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学び方を学ぶ

昨今は時代の変化が早くなり、日々学び続けることを強制されるような社会になってきたと思っています。ですがその空気のおかげで成長という刹那的ではない楽しみが後押しされる非常に幸せな社会でもあると思っています。

そんな中、アーリック・ボーザー著「LearnBetter~深い学びを得るにはいったい何が必要か~」という本を読みまして中々の衝撃を受けました。

これを読んでくださっている方の中で学習学という学問の存在をご存じの方はどれくらいおられるのでしょうか。

僕はもちろん知らなかったのですが、要は効果的な学び方を学ぶという学問のようです。非常に大切な分野だと感じました。

同じ小学校6年間でも効果的な方法をとるかとらないかではとんでもない差が生まれると思います。

僕自身も読了後の最大の思いは「もっと早くしりたかったぁーーー。これを先に知っていれば今の100倍くらい賢くなってたかもしれん」です。

今回はこの本を実践できる部分を抽出してまとめてみたいと思います。

はじめに 学習には6つのステップがある

この本を貫く部分として深い学びを得るには体系だった6つのステップがあるという主張があります。それを順を追って1つずつ紹介していく形にします。

①価値を見出す

そもそも知識やスキルの習得とは、脳の中に何かと何かのネットワークを構築する事であり、脳はコンピュータではなく道の集まりのようなもので情報のつながりなのだそうです。

知識習得は情報のコピーではなく、生産活動であり、脳の中に新しい道、つながりや関連性=意味をつくり出す活動であります。

この本質の部分からいって自分にとって意味や価値(つながりや関連性)のあるものが頭に入ってきやすいのも、意味や価値を見出せないものはちっとも覚えられないのも自明の理です。

そしてこの理論にのっとり学習の対象に意味を見出したり知識は道の構築というアプローチをとると実際に学習効果があがることが分かっています。

例えば学校の授業を受ける前に今日の授業は自分の生活のどのシーンで活かす事ができるか考えるとそれだけで覚えがよくなります。

ある情報を記憶しようとする時に、その情報に対して自分はどう感じているかという感情とのつながり(意味)をつくると記憶の定着がよくなります。

学習を脳内の道を作る活動だと考えるとラインマーカーや繰り返し読むのような学習は道をつくるには力不足なのだそうです。最も効果が高いといわれているのは自分に問題を出すや、自分に説明をしてみるといった行為で、これにより学習の効果はあがります。

意味を見出す事には沢山の効用があります。

①物事に応用が利くようになります。

本書ではジントニックをたとえに出しています。ジントニックを意味まで含めて理解している人はジンがアルコール度数何%でどんな味か(自分がどう感じるか=意味)、トニックウォータはどんな風味の水か、自分の感覚とのつながりを理解しています。するとトニックウォーターもジンも切らしていても、ジンジャーエールとウォッカで似たものができると考える事ができるようになります。

②モチベーションを高くもてる

モチベーションとは次の式で表せるようです。モチベーション=コスト(達成に必要な努力)+期待感(自分にはやれるという感覚)+意味(やる価値があるという感覚) 時としてこの中では意味が一番大きな要素になる時があります。例えばSNSで流れてくる猫の画像がまとめられたサイトをついついクリックしてしまうのも小さいですがモチベーションです。

地球環境改善に何十年もささげるのもモチベーションです。

前者はその場限りであり、後者は長期的です。この2つのモチベーションの最大の違いは意味にあり、それが本当にやるに値するかという部分がモチベーションが持続するかどうかを分けるのだそうです。

③仕事や人生においても高い効果を発揮する

自分の仕事に深い意味や価値を見出している人ほど仕事の質が高く、充足感を感じているそうです。人生に高い意義を感じている人ほど不安がなく、健康で人生の満足度が高い事がわかっている。

これをうけてジョブ・クラフティングという自分の関心事に合うように仕事を変えるという取り組みが行われていて、ロックミュージック好きな教師が憧れのミュージシャンの要素を入れて授業をしたりして意味を見出しています。

第一章を終えてわかったのは、学習はまず価値を感じるところからしか始まりまらないという事

そういう観点に立つと生来の関心というのはそれだけですでにその分野においての才能があるといえます。

日頃からやっておきたいのは、自分の欲求を深く掘り下げ続けるという事。対象を結びつけて意味を与えるのは欲求なので、その欲求が具体的で強いほど意味も強く、その効果も大きくなります。

