場者の方に「やっていることが羨ましいです」や、オーナーさんから「ギャラリーを作って良かったと思いました」と言ってもらえた時、ちゃんと"かっこいい"と思ってもらえる雑誌になったんだと感じ、感動した瞬間でもあった。
雑誌作りを通じて得たもの
雑誌作りを通して得られたものは数え切れない。
クリエイティブの楽しさと難しさ
みんなで1つのものを作り上げる喜び
完成したモノを手にしたときの感動
人とのつながりの温かさ
「雑誌を作りたい!」というたったひと言から入ったオンラインコミュニティで、たくさんの人と出会い、かけがえのない経験を積むことができた。この経験は、これからの人生にとって大きな財産になると感じている。
これを読んでくださった方が、もし「やってみたい」と思うことがあれば、ぜひ一歩を踏み出してみてください。その一歩が、思いがけない形で夢を現実にしてくれるかもしれません。
追記:2025/1/19
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