新型コロナの時代に想うこと(4)・・・COVID-19がやってきた
中国発の拡がり
1月23日には素早く武漢が封鎖された。この時点では武漢の海鮮市場の関係者が感染しているというぐらいの知識しかなく、怪しい動物を食べて感染するのかな、という印象だった。一方で封鎖のスピードや隣の街に行く人を銃で追い返したり、麻雀卓を叩き壊している映像に良い意味でも悪い意味でも「さすが中国」と感じた。ただ、何の根拠もないもののこの時点ではおそらく中国の主要都市には既に感染が広がっているだろうということは予想できたので、春節に個人旅行を規制していない、ということに不安を感じた。そして、遅かれ早かれ日本にも感染が広がってくる、ということは想定すべきだと思った。
チャーター帰国便の対応
1月28日には湖北省に滞在している日本人のチャーター便での帰国が実行された。その数日前から米国が自国民を救出しようとしているというニュースを見て、日本はどうするのか、と思っていたが、意外に早い動きで感心した。そして、日本側での滞在先としてホテル三日月が申し出たというニュースに触れ、少し心が打たれたりもした。ただ、私の想定ではおそらく今後は旅行等も下火となり、ホテル需要は減少していくということも起こると思われたので、その観点からもこういう動きはあるのかな、と思った。チャーター便については、旅費を請求したというニュースや、PCR検査を拒否して帰宅した人が2人いた、というニュース、さらに陽性者が確認され、2人部屋の取り扱いに批判が出るなど、国内の報道は色々と粗探しをしているところが不快だった。
このケースについては、緊急事態において自国民を救出するということなのだから、旅費は請求しなくても良いと思うし、帰国後は隔離、PCR検査は義務と処理すべきである。法律上の根拠がない、ということはあるが、入国管理の条件として処理することはできなかったのか。また、対応の優先順位は、①日本国民を帰国させる、②感染している恐れのある帰国者は感染しているものとして取り扱い、国内に感染が拡大することを防ぐ、③帰国者で感染していない人への感染拡大を防ぐ、という順であるべきだったと思う。こういう緊急の状況において、優先順位をつけて対応するのは日本人は不得意だと思う。優先順位が下げられた人の「気持ち」などを代弁し出したり、後付けでの批判を遅れて躊躇したりして身動きが取れなくなってしまう。『あなた方は封鎖されている状況の武漢から国の力で帰国させることにした。日本政府としては①②③の優先順位で対応することにする。申し訳ないができる限りの対応はするが現時点ではこういう対応をするので、我慢してほしい。』とはっきり伝えて従わせるべきだったのだろう。ここでの問題は入国管理なのである。こういう状態において法的に必要な措置が取れない、ということが判明しているのであれば法改正、迅速な政令発布も含めて検討していくことが必要だと思う。
後日の報道では、武漢発の新型コロナウイルスの流行は一旦は終息していた、という分析が示されていたが、それは結果論であって、こういう危機・緊急事態の対応を行うときには考慮に入れるべきではない。目の前にある情報と合理的な想像力を働かせて最善手をその時点時点で打っていくしかないのである。大山鳴動して鼠一匹とか、オオカミ少年とか批判されることがあるが、打った手が明らかな悪手ではない限り、最善手を探ることは重要だが打った手を批判することは控えるべきであると思う。