②目標を設定する

読んでみて、正直内容が章題にあっているのか少し疑問になりました。ですがとりあえず続けます。第2章の大事な要素は3つあります。

①どのように学ぶか

②どのような目標設定をするか

③学習における感情の重要性

順にみていきます。

①どのように学ぶか

・短期記憶と長期記憶

人の脳には短期記憶と長期記憶があり、それぞれの関係性や仕組みは、短期記憶は脳のスケッチブックといわれ、一時的な情報を記憶する部分です。容量が小さく(電話番号は3桁くらいまでしか覚えられず、7桁とかは難しい)、短時間しか記憶が持ちません。記憶の入口部分にあたり、長期記憶に届ける前にまず短期記憶で情報を処理しなくてはいけません。なので小さな入口となぞらえられます。

長期記憶はとても大きな容量があり、昔のいざこざなど細かいことまで覚えています。

この仕組みから、何かを習得する時は短期記憶が消化できる大きさに分割して1つに集中して行わなければならないことがわかります。

ながら勉強は短期記憶を圧迫するのでなりたたない。という事もいえます。

・メタ認知

メタ認知とは自分自身に対する問いかけの事です。今自分は何がわかっていて何がわかっていないのか。この部分は本当にわかっているのかといった問を学習の中で自分にする事で習得は深く早くなります。IQよりもメタ認知的問の方が成績への影響が大きい事もわかっています。

②どのような目標設定をするか

・絞った目標設定

上の短期記憶のところに書きましたが、学習を小分けにして集中する事が大切です。なのでマラソンであれば上り坂を改善する。作家であれば感情のこもった会話を書けるようになる。のような具体的で絞った目標設定が必要です。

・知識効果

知識効果とは事前知識の量で学習成果が予測できるという現象で、要は事前知識なしでは学習はできないという事です。知識は学習の土台であり、すでに学習した事を土台としてこれからの学習を支えていきます。

脳は新しい情報を古い情報と束ねて覚えるようにできているので(1章で出てきたネットワークの形成)知識により脳にひな形を作ることで新しい情報を覚えやすくなります。なので何かを学ぶ時はその分野の基礎知識から入るのが習得の近道という事がいえます。ここから見えてくるのは知識が知識を呼ぶ現象が起こるということです。知識のネットワークが最初から沢山あればそれだけ新しい知識は加わるのが容易になります。学べば学ぶほど学習効果は高くなっていきます。

・少しだけ難しい目標を設定する

学習とはその性質状、楽をできる領域はありません。

学習効果が一番大きくなるのはまだ理解していないものの中で最も優しい題材を学ぶ時です。

なので学習の目標は常に変わり続けていて、いつも前より少しだけがんばる必要があります。

・対象領域に通底する論理を理解する

プロというのは個々の特徴ではなく結びつきを、事実情報ではなく体系を理解しています。プロには重要なものとそうでないものを見分けるパターン認識力があるのです。

なので習熟に当たってはつながりに目がいくようなアプローチが必要です。

具体的には、学ぶ前にその対象について自分がすでにしっている事を書きだしてみる。

小テストをしてわからない事を明らかにする

例題を沢山みる

という方法があります。

③学習における感情の重要性

短期記憶は情動の情報によっても圧迫されます。心配事あると勉強が手につかなくなるというのは短期記憶が心配に占領されているからです。なので学習においては感情を安定させておく事、さらにモチベーションの要素の1つである自己効力感を高める事が必要になります。

自己効力感を高める方法としては

前提として学習は難しいという認識をもつこと。学習とは受け身の作業ではなく積極的な活動であり、一種の苦痛を伴うものだという事を最初から認識しておくのです。実際、答えを教わるよりも自分で見つけた答えの方が自分にとっての意味が深くなるので記憶への定着も高くなります。長期的な視点で学習の効果を最大化するには自分で学ぶ必要があり、それは当たり前のように苦痛を伴うのです。

目標を細かく小さな達成可能なものにする。大きすぎたり、難しすぎるとやれる気持ちが薄れてしまうので次の試合に勝つなどではなく、明日は練習をするというような自分次第でできるものにします。

進歩に目を向ける。たとえ失敗しても次はこうしてみよう。ここは前よりよくなったといった部分に意識を向けます。

自分がうまくやれているよころをイメージする。脳は想像と現実を同じように感じるので、イメージする事でやれるという感覚を強める事ができます。

心の目で成功を実感してこそ学習はうまくいくと本の中ではいわれています。

③能力を伸ばす

能力を伸ばすには学習方法、モニタリング、フィードバック、マインドセットの4つが大切です。

1 学習方法

前章でもありましたが、まずその分野の基礎的なスキルや知識なしには学習は発展していきません。目標は絞ったものにし、何を向上させるのか明確にして練習を行います。

1つ目の学習方法は反復です。反復はさけては通れないものです。テニスのサーブを1回でできるようになる人はいません。人が物事を体で覚えるには少なくとも3回は取り組む必要があるという結果が出ています。

