新型コロナの時代に想うこと(5)・・・大阪訪問とクルーズ船
大阪訪問
2月に入ると中国では春節の休日を延長したり、中国の他の都市での感染や封鎖が拡大しているなどのニュースが耳に入ってきた。2月10日には業界団体の会合で大阪出張が入っていた。この会合は半ばプロジェクトの打ち上げの性格もあり、大阪名物のてっちりを楽しむというのが一つの目的だった。新幹線を利用する場合、いつも往路はA席、復路はC席を予約することにしている。往きは仕事前の移動になるので電源を使い易い窓際が便利なのに対し、復路は仕事が終わって一杯呑んでいることも多いのでトイレに行き易い通路側が便利だからである。ただ、ウェブのニュースで飛行機では通路側の方が窓際よりもかなりインフルエンザの感染率が高い、というものがあったので、往復共に窓際にすることにした。今はスマホで座席の混雑度が分かるので予約時に隣が空席になっている空いている車両を探した。この時点ではやはり春節の休日で訪日中の中国人旅行者のリスクが高い、と感じていたので新幹線はちょっと心配になった。夜は京橋のふぐ料理屋にて舌鼓をうち、その後京橋近辺を彷徨きながら、二次会に行って梅田のホテルに宿泊した。後々判明したのだが、大阪でクラスターとして話題になった二つのライブハウスの近くを通っていたらしい。もちろんその時点ではクラスターとなる数日前だったので問題なかったのだが。ただ、だんだんと新型コロナウイルスが近づいてくる感じがした。
クルーズ船のニュースに触れて、、、
翌2月11日は建国記念日の休日だったが、朝ホテルで起きるとテレビのニュースはダイヤモンドプリンセス号の話題で持ちきりだった。祝日だったので普段見ないワイドショーを見ることになり、初めてクルーズ船で起こっている事態を知ることができた。隔離されているクルーズ船の乗客が薬がなくて困っているとか、可哀想目線の報道だったと思う。そのとき私の脳裏に浮かんだのはフィラデルフィアのレジオネラ症(Legionnaires' disease)の例だった。今でも時々発生するこの感染症は1976年に米国ペンシルバニア州フィラデルフィアで行われた在郷軍人会(American Legion)に参加した在郷軍人(Legionnaires)にホテルの空調を通じて広がったレジオネラ菌による肺炎である。細菌とウイルスの違いはあるにしてもクルーズ船でも部屋は違うとは言え感染を抑制できるのか、ということは疑問を持った。ただ桟橋に4000人収容の仮設の病院を作ることは現実的ではないだろうし、DMATとかいう仰々しい名前の人たちが出入りしているのでちゃんとやっているのだろうと推測した。私はこの日、このウイルスの感染力の強さを初めて実感したと思う。たった1人の感染者からこれだけの大きな感染が広がってしまう恐ろしさが印象的だった。