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大学生に勧めたい「地域創生」研究テーマ⑤(二地域居住・都会と地方の二兎を追う)
私は毎月、自民党の衆議院議員の越智隆雄さんが主催する朝食勉強会に参加しています。この勉強会は越智さんの支援者の集まりではなく、金融業界やシンクタンクなどで働くビジネスパーソンが参加しています。
目的は永田町や霞が関の旬な情報をいち早く得ることで、私もその一人であったりします。かれこれ10年以上続いていて、毎回150~200名前後の参加者が集まるなどなかなかの盛況ぶりです。
越智さんは政治家になる前は三井住友銀行の社員だったので、ビジネスマインドを持たれています。メディアにはあまり出てこないため、知名度は高くありませんが、自民党の経済成長戦略委員会の事務局長やデジタル田園都市国家構想推進委員会の委員長代理を務めているなど、政策の作り手として党内で評価されています。
いま、自民党でどのような政策が議論され、どのようなプロセスで進んでいるのか。タイムリーな話題の裏側を語ってくれるのがミソです。
選挙区民以外の参加者が多数なので、越智さんは選挙目的で開催していないと思います。実際、越智さんは落選した浪人時代もこの勉強会を開いていましたから。政治家らしくない政治家です(笑)
きのう、7月14日の勉強会のテーマは「二地域居住」でした。
二地域居住は定義がはっきりしていません。リモートワークの普及以後に生まれた比較的新しい概念と思われがちですが、源流となる考えは1980年代にまでさかのぼります。
それが当時の大平総理(宏池会)が提唱した「田園都市国家構想(*)」です。これを同じ宏池会の岸田総理が2021年に「デジタル田園都市国家構想」として、政策をバージョンアップさせました。
田園都市国家構想…21世紀を20年後に控えて、日本はいま新しい国づくりに、まちづくり、むらづくりに本格的に取り組むべき時代を迎えている。都市に田園のゆとりを田園に都市の活力をもたらし、両者の活発で安定した交流を促し、地域社会と世界を結ぶ、自由で平和で開かれた社会、そうした国づくりを目指す構想を我々は田園都市国家構想と呼ぶ
以前の二地域居住は都会の富裕層が余暇を過ごすために田舎に別荘を持つというのが主流でした。あくまで都会が生活のベースでしたが、今は暮らしと仕事を一体化し、都会と地方のデュアルライフを楽しむというイメージが強いと思います。都会と地方の二兎を追うという感じでしょうか。
では、今日本で二地域(他地域)居住の人数はどれくらいなのか。不動産流通経営協議会の2022年の調査では約535万人となっています。
ほんとかよ、と思えるほど多い数字です。私のまわりには二地域居住を行っている人がほとんどいません。
さらに興味深いデータがあります。東京23区在住者に地方移住への関心を聞いたところ、全世代で約4割が興味あると回答し、中でも20代の若者に限定すると5割以上が興味を持っています。
二地域居住が進めば、地域の担い手確保、子育て、少子化対策、空き家問題、消費拡大、防災、減災など様々な効果が期待できます。
一方、法的な課題があります。代表的なのが住民税です。住民税を払わないのにゴミ出しなどの行政サービスを受けていいのか。不公平ではないかという声があります。
また、住民票はどうなるのか。選挙権はどうなるのか。
受け入れ住民の理解も重要です。二地域居住者に草刈りなどの地域活動をどの程度やってもらうかというのは事前の確認が難しく、トラブルになりやすいです。
越智さんの話によると、現在自民党では二地域居住を推進するために、週休3日制、兼業促進、住民税の費用負担などの議論を進めているようです。
また、交通費がネックであることから、ふるさと納税の返礼品で往復の交通費を出そうという案もでているようです。
ちなみに、山梨県の小菅村ではおもしろい取り組みを行っています。観光等で村を訪れる人を「1/3村人」、村に愛着を持ち地域づくりに関わる人(関係人口)を「1/2村人」、村内に居住する人を「1/1村人」と位置づけています。
小菅村は「1/3村人」→「1/2村人」→「1/1村人」へとステップアップしてもらう取り組みを進め、人口が増加するなど成果を挙げています。
このような発想は政治家や自治体職員よりも、学生の皆さんの方が得意だと思います。
先ほども書きましたが、二地域居住をしている人を私はあまり知りません。仮に二地域居住をしていても、住民税を払っていない、地域活動に参加していない等の理由で後ろめたさがあり、あまり言いたがらない人が多いように思います。
だから、仮に私が二地域居住しようとしても、相談相手に心当たりがなく、デュアルライフがあまりイメージできません。今は過渡期です。普及のためには実践者による積極的な情報発信が必要です。
越智さんは「全国二地域居住サミット」を開催し、ムーブメントを起こしたいと言っていました。
今後、日本で二地域居住を普及させるためにはどうしたらいいのか、研究してみるのはおもしろいと思います。若い世代の声が最も大切です。
<参考動画>サテライトオフィスの誘致をサポートする会社 株式会社あわえ(徳島県美波町)二地域居住をされている方を何名か紹介しています。