3回というのは本当に最低限で多くの場合は何度も、できれば何通りもの方法で対象に取り組む必要があります。それは習慣になるようなものです。体にしみつく事が習得するという事であり、ひとつの仕事で一流になるには10年や1万時間が必要と言われているように、それには時間がかかります。

2つ目は検索練習です。人の記憶は脳の中で屋根裏の段ボール箱に入ってるような感じで、ほおっておくと中に何が入っているのかわからなくなり、ほこりをかぶって、最後には消えてしまいます。

思い出すという行為はこれを箱をあけて中に何が入っているのか明確にする行為です。これにより箱の中身と位置が明確になり、何度も行き来することで道がより強固なものになります。つまり深く記憶に定着し、より容易に取り出せるようになるという事です。

実際にただ3回文を読んだ人と1回読んで3回思い出した人では後者の方が記憶の定着がはるかによかった事がわかっています。

なので小テストや自分への問いかけにより学習を促す事が出来ます。

2 モニタリング

モニタリングとは基本的なフィードバックの1形態です。

ダイエットで長期的に成功している人について調べたら、共通する点は自分が今何を食べ、今の体重がどれくらいかを常に把握しているという結果になりました。

様々な分野でパフォーマンスを観察するとそれが向上する事がしめされています。

これは今自分がおかれた状況を知ることで何を変えるべきかを知る事ができるからです。

ある医師は自分の手術におけるミスをどんな小さなものでも記録し続けました。その効果は絶大でその後ミスの量は半分まで減っていきました。

他にもスポーツで言えば動画によるフォームなどのモニタリングも有効です。

自らの思考の自動運転を一時停止して自問すること=メタ認知的問により気づきを促すことがモニタリングの効用です。

3フィードバック

フィードバックは質の高い学習にかかすことのできない要素です。

それは自分では全てのミスに気づくことができないからです。

よいフィードバックというのは

答えを短絡的に教えない。間違っていることだけを教え、ヒントを与える

フィードバックの中にこの先なにをしていけばよいのかという方向性が含まれている

のようなものです。

フィードバックの効果は体験を通じてスキルと理解を獲得し、新しい推論法を身に着けた時に最大化します。

例えば、同じ映像をみて、プロと素人それぞれに見解を出してもらい、素人は自分が答えたあとにプロの見解をみるというような時には、プロの推論法を素人も体験でき、その効果は絶大です。

4 マインドセット

学習に情動のはたす役割は非常に大きく考え方を整える事で情動を安定させることが大切です。

間違えについてのとらえ方

学習というのは間違えがつきもので、むしろ間違えこそが思考の本質であり、概念形成の核心だと著者はいいます。

間違えた時のガーンという衝撃によって人は学習するのです。

間違えに対する対応がその後を大きくわけます。成長に焦点を当てて学習のチャンスとするか、能力が不足していたといって落ち込んでしまうか。この積み重ねが長い目でみると大きな差になるのです。成長に焦点を当てた人達の方が学習成果が大きく、幸せな事はいうまでもありません。

ラベリング

自分の感情を言葉にするという方法で自分の感情をコントロールしやすくなるそうです。「あの人の行動で自分は今怒っている」のように気持ちを言葉にすることで次の自己対話に進む準備ができます。

語りかけ

ラベリングにより自分の感情に名前を与えたら、「でも自分が本当に正しいって証明できる?」のような自分への対話をすることができます。

ルールぎめ

ここまで勉強したら出かけようのような何々したら何々という明確なルールを決めることで自制から努力を軽減することができます。

自己達成予言

人は自らにラベルをはるとそのように行動してしまうという性質があります。キリスト教徒は科学が苦手という話をしたあとにクラスで科学のテストをするとキリスト教徒の生徒の成績が悪いのようなことです。

なので自分が憧れる人に関するものを身の回りに置くなどポジティブなラベルにより良い効果を引き出しましょう。逆にネガティブなラベルはりには注意を払い、その影響を受けないようにラベルをはらないようにしましょう。

脳の構造 苦労によって賢くなる

人の脳は自分自身への需要(求めるもの)が供給(能力)を上回った時に構造を変化させて最適化されていきます。最適化された時には最初に感じた苦労は苦労とは感じなくなります。苦労のあることでもやり続ける事で脳はこれは重要なのだと思い、うまくこなせるよう最適化されていきます。


苦労は途中だからだと思い、果敢にちょっと難しいことをやり続けましょう

以上が前半3章のまとめです。

はじめて本格的に本をまとめてみましたが結構ハードですね 汗笑

後半をやるかどうかはここでは宣言しませんが、脳の構造を変えればすらすらできるという認識をもってこれからもちょっと難しい事に挑戦していきます。

長い文章にお付き合いいただきありがとうございました。

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