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席を譲られやすくなる方法

電車で高齢者や小さなお子さん連れの方に席を譲ると、たいてい断られる。

「すぐ降りるので大丈夫ですよ」。

かえって気を遣わせてしまったかな、などと思いながら、私はまた、もとの位置に腰をおろす。

こんなとき、思い出すのはキューバで乗ったバスの光景だ。

座った人が荷物を受け取る

あるとき私はキューバの首都ハバナで、日本語の堪能な若いキューバ人男性と一緒に、地元の人が利用するバスに乗っていた。

その若い男性は、やや年配(といっても40代ぐらい)の女性が乗ってくるとすぐに立って席を譲った。

すると席を譲ってもらった女性が、若い男性のリュックを自然な動作で受け取ってひざに乗せ、ふたりで何やら話をし始めた(2人ともスペイン語が早口すぎて内容がわからない)。そして目的地までおしゃべりは続いた。

譲られる方も「ギブ&テイク」

バスを降りてから、その若い男性に「先ほどの女性は知り合いの人?」と聞いたら、「全然知らない人」という。

キューバのバスでは、高齢者や女性(何歳でも)に席を譲る。譲られたほうが荷物を持ってあげ、ついでに会話するのはよくあることなのだそう。

こんなふうに「ギブ&テイク」あり、話もすれば、席を譲られるほうも、気が楽かもしれないな。

まだ高齢者ではない

ところが、現実はそう順調にもいかないのである。日本に住むようになってまだ日が浅いキューバ人男性が、こんな話をしていた。

「(キューバのバスみたいに)日本の電車で女性に席を譲ろうとしたら、両手を前に突き出すようにして激しく断られた」と。

席を譲られた女性からすれば、「私はまだ高齢者ではありませんよ」と意思表示をしたのかもしれない。キューバ人男性はその反応にびっくりしたそうだ。

それにしても、キューバのバスは車内にサルサの音楽もかかっていたし、席を譲っておしゃべりもして楽しそうだったな。

そんな車内の雰囲気を思い出しながら、どうすれば気兼ねなく、席を譲ったり、譲られたりできるのだろうと考えてしまうのだ。


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斉藤真紀子
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