画家さんの世界では、50代半ばはまだこれからという存在なんですか?
伊勢丹新宿店6階の伊勢丹アートギャラリーで、たまたま目に入った絵がとても素敵で、中に入り、スタッフの方のお話まで聞いてしまいました。
弓手研平さんという画家さんで、写真のような絵は9層にわたって色を重ねているそうです。
しかも、例えば、入口に飾られている大きなおにぎりの絵だと、なんと稲穂から描き始めて、白いお米一粒一粒に育つまでの過程をとても繊細に再現しながら、ひとつのおにぎりの絵を完成させているとのこと。取材も丁寧にされているんだろうと想像しました。
「彼は50代半ばで、これからがもっと楽しみな画家なんです」と、30代くらいのスタッフの方が力を込めてお話されている姿がまたぐっときて。「作家さんの世界って、50代半ばの方は、まだまだこれからという存在なんですか?」と聞くと、「そうなんです!」と大きくうなづかれていて。新しい発見ができてうれしく思いました。
スタジオで何層にも色を重ねながら、1年ほどかけて1枚の絵を描く一方で、実際に各地に出かけて、心惹かれた風景を数時間で描く、ドローイングという手法らしいのですが、そんな絵を描く時間もバランスよく持たれているとか。スタジオと外での時間、両方があって、自身の世界が育ちあう、そんな感覚を大切にされているそうです。
たくさんいいお話を聞けて、また、弓手研平さんご本人が会場で自由にドローイングをする姿を実際に見ることができて、贅沢な気持ちになりました。
「こうやって少しでも目を離すと、どんどん絵が進んでいるんですよ。何ができるのか、僕たちもわからないんです」とスタッフさん。この方も、絵が好きなんだなあと思うくらい、本当にわかりやすいお話で、つい長時間お話を聞いてしまいました。
最後は、どう場を終えればいいかお互いわからなくなって、「どうぞ、ほかの場所にもお出かけください(苦笑)」と気を遣わせてしまいました(笑)。
弓手研平展は、11/5まで開催されているそうです。入場料は無料。もちろん購入も可能です。私は、新しい作家さんの世界を知ることができて、大満足でした。
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