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総選挙③ やはり2025年はニッポン大転換へ 惨敗自民、公明も、躍進立民、国民も戸惑う予想外の激震

国民の審判が下った。メディアの予想を大幅に上回る衝撃を伴って。

10月27日投開票の衆院選の結果は、惨敗した自民、公明の与党にも、議席を大幅に増やした野党の立憲民主党や「手取りを増やす」を大看板に大躍進した国民民主党にも巨大な衝撃をもたらした。自公の過半数割れは民主党政権が誕生した2009年以来、15年ぶりだから、各党ともどう動けばいいのか、右往左往している状態だ。現職閣僚や公明党の代表まで落選したことも混乱に拍車を掛けている。

だが、戸惑っている余裕は与野党どちらにもない。憲法の規定により、投票日から30日以内に特別国会を召集しなければならず、首班指名選挙がを行われる。しかし、自公が過半数を大幅に上回っていたこれまでと違い、今回の場合、それまでに何が起きるかは誰にも分からない。

自公与党はこのままでは少数与党だ。これまでなら、保守系無所属議員を追加公認すればなんとかなったが、過半数までの18議席を埋めるのは難しい。日本維新の会や国民民主党との連立は、両党が否定している。野党は総議席数で与党を上回ったが、維新や国民民主かられいわ新選組、日本共産党まで広がる各党に立憲の野田佳彦代表の名前を書いてもらうことは、さらに困難だ。石破茂首相は、連立は難しいとみて、中道の国民民主とテーマごとに政策協議することで首班指名に協力してもらう方針だと伝えられている。だが、あまり譲歩すれば、自民党の党内から反発を受けるから、党内基盤の弱い首相は立ち往生する恐れもある。

なぜ、こんな混乱に陥っているのか

選挙戦序盤では、自民党単独過半数割れはほぼ確実だが、自公与党での過半数割れにはなりそうもない、というのがマスコミの大勢だった。しかし、中盤、終盤と選挙戦が進むにつれて、無党派層が動き出し、マスコミの論調も「与党過半数は微妙」「過半数割れも」に変わってきた。

最終盤に、自民党で非公認となった候補者が代表を務める党支部に党から2千万円の資金提供があったことが明るみに出て、これが決定打になった。

この資金は公認候補に対する交付金と同額で、野党からは「非公認といいながら、実質的に公認。裏公認だ」などと強い批判が起きた。

これに対し、石破首相や自民党の森山裕幹事長は、提供の事実は認めたものの、「党勢拡大などのために支部に提供したもので、支部長(候補者)に提供したものではない」と真っ向から否定し、石破首相は「この時期にこういう報道がなされることには憤りを覚える」とまで述べた。

ところが、一部の非公認候補からは「支部の口座に振り込まれたが、こういう時期に誤解を招く。ありがた迷惑だ。返金を含め党本部と協議する」(無所属で出馬している萩生田光一氏)などと反発した。

しかし、党支部への交付金を支部長が返金できるというのは、差配できるということだから、その使途も自由ということになる。党の非公認候補が支部長を務め続けていることと合わせて、国民にとっては、常識的に理解し難い話だ。

与党の大敗は、「政治とカネ」だけが原因ではなく、家計の苦しさも

このところ、円安の進行などで、物価が目に見えて値上がりしている。それは、野菜や卵などの生鮮食品から始まった。最近では、主食のコメが手に入りにくい状態になり、供給が安定したら、値段が上がっていた。

国民の家計は急速に苦しくなっている。その一方で、自民党の一部政治家は「裏金」を懐に入れている。この問題への怒りは、昨年暮れ近くに明るみに出てから、ずっと収まっていない。拙著『それでも昭和なニッポン 100年の呪縛が衰退を加速する』(日本経済新聞出版)にも書いたが、昨年暮れにこの問題が明らかになって以来、全国であった国会議員の補選で、都会、地方を問わず自民党が負け続けてきたのは、その表れだった。

今回、政治資金規正法の改正や派閥の「裏金問題」への対応が批判された自民党やその自民党「裏金議員」多数に推薦を出した公明党も、「政治とカネ」の問題に対する国民の怒りを甘くみていた。どこかに、国民は与党にお灸をすえるかもしれないが、それほど大敗することはないだろうと考えていたフシがある。

日本社会は不安定化、大転換に向かう可能性

これから、政界は昭和以来ほとんどの時代に続いてた絶対安定与党と万年野党という構図が崩れ、2025年7月の参院選へ向けて、極めて不安定な時代に入る。参院選の結果次第では、政権交代も視野に入ってくる。久々の政界大激震だ。

経済的にも、既に円安が進行している通り、日本売りが進むかもしれない。景気が悪化して経済的格差が広がれば、社会不安も増す。外交・安保でも、周辺国からの圧力は強まるだろう。

2025年は、日本社会の大転換の年になるかもしれない。



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